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海和尚

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第四章

「あの者達は抑えられそうにないからのう」
「実際に凄いしね」
「阪神にかかっている呪いって」
「本当にここぞって時に負けるし」
「そう考えたら」
「わしは何百年も生きておるが阪神創設の頃からのファンじゃ」
 昭和十一年のその時からというのだ。
「年号もいよいよ三つ目じゃが」
「あと少しで令和ね」
「私達大正生まれだからね」
「そう思う阪神も歴史長いわよね」
「第二次世界大戦前からだし」
「愛着がある、それだけに」
 阪神愛、それが備わっているからだというのだ。
「わしはじゃ」
「これから京都に行って」
「そしてなのね」
「これから関西中を巡って」
「お願いするのね」
「終わった頃には高校野球の頃になっておろう」
 夏のその時だというのだ。
「しかしじゃ」
「お願いして回る」
「阪神の為に」
「わし等妖怪は時間と金がある」
 この二つがというのだ。
「それならじゃ」
「お願いしていくのね」
「その二つを使って」
「そうする、さもないとじゃ」
 海和尚は真剣な顔で言った。
「阪神は今年も危うい」
「去年はあんなのだったしね」
「終盤で完全に息切れしたから」
「これも毎年だけれど」
「夏が終わったらもう」
「高校野球もよいが」
 海和尚はこちらにも興味がある雰囲気を見せた、そのうえでの言葉だった。
「しかしな」
「しかし?」
「しかしよね」
「高校野球の間甲子園は使えん」 
 阪神特有のことである。
「それでじゃからな」
「高校野球までかかっても」
「それでもよね」
「いいのね」
「そうなっても」
「今年は優勝じゃ」
 こうまで言うのだった。
「そうして欲しいからな」
「是非なのね」
「そう思うからこそ」
「わしは行くのじゃ」
「まずは京都に」
「そして関西の全部に」
「最後は西宮神宮じゃ」
 甲子園のある西宮市にあるこの社にというのだ。 
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