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ドリトル先生と姫路城のお姫様

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第一幕その十

「戻ってね」
「そしてだね」
「そう、また街を築くんだ」
「戦も見物出来たんだね」
「軍勢が人を襲わないからね」
「ああ、日本の戦はそうだね」
「そうだよ、戦は侍同士のもので」
 あくまでそう限られているというのです。
「それでね」
「町人の人達が逃げても襲わないんだ」
「お百姓の人達もね」
「だから戦見物も出来たんだ」
「戦が終われば戻ってまた家やお店を築くし」
「ああ、木で簡単に造れたから」
「昔のお家はね」
「そのこともあってだね」
「そうだよ、本当にね」
 楽にというのです。
「築いていたんだ」
「成程ね」
「それでわかるよね」
「うん」
 実にと答えた王子でした。
「わかったよ」
「日本のそうしたことも」
「戦国時代とっても戦禍もね」
「他の国程じゃないんだね」
「そう、街も街の人達もまきこまない」
「武士同士の戦だから」
「それだけだから」
 あくまでそうした戦だからだというのです。
「平和なままで済んだんだ」
「戦はあってもだね」
「民衆の人達がそれ程危険でなかったからね」
「それはいいことだね」
 王子もこのことを理解して笑顔になりました、先生の研究室で先生のお話を聞いてそのうえで、です。
「中国とか欧州とかだとね」
「そして中近東でもね」
「お城を攻めるとなると」
「お城即ち街でね」
「周りの農村の人達も逃げ込んだりするから」
「その人達も巻き込むから」
「とんでもないことになるけれど」 
 このことはどうしてもです。
「沢山の人が戦禍を被って」
「そうした話が本当に多いね」
「そう考えると城下町も」
「そう、いいものだね」
「僕もそう思うよ」
 心からと言う王子でした。
「そのことは」
「そういうことでね、確かに戦になってお城が囲まれると城下町もその時に焼かれたり壊されたりするよ」
 戦のその中で、です。
「けれどね」
「それでもだね」
「そう、そんなことになっても」
 それでもというのです。
「まだね」
「戦禍が少ない」
「それはいいことだね、そうした国ということで」
「日本のお城もだね」
「それが日本のお城と考えてね」
「砦でなくだね」
「そうね、まあ日本のお城は確かに砦から発達しているよ」
 そうでもあるというのです。
「日本では砦とお城の区分もはっきりしていないところがあるし」
「それで山に多いね」
「砦は山に築くと守りが堅固だからね」
「山に築いたんだね」
「そうしていったんだ」
「それで日本のお城は山に多いんだね」
「次第に政をしやすい様に平地に築く様になったよ」
 そう変わっていったというのです。
「大阪城みたいにね」
「大阪のあの立派なお城だね」
「あのお城とかね」
 ここでこのお城の名前を出した先生でした。
「姫路城もね」
「ああ、あのお城もだね」
「平地に築いてるね」
「そうだね」
「ああしたお城が増えていったんだ、天守閣もある」
「天主閣いいね」
 天守閣については素直にこう言う王子でした。
「凄くね」
「奇麗だし恰好よくてね」
「あれは芸術品だよ」
 こうまで言う王子でした。 
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