憑依者の英雄譚
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8話
「ここが黄昏の館、か」
後日、俺は助けてもらったお礼を話すためにロキ・ファミリアの拠点である黄昏の館にやって来ていたのだが。
「館という言葉の意味をはき間違えてないか?」
目の前にあるのは館という言葉からはほど遠い城が建っていた。
「まあ、いいや。あのヒトに聞けば入れさせてくれるかな?」
門番らしき人物を見つけて話しかけることにした。
「すいません。少しいいですか?」
「なんだ」
「昨日、ダンジョンで助けられた者なのですがお礼を言いたくて来ました。中へと入れてもらうことは可能でしょうか?」
「そうか。その紙袋はなんだ?」
「これはお礼の品のクッキーです」
俺は中身を見せる。
「わかった。だが、あいにくと今は遠征帰りと言うことで忙しいがロキ様に少し聞いてくる。だから、ここで待って」
そう言って門番の人はそのまま中へと入っていった。固い言い回しだけど、理解はしてくれたようだ。
「さて、待てと言われたから待つとしますか」
俺はそのまま待っていることにした。
――五分後。
「待たせたな。ロキ様が中に入れてもいいと許可が出た。案内する」
俺はそのまま門番のヒトの案内のもとこのファミリアの主神であるロキのもとへと向かっていた。
「ここにロキ様はいる。くれぐれも失礼のないように」
「はい。ここまで案内してくれてありがとうございました」
門番のヒトはそう言ったあと仕事に戻っていった。それを確認したあと、俺は扉をノックした。
「入ってエエよ」
「失礼します」
扉を開けるとそこには酒瓶やら資料やらが散らかっている部屋だった。正直、神様の部屋なのか疑ってしまった。
「すまんなぁ。ちぃっと、汚いかもしれんけどそこに座ってくれや」
「それでは失礼します」
「んで、自分がアイズたんに助けてもらった冒険者ってことでええんやな?」
「はい。その節はありがとうございました。これはつまらないものですがもし良かったらヴァレンシュタインさんに渡してもらっていいですか?」
俺はロキ様と対面すように座らされ、テーブルの上に紙袋を置いた。
「なんや、自分意外と律儀やな」
「そうでもないですよ。助けてもらったんですからこれくらいは普通です」
「その普通ができん子供も最近おるんや」
そうなのか?良くわからなかった。
「それではあまり長くいると迷惑でしょうからそろそろおいたまさせて貰います」
「ん、あっ、ちょっと待ってくれへんか?」
「え?」
「自分と話したいちゅう人物たちがおるんや」
すると、誰かが扉をノックした。
「失礼するぞ、ロキ」
「おお、丁度いいタイミングやで。リヴェリアにフィン、ガレス、他のメンバーも来たみたいやな」
入ってきたのはエルフ二人に小人族にドワーフにアマゾネス二人に狼人に最後に入ってきたのは俺を助けてくれたアイズ・ヴァレンシュタインだった。
「やあ、初めまして。僕はこのロキ・ファミリアの団長を務めさせてもらっているフィンて言うんだ。よろしく」
「こちらこそ初めましてヘスティア・ファミリアに所属しています。ベル・クラネルです」
「なんやて!自分ドチビん所の眷属だったんか?!」
うん。昨日、ヘスティア様からある程度のことを聞いていたけどロキ様の顔をみると凄まじい表情をしている。
「私は副団長をしているリヴェリア・リヨス・アールヴだ」
「儂は最古参のガレス・ランドロックじゃ」
「私はレフィーヤ。レフィーヤ・ウィリディスです」
「私はティオナ。ティオナ・ヒリュテって言うんだ!よろしくね」
「ティオネ・ヒリュテよ。とりあえずよろしく」
「私はアイズ・ヴァレンシュタイン。アイズって、呼んで」
「チッ、ベート・ローガだ」
なんで、ロキ・ファミリアの幹部たちが来たんだ?まさか、全員が全員俺に質問でもあるのか?
「んじゃ、本題にはいるで」
「ほ、本題?」
「自分は主神に神の力を使わせたんか?」
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