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レーヴァティン

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第百八話 善行がもたらした果報その十一

「言うまでもなく都のある山城もな」
「掌握するんじゃな」
「そして他の近畿の国々もだ」
 丹後等もというのだ。
「そうしていく」
「近畿統一が目に見えてきたかもな」
 耕平は英雄の今の言葉に笑って応えた。
「ようやくやな」
「そうだな、近畿を統一するにもな」
「色々あったな」
「旗揚げからな」
「旗揚げまでも色々あったけど」
 耕平は冒険のことも思い出していた、今思い出すとその時もまた楽しかった。悪い思い出では決してない。
「そしてな」
「旗揚げから今までもな」
「色々あったわ」
 懐かしむ顔と声での言葉だった。
「ほんまにな」
「そうだな、だが」
「だが?」
「これからもだ」
「色々あるのはやな」
「俺達の道のりは長い」
 英雄は前を見つつ耕平に話した。
「都、そして機内だけではない」
「この浮島全体やな」
「そうだ、その全てをだ」
「統一してな」
「そうしてだ」
「西の浮島と力を合わせてな」
「海の魔神を倒すのだからな」
「確かに道のりは長いな」
「だからだ」
 それ故にというのだ。
「いいな」
「そうやな、わい等はな」
「これまでも確かに色々あったが」
「これからもやな」
「そういうことだ、そしてこの紀伊もな」
「治めてくな」
「そうしていく、それと高野山も降ったが」
 英雄はこの山の話もした。
「あの山に多くの書があるな」
「はい、その蔵書は比叡山に負けますが」
 それでもとだ、謙二が答えた。
「高野山もです」
「多くの蔵書があるな」
「そしてその蔵書を」
「銭は出す」
 自分達の勢力でとだ、英雄は話した。
「印刷もだ」
「そちらもですね」
「こちらの銭で全て用意して行う」
「だからですね」
「蔵書を写させてもらいたい」
「その様にですか」
「高野山に申し出る、そして他の寺社の蔵書にもな」
 高野山だけでなくというのだ。
「それをしたい」
「そして書をですね」
「大坂に集めたい」
「図書館を開かれますか」
「そのつもりだ」
 蔵書を集めたそれをというのだ。
「書も力になる」
「学問であるからこそ」
「その学問を備える為にだ」
 まさにその為にというのだ。
「多少以上に銭を使っても構わん、学問に使った銭は戻る」
「それも何倍何十倍と」
「だから使ってもいい」
 そうしてもというのだ。
「別にな」
「そうですね、では」
「高野山に話す」
「蔵書を奪うのではなくですね」
 武力を用いてとだ、謙二も述べた。 
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