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ソードアート・オンライン ー合わさる剣は2つの世界を一つにしてー「ある科学者とある剣士の物語」

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第二話「二人のビーター」

いまだ、混乱の収まらない中俺は一人街を抜け、荒野に向かった。道を急ぐ俺にさっきのイノシシが複数襲ってきた。剣が一瞬きらめいた。一瞬で複数のイノシシは青い光になって散っていった。剣士ジンの戦いが始まった。
 第一層のボスはいまだ、攻略されていなかった。俺はこのゲームでの一番の障害を悟っていた。それはモンスターの強さだった。
モンスターのレベルやステータスは関係ない。巨大なカマキリだの大蛇だの幻想上のモンスターの強さは半端じゃない。その強さに関与してる最大の部分は、エネミーの形状だ。巨大カマキリなら、その前足は鋭利な鎌のようで、もしこいつに攻撃されると盾を構えたとしても、斬撃は余裕で、プレイヤーの背を越えて背後から忍び寄る。死神が鎌を使う理由がなんとなくわかった気がする。化け物というのはその姿かたち=強さなのだ。カマキリの首もヤバい。素手で本物を捕まえたことがある人は分かると思う、あいつら首が180度、回る、死角がない。背中から捕まえたとしても首がくるんと回ってこっちをにらみつけてきてそのあと小さくたたんだ前足ですごい力で指の拘束をとこうとする。
 格闘技の練習に首相撲というのがある。互いに相手の首根っこに手を回した状態から首を肘や腕や姿勢でいかに相手よりさきに首を抑えて極められるかを競う。その達人がカマキリだ。
 これが俺たちが第一層どころか、その前の迷宮区でさえろくに上がれずその周辺でうろうろするしかない理由だ。

 それにステータスの振り方には気をつけないといけない。剣術の知識でいえば素早さは必須なのだがモンスターの硬い皮膚などを切り裂くには筋力は絶対に必要だった。このゲームの特徴筋力を伸ばしたところで筋肉が増えるわけではない、単純に筋力が強くなる。それなら筋力と素早さこの2つが一番大切だ。だが結局油断すれば一撃で終わってしまうことも考えると体力ゲージは生命線だ。あとは強力な武器、俺は刀を選んだ。古流剣術の技は日本刀をベースに作られている。刀は盾を装備できないかわりに攻撃力が高く、切れ味が良い。ソードスキルは俺がデザインしたようなものだからどのくらいのレベルでどんな技を鍛えればどんなモーションのソードスキルが使えるかが決まる。あとは投擲剣と短刀、古流剣術には脇差の技と手裏剣の技がある。ほかにもいろんな武器術があるが基本的に俺が極めたのは刀なのでそれを選択した。鎧はあくまでスピードが大切なので着用するのは体の可動率の高いもの。
 そして第一層のボス攻略に備えた。
 そうして一週間後ボスが発見された。
「みんな、集まってくれてありがとう、俺の名はディアベル、気分的にナイトやってます」
「ジョブシステムなんてないだろう」
 へえ、なかなか感じの良いやつだ。
 それからキバオウとかいうやつのちゃちゃが入ったが会議は終わった。問題はどの仲間に入るかだ。レベルが分からない今はどのプレイヤーも素人だ、だがボス発見までにどんな敵と戦ったかでだいたい強さは分かる。俺はいろんなやつと話をした。
近くの酒場で剣士が集まっていたから声をかけた。
「俺はジンだ。今まで一番強かったのは迷宮区のアームライオンだ」
 剣士から驚きの声があがる。アームライオンといえば四本の腕からくる出される連続攻撃で攻略不可能と言われたモンスターだ。
 そしてそいつからドロップしたのが名刀月牙だ。
 そいつを抜いて見せると、剣士たちはもっと驚いた。
