ロックマンX~Vermilion Warrior~
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ロックマンX4
第75話:Sky Lagoon
西暦21XX年。
人間的思考をもったレプリロイドと人間が共存し、繁栄している世界。
この世界には、2つの大きな組織があった。
電子頭脳に故障をきたしたレプリロイドを処理するための“イレギュラーハンター”。
大規模な災害時に迅速な対応をするために設置されたレプリロイドだけの軍隊“レプリフォース”。
両者はこれまでお互いに助けあい、協力しながら、それぞれの任務を行っていた。
そう、あの忌まわしい事件が起きるまでは…。
ある嵐の夜。
レプリフォース総司令官ジェネラルの館に、マントに身を包んだ謎のレプリロイドが訪れていた。
「イレギュラーハンターは人間に尻尾を振って、人間に危害を加えるという理由で多くのレプリロイドを始末している者共。危険だとは思わんか?ジェネラル、お前も分かっているはずだ。奴らは単に人間の言いなりにならないレプリロイドを破壊しているに過ぎない。」
「………」
「やられる前にやれ!!ジェネラル、お前には奴らを倒すだけの強大な力がある!!」
「…お引き取り願おう。」
「…………」
ジェネラルは冷ややかに相手を見据える。
「人間を裏切る事は出来ん。帰れ!!二度と私の前に姿を見せるな!!」
「フフフフ…まあいい。直に考えも変わる…フハハハ…ハーッハッハッハ!!」
笑いながら去っていく謎のレプリロイドを、ジェネラルは疑わしげに見つめていた。
そしてハンターベースではカプセルルームで眠っているゼロの姿があった。
『ゼロ…』
謎の声に起き上がるゼロ。
光の向こうに何者かのシルエットが見える。
『ゼロ…ワシの最高傑作……』
「誰だ?」
『倒せ、アイツを!!わしの敵、わしのライバル、わしの生き甲斐…!!』
「あんた誰だ?」
『行け!そして破壊しろ…あいつを!!』
「待て…っ」
謎の人物を追おうとするゼロだが、その途端激しい頭痛に襲われる。
恐怖に怯えるシグマ…。
どこか見覚えのある研究所の内部…。
血塗れになった自分の手…。
何かの設計図…。
様々な光景が脳裏に浮かんでは消えていく…。
『緊急事態発生!緊急事態発生!!待機中のイレギュラーハンターはただちに集合せよ!!』
「っ!?」
そしてゼロの眠りは鳴り響く警報の音によって破られた。
「また…あの夢か…。」
ゼロは呟くと、すぐに歴戦のイレギュラーハンターの顔となり、起き上がると司令室へと向かっていく。
『ポイント5567において、イレギュラー発生。イレギュラーは、最新の兵器でスカイラグーンを占拠!!この軍隊はレプリフォースと思われる!!』
「レプリフォース…了解」
「分かりました。直ちに出撃します!!」
「レプリフォースだと?…分かった。出撃する。」
それぞれが疑問を抱きながらも、平和のため再び戦いに赴くエックス達。
これが4度目の大戦のきっかけとなることをこの時はまだ誰も知らずにいた。
『エックス、サードアーマーを転送するわ。知っての通り、完全に解析出来たわけではないからまだ不完全なの。性能は以前の物よりオリジナルに近付けたつもりだけど性能が低下しているけど、頑張って』
「了解」
臨時オペレーターとして再配属されたエイリアはサードアーマーを転送すると、エックスがサードアーマーを身に纏う。
空中都市スカイラグーンへと着いたエックス達はそれぞれが別々に行動し、イレギュラーを排除していた。
ルインはレプリフォースの主力戦力として採用されている“ノットベレー”の姿を見て、ますます疑問を募らせる。
ノットベレーが投げてきた手榴弾をHXアーマーに換装し、エアダッシュとホバーで回避しながら後ろに回り込むとダブルセイバーによる連続斬りとソニックブームで撃破する。
「こいつら、本当にレプリフォースなの?」
ノットベレーは軍隊であるレプリフォースに所属するだけあって、連携による攻撃を得意としている。
それなのにこのノットベレー達はメカニロイドのような単調な攻撃しかしてこないことに疑問符を浮かべる。
しかし今は悩んでいる暇などなく、更に大型メカニロイド、“イレギオン”の攻撃を受ける。
しかしメカニロイドの単調な攻撃は当たらず、Xアーマーに換装するとダブルチャージショットを数回喰らわせ、イレギオンを撤退させる。
「ん?」
ルインはノットベレーの残骸から、このタイプのレプリロイドには使われていないはずのパーツを発見した。
他の残骸を見遣るとそれも同様であった。
「……………」
これが何を意味するのかは分からないが、嫌な予感を感じ、急いで動力室に向かうルイン。
エックス達よりも動力室へといち早く着いたルインはそこにいる先客に目を見開いた。
「君は確か、第14部隊隊長のドラグーン!!どうしてここにいるの?」
「まずいぞルイン!さっきのイレギュラーが動力炉を破壊した。」
ドラグーンの言葉にルインは目を見開く。
