聖剣を抜かず
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第二章
「いつもじゃ」
「大事にされてますか」
「そうじゃ、わらわの様な風来坊をのう」
「太平洋が統一されるまで冒険者で」
「暇だったら地下世界の方に協力してじゃったけえ」
「好き勝手にですか」
「やってたんじゃ」
自分のこの世界の過去のことも話すのだった。
「わらわは、けれどじゃ」
「お二人はですか」
「そのわらわを盛り立ててくれる」
「そのことがですか」
「わらわは嬉しいんじゃ」
こう言うのだった、やはり食べつつ。
「そのことがのう」
「そうですか」
「しかしじゃ」
「しかしとは」
「今は美奈代ちゃんとじゃ」
美奈代にも言うのだった、自分と比べて食べ方が随分と穏やかな彼女に対して。
「こうしてじゃ」
「神託にですね」
「向かうけえ」
笑顔での言葉だった。
「特に今はわらわ自身の神託じゃしのう」
「それだけに」
「気合が入るのう、どんなモンスターが出て来ても」
「憶することなくですか」
「わらわは戦ってじゃ」
そしてと言うのだった。
「謎があってもじゃ」
「解かれますか」
「謎は力づくでじゃ」
それでというのだ。
「解決するものじゃ」
「いや、そこは解かれないと」
「そんなことはわらわはせん」
これが碧の返事だった。
「まっすぐに進んでじゃ」
「そうしてですか」
「解決するけえ」
「あの、考えてこそ」
どうかという顔でだ、美奈代は言い切る碧に述べた。
「ことはです」
「解決するか」
「慎重に」
「よく言われることにしてものう」
「碧さんとしては」
「そうじゃけえ、力技でじゃ」
それでというのだ。
「問題は解決するけえ」
「推理ものにすると異色ですね」
「マイク=ハマーじゃのう」
第二次大戦直後に登場した型破りな探偵だ、考えるより行動というタイプでバイオレンスなシーンも多いことで知られている。
「言うなら」
「そうですね」
「というか考えも無駄ならじゃ」
「考えない」
「そうじゃ、いざとなれば」
その時はというのだ。
「白兎も知恵を出してくれて閃くけえ」
「それで、ですか」
「わらわは考えるよりも」
「まず行動ですか」
「わらわはそうじゃけえ、神託も」
自分のそれもというのだ。
「まず動くけえ」
「真っすぐにですね」
「それで適えるけえ」
こう言ってだ、そしてだった。
碧は牛肉の塊を平らげた後でパンもデザートも食った、そのうえで美奈代と共に神託を探したが途中自分の好みの男を見るとだった。
婿にならぬかと声をかけそしてならず者を見れば叩きのめす、モンスターとの戦闘で暴れ回るといった破天荒さだった。
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