 俺は酒場で一躍有名になった。話してる内に武勇伝に話は湧く。
 そして俺はその中で五人の剣士とパーティを組んだ。
 片手剣のロイとルー、レイピアのレイ、そして重剣のトウヤとハルだ。
 そしてボス攻略当日。
「いいわね、わたしたちはボス本体を狙うわ、目指すはボスのドロップアイテムだれがゲットしても恨みっこなし」
 朝日を受けて朱鷺色に輝くロングヘヤーのレイがいう。こいつ美人なんだよな。ちょっと気の強い感じの見た目俺と同年代くらい。笑うと可愛い奴だったり。
「私達は後衛でセンチネルを引きつけるわ」
 ロイとルーは珍しい恋人同士だ。こんなデスゲームでも自分を見失わない二人は頼もしい。
 トウヤとハルは無口だが腕が立つ重剣は相当の筋力パラメータがないといけないその分絶大な攻撃力がある。リアルでは兄弟らしい。
 俺たちはこの戦いが終わったらギルドを組むことを誓った。
 ボスの部屋に入ると大きな鬼のようなモンスターが大剣を構えた。取り巻きが十体。
「前衛、前へ!」
 ディアベルの支持であらかじめ決めていた役割のもと動く。
 よく指揮をしている今の所死者は出ていない。
「ジン、前に三人」
「レイ、スイッチ」
 レイのレイピアが光る。
 続いてトウヤとハルが斬りつける。
 俺が考案したスイッチ三段打ち。織田信長の鉄砲三段撃ちを真似て六人を二人一組にし一人が剣を弾いて一人が攻撃し、それは終わったら後続の二人がまた同じように飛び込む。そして次の二人がまた同じように出る。こうすることで相手の攻撃を無力化しつつ連続でHPを減らすことができる。
 センチネルを三人をまたたくまに倒した俺達はついにボスに向かう。
 戦法は同じだ。
 しかしHPを半分切ったときボスがもったのはタルアールではなく野太刀、しまったボスの情報が違う。
 ディアベルが突っ込む。俺たちはボスと戦いすぎてセンチネルをひきつけてしまっていた。こっちはセンチネルに手一杯だ。
 ディアベルをボスが襲った。黒い服の剣士がディアベルに駆けつける。さっき手練のレイピア使いと良い連携をしていたやつだ。
 しかしディアベルのHPがゼロになった。ディアベルが死んだ。
 くそ、なぜだ、あそこで何故一人で突っ込んだ?完全にノーマークになっていた。そのとき、ディアベルの言葉が脳裏に浮かぶ。
「経験値が自動均等割り、ドロップアイテムはボスを倒したもののもの」
 そうか、レアドロップ狙い。馬鹿野郎、無茶なことをしてまであのままいけば死傷者を出さずにボスを攻略できただろうに。
 ディアベルの指揮がなくなったプレイヤーをボスが容赦なく襲う。
「レイ、作戦変更、二人でボスのスキをつくるぞ」
「ええ!」
 野太刀を手にしたボスの動きは尋常じゃなかった。
 しかし同じように考えていたやつがもう一組いた。あの黒い剣士だ。
 俺と黒い剣士がほとんど同時にボスの野太刀を跳ね上げる。
 二人のレイピアが炸裂する。
 混乱していたプレイヤーたちが戦意を取り戻すまでこいつを足止めしなくては、野太刀を振るうこいつのうごきを超えて黒い剣士は斬りつける。いい反射神経だ。仲間のレイピア使いもすごい。
 しかし、なんの作戦もないスイッチには限界がある、レベルの低い俺達のソードスキルはまだ未熟。
 くそ、剣が思うように動かないんじゃ、いくら腕があっても限界がある。
 黒い剣士が野太刀を交わしきれなかった。
 しまった、黒い剣士のHPが残り少ない。
「レイ、スイッチだ」
「はい!」
 ボスの動きもさることながら耐久力もかなりある。レイのレイピアの連続攻撃がおわったら完全に攻撃がやんでしまう。
 そのときだったエギルと名乗っていた大男が助けに入った。
「俺達が食い止める」
「すまない、おいあんた大丈夫か、早くポーションを!」