「嘘!!それじゃあ、このスカイラグーンは間もなく地上に激突しちゃう!!早く動力炉を復旧させないと!!」
「もう手遅れだ。俺は急いで脱出する。お前も無茶をせず、待避するんだ、いいな!!」
ルインに忠告するととドラグーンは巻き込まれないうちに即座にスカイラグーンから脱出する。
「…エックス、ゼロ」
『ルインか!?この揺れは一体…』
「大型メカニロイドのイレギオンがスカイラグーンの動力炉を破壊した…早く脱出しないと……」
『何だと…!?』
ルインの言葉に愕然とするエックスとゼロ。
『では街の重力制御装置も…』
動力源を失った浮遊都市スカイラグーン。
それが何をもたらすかは幼い子供でさえ分かるだろう。
当然、スカイラグーンは地上に落下しこの街の住人はおろか、落下点にいる下の街の住民にまで大勢の犠牲者を出す破目になるのは確実だ。
「もう手遅れだよ…私は…私は先に脱出するから、エックスとゼロも急いでね!!」
ルインは簡易転送装置を使い、地上へと脱出する。
スカイラグーンにいる数え切れない程の人命を見捨てていく自分を呪いながら。
そして地上へと脱出したルインは火の海と化した都市を見つめる。
「…許さない…!!何の罪もない人達を……それが…あなた達のやり方かーーーーっ!!!!」
FXアーマーに換装するとチャージしたナックルバスターでノットベレーへと殴り掛かる。
怒りに満ちた表情でメガトンクラッシュとショット連射でノットベレーを殲滅していく。
パワー特化のアーマーであるFXアーマーのショットやチャージ攻撃により、ノットベレーやメカニロイドを蹴散らしながら進む。
ルインはエックスとゼロと合流せずしてイレギュラーを排除し、奥へと進むとそこにはいるはずのない存在がいた。
「…何で、君がここに……?」
目の前の光景に絶句するルイン。
若干あどけなさを残す表情と栗色の長い髪。
今更自分が彼女を見間違うはずもない。
本来ここにいるはずが…いてはいけないはずの人物がいることに愕然となる。
レプリフォース陸軍士官カーネルの妹にして同軍のオペレーター、アイリスの姿がそこにあった。
「アイリス、大丈夫!?」
「ルイン…助けに来てくれたの……?巨大なイレギュラーが突然襲ってきて…」
「巨大なイレギュラー…あいつか…!!」
憤怒の表情を浮かべ、向こうで暴れているイレギオンを睨むルイン。
「アイリス、少しだけ待ってて。エックスとゼロにメッセージ入れとくから」
エックスとゼロにアイリスを任せ、自分はイレギオンの破壊に向かう。
イレギオンはルインの姿を見つけると同時に襲い掛かって来るが、ルインはイレギオンの爪をかわすと懐に入り、ZXセイバーによる斬擊を喰らわせる。
「当たれ!!」
怯むイレギオンから距離を取り、セイバーをバスターに変形させるとバスターを構えてチャージショットを胴体に叩き込む。
仰け反ったイレギオンに向かって跳躍し、とどめを刺す為にPXアーマーに換装する。
「十字…手裏剣!!!」
右腕に大型手裏剣を出現させると勢い良くイレギオンに向けて投擲した。
まともに喰らったイレギオンは真っ二つに両断されてしまい、間を置かずに爆発した。
「………」
PXアーマーからZXアーマーに換装すると、爆散したイレギオンの残骸を見遣るルイン。
そこにある人物が姿を現した。
「ルインか…」
「カーネル。何で君がここにいるの?」
「妹のアイリスが大型のイレギュラーにさらわれてしまってな…アイリスは無事だろうか?」
「アイリスはそろそろ到着したエックスとゼロが保護しているはずだよ」
自身を落ち着かせるように深呼吸しながら言うルイン。
それを聞いたカーネルは安堵の息を吐いた。
「そうか…お前達に借りが出来てしまったな」
「あの、カーネル…ここのイレギュラーはレプリフォース…なの?」
「何だと?我々レプリフォースも急いでこの場に駆け付けたのだ。あの軍隊は断じてレプリフォースなどではない!!」
「ノットベレーは確かレプリフォースの主力だよね?それが此処にいて、街やスカイラグーンを破壊したことについてはどう説明するのかな?」
「フッ、今は否定も肯定も出来ん。少なくともここで暴れているイレギュラー達が身につけている軍装は紛れも無く我々レプリフォース軍の物…更に士官である私がこの場に姿を現した以上、傍から見ればどうあっても我々レプリフォースの仕業にしか見えないだろうな」
「………もし…潔白だと言うのなら、サーベルを捨てて司令部にまで来てカーネル…そうすれば…」
「それは出来ん。お前にも分かっているはずだ。我々軍人が武器を捨てるのは戦えなくなった時のみだと」
「それだとレプリフォース全てがイレギュラー認定を受けるんだよ!?それに…アイリスだって悲しむに決まってる!!」
「アイリスなら…理解してくれるはずだ。我々は誇りあるレプリフォースなのだからな。」
「…分からず屋……!!」
この場を去っていくカーネルに対して深い怒りを抱えながらルインはエックス達の元へ向かうのだった。
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