ロックマンX~Vermilion Warrior~
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第43話:Destiny Ⅱ
アースクラッシュのエネルギーを体内に流し込まれても立ち上がったエックス。
セカンドアーマーが大破する直前に全てのパーツをパージしたことで自身の破壊を逃れたのである。
「成る程…確かに俺の“使命”はまだ終わってはいないようだな!!」
「ごふっ!!」
しかしいくらダメージを最小限に抑えたと言ってもエックスの体には相当のダメージが蓄積しており、ゼロの拳を避けられずに吹き飛ばされてしまう。
「退屈させない男だ。俺の宿敵と言う爺の言葉も戯言とは言えなくなってきたな……だが、エックス。アーマーを失ったお前が俺に敵うと思うか?」
エックスの能力はノーマル状態でも決して低くはない。
それでもフルアーマー状態時と比べればかなり見劣りするレベルと言うのが大体の見解だろう。
「確かにアーマーは失われたけど、俺がこうやって諦めずに立っている限り、必ず活路は開ける!!」
「ならば、貴様の不屈の闘志と魂をこの一撃で打ち砕く!!」
エックスに向かっていくアースクラッシュの衝撃波。
それを真正面から受けたエックスを見たゼロは笑みを浮かべるが、次の瞬間に驚愕する。
「何!?アースクラッシュの中を突っ込んでくるだと!?」
「ファーストアーマーが俺の本来の力を引き出すアーマーなら、セカンドアーマーは俺の成長を表すアーマーなんだ!!だからアーマーが無くなっても強さが俺の心にある限り、俺は負けない!!」
エックスの拳がアースクラッシュの硬直で動けないゼロのヘッドパーツのクリスタル部分を粉砕し、内部のチップも破壊した。
「(チップは破壊した…ゼロは…?)」
ゼロが倒れるのと同時に地面が割れ、2人は落ちていく。
「い…一体何が起きているんだ!?」
状況の把握が出来ずに大分下に落ちたが、何とか床に着地には成功したエックスはゼロを捜す。
「ゼロは何処だ?」
周囲を見渡すと倒れたまま動かないゼロを見つけた。
「エネルギー反応は…ある…でも何故動かないんだ……まさか…手遅れ…」
助けられるかもしれないと言う希望が消えたことにエックスは拳を握り締めた。
「残念だったなエックス…しかし私の心は晴れやかだ…復活してから長い間待っていたからな…私の夢が叶うこの時をな…」
「シグマか!!!」
エックスは立ち上がり、バスターを構える。
しかしエックスにバスターを向けられてもシグマは動じることなくゆっくりと立ち上がる。
「人類の抹殺…そして、貴様への復讐!!この2つの夢を叶えられる日をな」
新しいシグマのボディの武装である爪が手の甲から飛び出し、シグマは笑みを浮かべながら掌に電撃を発生させる。
「さあ、エックスよ…久しぶりの再会だが…今すぐ死んでもらうぞ!!」
「ぐあっ!!」
電撃弾がエックスに放たれ、それはエックスに直撃して吹き飛ばす。
「くっ…俺は…ゼロやお前に利用されたオストリーグ。そして犠牲になった人々の為にも負けられないんだ!!」
何とか耐えてチャージショットを放つが、それは簡単にかわされてしまう。
「な!?消えた…」
「上だ」
シグマはワープでチャージショットをかわしてエックスの真上に移動し、落下しながらエックスを爪で斬り裂く。
「がはっ!?」
まともに受けてよろめくエックスにシグマは追撃の電撃弾を放って直撃させ、距離を詰めると凄まじい拳のラッシュを叩き込み、そしてエックスの顔を鷲掴んで笑みを浮かべる。
「どうした?エックス、貴様弱くなったか?それとも私の方が強くなり過ぎたか?どう思うエックス!!」
エックスを床に叩きつけて再び電撃弾を繰り出す。
「やはり、私が強くなり過ぎたかっ!?灰になれーっ!!」
放たれた電撃弾は倒れているエックスに直撃し、爆発が起きる。
「フッ…終わった…訳がないか…」
煙を払って現れたのは傷付きながらも立ち上がり、シグマを睨み付けるエックスであった。
「相変わらずの根性だな。だが、どれだけ足掻いたところで私との実力差は埋められんぞ」
「そんなことはやってみなければ分からない!!」
そう言ってバスターを構えるエックスだが、それを横から掴んだ者がいた。
「え?ゼロ!?」
エックスの腕を掴むゼロの姿は全く変わっていない。
それを見たエックスは悲しげに見つめるが、徐々にゼロのアーマーと髪の色は先程正気を取り戻した時の色に戻っていく。
「エックス…お前だけの力ではシグマは倒せないぞ。だが、俺達が組めば話は別だ」
完全に正気を取り戻したゼロがエックスに不敵な笑みを浮かべる。
「そうだな、力を貸してくれゼロ!!」
「任せておけ、今度こそシグマを倒すぞ!!二度と蘇らないようにな!!」
構えるエックスとゼロに対してシグマも笑みを浮かべる。
「全く、未知数な奴らだな。しかし貴様らの創る伝説もここまでとなる!!」
エックスとゼロに向かって電撃弾を放つがエックスとゼロに焦りはなかった。
