変わり果てた湖
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第六章
「足りんでもな」
「とにかくだね」
「アルカリ性のものを入れてや」
湖にというのだ。
「やっていこうな」
「それじゃあね」
「あと強酸の源はな」
「もう二度とこんなことがない様に」
「突き詰めてそこにもや」
「アルカリ性のものを入れて」
「潰そうな」
「では石灰等そうしたものをです」
ここでも黒麒麟が主に言ってきた。
「用意します」
「何でもしてくれて悪いな」
「私は主殿の神具です」
そうなるというのだ。
「ですから」
「おいらの為に何かすることはか」
「当然です」
そうだというのだ。
「ですから」
「そうか、ほなな」
「今度はです」
「アルカリ性の持って来てくれるか」
「毒になるまでのものを」
「強酸も毒やしな」
「毒を以て毒を制すということで」
黒麒麟はこう言って今度は彼が本来いる神獣の世界から多くのアルカリ性のものを出した、それで湖も強酸源も全てだった。
そのアルカリ性の毒にさえなっているまでの強いもので中和され全ては元通りになっただけでなく源までもがだった。
水になった、こうして湖は元に戻ったが。
生態系が戻るのは後になってからだった、それでも依頼は終わってだった。
魯と郭は石家荘を後にすることにした、だがこの時にだった。
魯の手にあるものが宿った、それは何かというと。
「九天抱や」
「九天応元雷声普化天尊の服だね」
「それや、これはな」
心の中に自分に語り掛けてくる言葉をだ、魯は郭に話した。
「おいらの身体を護ってくれて特に雷からな」
「護ってくれるんだね」
「そうしたものや」
「それはまたいい神具だね」
「そやな、これで前以上にな」
「強くなったね」
「おいら自身もな」
ひいては魯もというのだ。
「神託を適えてな」
「それでだね」
「全体的に強くなったわ」
「どれ位かな」
「一回りな、それだけ強くなったからな」
「その力でだね」
「ああ、この世界を救うで」
笑顔で言ってだ、そうしてだった。
魯は今一歩を踏み出した、神託が終わったならそこから得たものをこの世界を救う為に使う、そのことを自分自身に誓って前に進むのだった。
変わり果てた湖 完
2019・4・21
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