凄く効く惚れ薬
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第三章
二人で激流の中から次から次に出て来るモンスター達を倒しながらバンコクに向かった、並の冒険者なら倒れるところだったが。
星の者達である二人だから乗り越えることが出来た、それも無傷で。そうしてバンコクに着くとだった。
すぐにその薬剤師が開いている薬屋まで行って惚れ薬を注文した、薬自体はすぐに手に入ったのだが。
それでもだ、狼人の薬剤師の男に言われた。
「その薬は誰にでも効くが」
「それでもやな」
「そうじゃ、空気に触れると減っていく」
「あれか、揮発性っていう」
「それじゃ」
そうした性質の薬だというのだ。
「だからじゃ」
「しっかりと閉めてやな」
「壺も割ったりせん様にしてな」
「行けっちゅうんやな」
「そういうことじゃ」
コープチッティそして彼と共にいるモレイに行ってそうしてだった。
二人に惚れ薬を渡した、それでだった。
コープチッティは川舟に壺を置いたが彼は壺を厳重に保管した、何と壺全体を氷の術を出してその氷で密閉したのだ。
そのうえでだ、堅固に固めて言った。
「これでや」
「ああ、壺から薬は出なくて」
「転がったりしてな」
「割れることもないですなあ」
「山賊は結構保存食とかあるさかいな」
山で働くその中でだ。
「こうした知恵もあるからな」
「食べものを保存する為に」
「氷も使う、それでや」
水気が入らない鉄の蓋で厳重に閉めた壺を見て言うのだった、実は壺も特別に鉄のものにしてもらっている。
「この薬は凍っても別に何もないらしいしな」
「なら余計にいいでありますな」
「これで舟が沈まん限りや」
「薬は大丈夫でありますな」
「ほなアユタヤに戻るで、ただ」
ここでだ、コープチッティは川を見た、見れば。
台風が来ていて川は大荒れだった、それでコープチッティはどうかという顔になってモレイに顔を向けて言った。
「モレイちゃんよ、台風出てるしな」
「出ない方がいいでありますか」
「そうするか?」
「普通ならそれがいいですなあ、けど」
それでもとだ、モレイは弱った目で応えた。
「今回は」
「そやな、トラ箱に放り込んででもな」
「出来るだけ早い方がええですし」
「ほな行くか」
「そうしましょう」
モレイもこれはと思いつつも事情が事情でだ、仕方なくだった。
大嵐の中アユタヤに舟で向かった、川に出ている舟は今は彼等の舟だけだった。だがそれでも二人は川に出ていた。
舟は上下に激しく揺れる、左右にも。雨も激しく舟に入らない様に部屋は密閉していて何とか安全でも。
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