「行くぞエックス!俺達の全エネルギーを!!」
「シグマにぶつける!!」
エックスがチャージショット、ゼロがアースクラッシュを同時に繰り出す。
アースクラッシュのエネルギーがチャージショットに吸収され、強大な一撃となってシグマに炸裂した。
「二つのパワーが一つになっただとーっ!!」
合体攻撃の威力はシグマのボディを粉砕したが、爆散する直前に意味深の笑みを浮かべていた。
そして周囲から何かの起動音が聞こえる。
「何だこれは?」
「何かが起動したようだが…」
『かかったな』
「な、シグマ!?」
「馬鹿な!?ボディは完全に破壊したはずだ!!」
シグマの声にエックスとゼロは動揺しながらも構えるが、シグマは構わずに話を進める。
『忌々しいが、貴様らは最強の敵だ…しかし…今の戦いの真の目的は…貴様達の足止めだ。我がダミーを倒した一撃で貴様らのエネルギーは底をついたろう。貴様らはここで人類抹殺を見ながら朽ちていくのだよ』
現れた半透明のシグマの巨顔にエックスとゼロは目を見開く。
「ダミーだと!?」
「貴様…ボディを失って何故生きているんだ…?」
『私は既にボディを持たずとも生き長らえ、行動出来る術を得ていてな。あのボディも私にとって仮宿のような物。あのボディは貴様達のエネルギーを削るために用意したのだ。私のボディは最早この基地そのものと言ってもいい!!』
「くそ…まんまとシグマの作戦に引っ掛かるなんて…」
「確かにエネルギー切れだ…」
最早ショットを放つだけのエネルギーもない。
太陽が降り注がない基地の中ではエネルギーの補充は不可能だ。
『しかもダミーの破壊と同時にシグマチップを持つレプリロイドによって私の最終プログラム…“人類抹殺計画”が実行される!!』
「そんな…俺がしたのはシグマの計画の手助けだったと言うのか…?このままでは地球が…人類が…どうすることも…どうすることも出来ないのか!?」
このままでは地球が、人類が…ハンターベースにいる仲間達…エイリアとケインも殺されてしまう。
だが、エネルギーが尽きているエックスにはどうすることも出来ずに悔し涙を流すしかなかった。
しかしその時、奇跡が起きた。
シグマに占領されたはずのネットワークのうち、四ヶ所に希望の光が走り、その光はエックスとゼロに降り注いだ。
「「!?」」
『くっ!何者だ!!何者が我がシステムに侵入した!?』
「力が…」
「みなぎってくる!?」
2人に降り注いだ光がエックスとゼロのエネルギーを全快の状態に持っていく。
『我が名はマザー。勇者によって目覚めた巨大コンピューター』
「「マザー!?」」
思わぬ存在からの救援にエックスとゼロが驚く。
『自然の声…人々の平和への祈り…そして勇者の涙があるプログラムを起動させた。この男によるプログラムだ。』
「あっ!?」
マザーが見せるのはライト博士の姿であった。
『エックスよ…ロックマンの名を継がせたばかりに辛い目ばかりに遭わせてしまったな…しかし皆が平和を待っておる。さあ、取り戻した友と共に渾身の力を込めて平和の光を取り戻すのじゃ…』
そしてエックスは自身のボディに送られたプログラムを理解すると、ライト博士に向かって力強く頷いた。
『貴様ら!!誰と話している!!』
「なるほど、悪人には聞こえない上に見えないようだな…さあ、やるぞエックス!!」
どうやらマザーとライト博士はエックスとゼロにのみ見聞き出来るようにしているようだ。
ゼロはこのチャンスを無駄にしないようにエックスに叫ぶとエックスも笑みを浮かべて頷いた。
「ああっ!!みんなの未来を奪わせはしない!!」
『えーい!!小癪なっ!!』
基地全体がシグマのボディと言う言葉通りに床が変形してエックスとゼロに襲い掛かる。
「行くぞエックス!!アースクラッシュ!!」
しかし全快状態の2人にそのような攻撃が当たるはずもなく、ゼロが拳にエネルギーを纏わせてエックスの背中に叩き込む。
「ぐっ!!」
『馬鹿め!味方を攻撃するとは何のつもりだ!!』
アースクラッシュを受けてふらつくエックスを嘲笑うシグマだが、エックスは不敵な笑みを浮かべる。
「馬鹿…?違うな…これはお前を倒すための準備だ!!ギガクラッシュは受けたダメージを溜めて巨大なエネルギー放出する技…そしてライト博士が送ってくれたプログラムはゼロのアースクラッシュのダメージエネルギーを数百倍にして放出するんだ!!受けろシグマ!!ハイパーギガクラッシュ!!」
アースクラッシュのダメージエネルギーを数百倍にして放出したギガクラッシュの強化版のエネルギー波を放ってシグマに直撃させる。
『何故だーっ!!私の勝利は確実だっ!!なのに何故二度も!?有り得ん!!有り得ん!!』
現実を受け入れることが出来ないまま、シグマはハイパーギガクラッシュのエネルギー波によって基地ごと吹き飛ばされた。
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