女神と星座の導きによりて
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星23 大切
無事に瞬と一輝が出発して、氷河と紫龍、星矢も出発する時が来ました。
その時に恒例のお守りを渡す役は沙織です。
というか、自分が渡したいとの事で、親しくしてくれた公式で生き残る青銅聖闘士(星矢達含む)達にお守りを渡していました。
その中で邪武が一番感動し、
「必ず、必ず聖闘士になって帰ってきて、お嬢様をお守りします!」
と意気込んでいました。その言葉に沙織は
「無理をしてはいけないわ、邪武。でも、待っているわね」
そう言ってにっこり笑顔の沙織を見た邪武は、大感動した!っという感じで滝涙を流し、バスに乗り込みました。
聖闘士星矢の人達って結構泣く人多いですよね。
まぁ、泣く程ツラい事や感動してしまうのは仕方ない?ですからね。
私ですか?確かにツラかったり、感動した事があった時は涙目にはなりますけど、そこまでですね。思いっきり泣いた事ありません。
あ、いや、ありました。ありました。
沙織が初めて喋ったり、立った時ですかね?あれは感動しました。
もうね、可愛いを連呼して思わず頬擦りしましたよ。
我が女神の可愛さは世界一ぃぃぃいいいい!!って。
仕方ないですよねぇ……。(しみじみ)
そうそう、話は戻りますが、ちゃんと紫龍と氷河にもお守り渡しましたよ。
ただ、中身が中身なので、老師とカミュにバレないか心配ですが。
まぁ、なんとかなるでしょう!プラス思考でいきまっしょい!
それで星矢なのですが、何?あの子。
ツンツンしてた態度が無くなってアテナとして覚醒した沙織を守ってる時みたいな感じになっていましたよ。
「沙織さん。おれ、絶対戻ってくるから」
「星矢……」
何、なんなの?二人の世界作ってるんですけど?君達、七歳の子供ですよね?
なんともグラニュー糖とハチミツ、苺ジャムにスクラロースを混ぜた甘さ加減。
ちなみにスクラロースとは!砂糖の約600倍の甘味を持つ甘味料の事です。
甘すぎ?現実を見て下さい!あの二人の雰囲気!マジ甘ですから!
え?六年後再会する訳ですがどうなるんでしょうね。
……さて、紫龍と氷河にもお守りの説明をしないと。
「つまり……」
「何か身体的な怪我をしたら開ければ良いんですね?」
「そうです。もうダメだーって思ったら、使って下さい。細かい説明は中の紙を読むように」
防水加工もしてある優れものです。
そう言うと、へーっとお守りを見つめる二人。力作でございます。
「修行は厳しいですが、二人なら大丈夫だと確信しています。身体には気を付けて下さいね」
「「はい!」」
良い返事です。
「紫龍、氷河!」
沙織が小走りでこちらにやってきます。どうやら二人の世界から戻って来た様ですね。
「元気で……身体を大事にしてね?どうか、無事に戻ってきて」
「はい、お嬢さんも元気で」
「風邪とかに気を付けてください」
三人共笑顔です。うむ、仲が良い事は良い事です。
無事に皆さんにお守りを渡せて満足しました。
後は皆さんの判断に任せます。
そして、バスは動き出し、皆さんを乗せて行きました。
沙織はちょっと涙ぐみながら手を振ってお見送りします。
さて、後は……
”彼ら”をどうしましょうか?
□■□■□■□■□■□■
「辰巳さん」
「ふん、来たか」
沙織を寝かしつけた深夜、辰巳さんに頼んで地下の一室を借り、パラライズローズで麻痺させてこの時間まで放置していた一人の男性。
「う”ぅう……」
白銀聖闘士、烏座のコルウス。
本来はジャミアンが烏座のハズですが、今の彼は確か、十一歳。
まだ修行中なのでしょうね。
恐らく彼が先代の烏座なのでしょう。
キュアローズでほんの少し麻痺を中和します。喋れるけど動けない感じですかね。では……
「で、何様でこの屋敷に忍び込んだのですか?カラス達を使い、私や使用人達、お嬢様の行動を覗いて、しばらく見かけないと思っていましたが……直に此処に来るとは。命が惜しければ正直に言いなさい」
「…………」
コルウスはジッとこちらを見てしばらくすると泣き出しました。
「やはり……」
「?」
「やはり生きておいででしたか。真名様」
「…………」
え?ええー、狙いはまさか……
「ずっと……ずっと貴女の行方を捜していたのです」
私かい!!
