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ある晴れた日に

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37部分:噂はそよ風の様にその十四


噂はそよ風の様にその十四

「実はね」
「それあいつ等の前では言わないよな」
「皆私が運動神経悪いのわかってるから」
 少し残念そうに微笑む未晴だった。
「だからなのよ。ずっとね」
「ずっとなのか」
「子供の頃から運動神経ないの」
 また言う未晴だった。
「ずっとね」
「へえ、そうか」
「そうかって」
「別にそんなことどうでもいいからさ」
 本当に何でもないといった感じの正道の言葉だった。
「そんなことはさ」
「いいの?」
「だってよ、人それぞれじゃねえか」
 今度彼が言うのはこのことだった。
「個性ってあるよな。それだよ」
「個性!?」
「そうさ、個性さ」
 また未晴に対して言う。
「個性だろ?そういうのも」
「個性なの」
「ああ、個性さ」
 正道の言葉は変わらない。
「こういうのもさ。俺はそう考えるぜ」
「そういう考え聞いたのって」
「はじめてか?」
「ええ、実はそうなの」
 また答える未晴だった。
「咲達は気にすることないっていつも言ってくれるけれど」
「あいつ等結構いい奴なんだな」
 正道は未晴のその話を聞いて述べた。
「意外とな」
「五人共いい娘よ」
 未晴はそれは保障するのだった。
「とても。いい娘達よ」
「そうなのか」
「ええ。ずっと助けてもらってるし」
 五人の話と未晴の話がここでは逆になっていた。
「ずっとね。頼りにさせてもらってるの」
「向こうは逆のこと言ってるぜ」
 正道もこのことを彼女に言うのだった。
「全然な。逆のことを」
「そうね。けれど」
 未晴はその正道の言葉にまた返す。
「実際は。私が」
「そうか」
「ええ、そうなの」
 また言う未晴だった。
「それはね。本当なの」
「何かそういうところがわからねえな」
 正道は未晴の話を聞いて顔を上げた。
「いや、違うか」
「違うって?」
「あんた等ずっと友達だったよな」
「ええ」
 正道の今の話には頷く未晴だった。
「そうだけれど」
「だったらそんなもんかな。俺はそこまで深いツレいねえけれどな」
「いないの」
「ツレは一杯いるさ」
 このことははっきりと言う正道だった。
「バンドだってやってるしな。中学の時から」
「だったら深くならないの?」
「そこまで深くないんだよ」
 未晴に顔を向けて述べる。
「あんた等程にはな」
「そうなの」
「そうさ。だから羨ましいっていったら羨ましいな」
「羨ましいって」
「連中のこと好きだろ?」
 このことをあらためて問う正道だった。
「正直なところ。そうだろ?」
「ええ」
 未晴もまたそれを認めて頷く。
「ずっと一緒にいたいわ」
「親友なんだな、本当に」
 そこまで聞いて羨ましそうな声を漏らす正道だった。
「いいよな、女同士の友情も」
「いいの」
「見ていていいぜ」
 今度はこう言う正道だった。
「いい雰囲気だよ」
「そう、いいの」
「それは自分が一番わかってるんじゃないのか?」
 尋ねてもみる。
「あんた達がさ。どうだい?」
「皆といてずっと」
 そして未晴も答える。
「困ったことも。寂しいなんて思ったこともないわ」
「それが答えだよな。本当にいいことじゃないか」
「そうね。何か言われたらこのことを」
「感じるってやつか」
「咲なんかね」
 未晴は微笑んで咲の名前を出してきた。
 
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