徒然草
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204部分:二百四.犯人を笞にて打つ時
二百四.犯人を笞にて打つ時
二百四.犯人を笞にて打つ時
罪人をムチで打つ時にはまずは拷問をするその道具で縛ってそれで痛みや抵抗で暴れても動けないように縛っておきます。このムチの打ち方は今でも伝えられていますがその縛る道具の形や縛る方法については今は知る人もいません。そうしたことも忘れられてしまっています。
こうした拷問や刑罰の類は正直に申し上げまして行われない方がいいものです。ですから忘れられるということはある意味においていいことなのでしょうがそれでも正式な作法が忘れられてしまうというのはいささか寂しいものがあります。こうしたことも忘れられていくのだと思ったりもします。やはり罪を犯してしまう者はいますからその際にそうしたことをしていかなければならないでしょう。何事においても正式な作法を知っておかなければなりません。それはこうした刑罰や拷問の類でも同じです。ここで注意しないといけないのは正式なことを定めておかないとそれでとんでもなく惨たらしい刑罰や拷問をしかねないということです。確かに刑罰は必要なのですが惨たらしいことをしてはなりません。このことは強く心に留めておかなければならないことであると思います。さもなければまことに血生臭い忌むべきことが起こってしまいます。
犯人を笞にて打つ時 完
2009・12・4
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