「この黄金の小宇宙の籠めてある青い薔薇、間違いない」
おおう、墓穴を掘りましたか。
「仮面を付けていなかったのでカラス達から聞かされた貴女の特徴等を調べてみると、聖域に居た頃の貴女にそっくりでして」
え……、聖域に居た頃の事を知ってるって……スト……。
「教皇もお探しになられていましたよ」
さ、サガああああああ!!
確かにあんな別れ方したから気に病んでいるだろうなって思いましたけど!
記憶喪失だった私!”探さないで下さい”位言いなさい!……無理ですよね!分かります!
「真名様、聖域に帰りましょう!教皇だけではございません!他の黄金聖闘士の方々や、下々の者達も待っています!」
「……此処から離れる訳にはいきません」
沙織とアイオロスから離れる訳には……。
「あの娘の事ですか……?」
「…………」
あ、この流れ……マズイ……!
「もしも、私が死んだら、娘の部屋にある窓から突撃を仕掛けて、殺すように言ってあります」
「貴方、随分と私を舐めているようですね」
なんてな!
「!」
「カラスを嗾ける事は想定済みですよ。テラスに一瞬でも入ったら最後」
私の毒の薔薇がカラス達を殺します。
そう最後に付け足して言い放ちました。
冷めた目でコルウスを見つめます。
「……私に対して何かするのは構いません。けれど、お嬢様に何かするのであれば、この真名、容赦はしません」
私はちゃんとコルウスに見えるようにロイヤルデモンローズを構えて見せました。
出来る事なら此処に居る間は、こういった技は使いたくはなかったのですが、聖闘士相手ではそう言っていられません。
青銅聖闘士ならば技を使う事はないのですが、コルウスは白銀聖闘士。念の為の保険は必要です。
別に青銅相手でも甘く見てはいけないのも分かっていますが、(例:星矢達)こういう考えが聖闘士の中では一般的な常識なのです。
しかし、こういったある意味捨て身みたいな行動をしてコルウスは一体何を考えて動いたのか……。
嫌な予感がします。
…………。
……まさか。
「コルウス、貴方。私がこの城戸邸に居る事を確信し、聖域に知らせの連絡をしてから此処に忍び込みましたね!?」
ヤバいです。先手を打たれました!
下手をしたら私が此処に居ることによって、アイオロスが見つかり、生きている事。
ひいては、沙織の事もバレる可能性も……!
自分の事ですが、なんて軽率だったでしょうか……。
まさか、聖域に居た頃の生活習慣を知っているストーカーもどきが居るだなんて。不覚です。
「はい、聖域にはもう知らせのカラスを送っております。どうか、真名様。聖域にお戻りください」
…………。
沙織……アイオロス……。
「……ふぅ、分かりました。聖域に戻ればいいのですね」
「真名!お前!」
部屋の端で私達を見守っていた辰巳さんが声を荒げます。
連絡を入れられてしまっては、どうにもなりません。
「辰巳さん。沙織を、彼を頼みます」
「何を言っているんだ!そいつを始末すれば……!」
「もう、手遅れですよ」
「……くぅっ!」
聖域に私が城戸邸に居る事が伝われば、何人もの追手が来ることでしょう。
何故かって?七年前のあのテレポーテーション。
あれはまさに沙織の、アテナの小宇宙だったからです。
私が此処に居るという事は生きているアテナの傍に居るという事。
つまり沙織を殺しに聖闘士を送ってくるでしょう。
勿論いざとなれば私だけでも戦います。が、
問題はアイオロスです。
彼が生きている。
その事はまだバレていない様子。
けれど、もし大勢の聖闘士達が来て、黄金聖闘士まで来たら?
沙織を守りながら、アイオロスも守る事は出来ません。
まぁ、守るだなんてアイオロスに直接言ったら怒るでしょうけど。
此処は私が大人しく聖域に戻った方が良さそうですね。
「コルウス、この屋敷に居る人達を殺す様な事があれば……。殺しはしません。ただ、直に殺されなかった事を後悔させます」
パラライズローズを取り出し、不敵に微笑みます。
勿論、コルウスを見つめる目は笑っていません。
「わかりました。この屋敷の者達に手出ししません。勿論、あの娘にも」
「当たり前です」
おっと、つい即答で言ってしまいました。
でも、言葉の通り当たり前です。だって、彼女は……
「では、行きましょうか」
私の大切な、
「聖域に」
娘(女神)なのですから。
後書き
オリキャラ、コルウスさんです。
コルウスとはラテン語でカラスという意味です。
本当はオリジナルキャラを出すつもりはなかったんですが、出すことになりました。
苦手な方はすみません。
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