「いや、俺は大丈夫だ、それよりこの流れ逃すな」
「分かった、立てるな、いくぞあんたは左から、俺は右からだ。野太刀にかまうな、あんたと俺で捨て身の一撃をいれよう」
 レイとレイピア使いが野太刀の攻撃を交わしざまに攻撃する、レイピア使いのフードが破けた。すると栗色の長い髪がゆれる、女だったか。2つのレイピアがボスの足を止める。そして黒い剣士と俺が飛び込む。最後のHPバーがなくなる。ボスは倒れた。
 あまりにはげしく動いたおかげで立っているのがやっとだ。
congratulationの文字が空中に浮かぶ。ドロップアイテム「戦神の鎧」」ふむ、大した性能だ。これは使える。
 「どうやら同時に倒したせいで二重のドロップになったようだな、しかしくそもう少し早ければディアベルを救えたのに」
「そうだな、だがディアベルはドロップアイテム狙いだったんだ」
「そうか、俺はジン、おまえは」
「キリトだ」
「キリト、おまえの反射神経なら、たぶん…」
「なんでや!」
 俺の言葉を遮ったのはキバオウだった。
「お前ら二人はボスの刀スキルしってやないか、なんでディアベルはんを見殺しにしたんや」
 しまった、と思ったがもう遅かった。
「きっとアイツラ、ベータテスターだ。なあほかにもいるんだろベータテスター」
 クソ、最悪だ、これじゃベータテスターはただじゃ帰れない。
 そのときだ、キリトが笑いだした。
「ベータテスターだって俺をあんな素人と一緒にしてほしくないな。俺はβテスト中だれよりも高い層まであがった。ボスの刀スキルを知ってたのはそこで刀を使うモンスターと散々戦ったからだ」
 こいつ、いやここは。
「そうだな、こいつのいうとおりだ、いいか教えてやる、キバオウとかいったな。俺はジン。このゲーム、ソードアート・オンラインの剣術顧問だ。茅場は俺の剣術をもとにしてモンスターからプレイヤーのソードスキルまで作った。俺には分かってたのさ、あいつなんてボスの中ではまるで弱いもっと上の層ではこれよりはるかにきつい戦いが待ってるぜ」
「な、なんやてそ、そないなもうチーターやないか、いやそれどころかあんたが茅場の仲間?」
 これにはキリトも唖然とした。
「いっておく、俺は茅場を許さない。あいつは俺の剣術を汚した。俺は絶対にこのゲームをクリアさせる。レベル上げに行き詰まってるやつは俺のところにこい、どんなソードスキルが有効なのかレクチャーしてやるぜ。もちろん講義料はもらうが」
 俺とキリトはここぞとドロップしたアイテムを装備する。
 戦神の鎧。赤い炎に縁取られた日本式の甲冑だ。
「二人のチーターいやビーターか」
 キリトは無言で立ち去ろうとする。あいつは生き残れば強くなる。
 するとレイピア使いの女性が言った。
「まって、あなた名前は」
「HPバーの右になにかかいてあるだろう」
「キ、リト?キリトこれがあなたの名前」
「ああ」
「なんだ、こんなところに書いてあったのね」
「もし仲間の誘いを受けたら断るなよ、ソロプレイヤーにはシステム的に限界があるから」
 キリト、おまえは…
「あなたはわたしたちとギルドを創る約束よね」
「ん?」
 レイだった。思えばこの人に何度も助けられた」
「まさかあの黒いビーターさんとおなじようにソロに成るつもりじゃないわよね」
「ふ、あいつもいったろソロには限界がある、それに一度仲間になったやつを見捨てるような真似はしないさ」
「ふふ、素直でよろしい。よろしくね赤いビーターさん」
 ああ、俺には六人も心強い仲間がいる。
 そして第一層を攻略した。
 酒場に帰って俺たちは剣神連合というギルドを作った。
 ここから僕たちの剣が描く物語がはじまる 
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