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徒然草

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91部分:九十一.赤舌日といふ事


九十一.赤舌日といふ事

九十一.赤舌日といふ事
 六日ごとに訪れてくる赤舌日という日があります。これは陰陽道の占いの世界では別に取るに足らないことであります。昔の人はこんなことを気にせずに暮らしていました。最近になって誰が言い出したのかは知りませんが不吉な日ということになってこれを忌むようになりました。この日にはじめたことは中途半端で終わり言ったことや行ったことは頓挫し手に入れたものはなくなるし立てた計画は失敗に終わるとするのは馬鹿げたことであります。敢えて大安吉日を選んではじめたことでも行く先を見てみればその赤舌日にはじめたことと同じ確率で上手くいっていないものです。
 考えてみますと世の中というものは不安定なものですし全ての物事は終わりに向かって穏やかに進んでいます。そこにあるものが永遠に同じ形で存在することは不可能であります。成功を目指しても最後には失敗し目的を達成できないまま欲だけが膨れ上がるのが世の常です。人の心というものは常に矛盾していて説明できる筈もなく物は何時か壊れてなくなることを思えば幻と一緒であります。永遠なぞないのです。このことをわかっていないから吉日の悪い行いは必ず罰が当たり悪日のよい行いは必ず利益があるなどといたことを言うのであります。物事のよい悪いは心の問題でして日柄とは関係ないのであります。


赤舌日といふ事   完


                  2009・8・13
 
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