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徒然草

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153部分:百五十三.為兼大納言入道


百五十三.為兼大納言入道

                百五十三.為兼大納言入道
 為兼の大納言入道殿が罪を犯してしまいそれにより六波羅の武士達によって捕らえられ島流しにされる為に牢に連行されようとしていた時のことです。それを見た日野資朝殿が連れて行かれる大納言殿を如何にも羨ましそうな目で見ながらああ、何と羨ましいことか、この世に生まれた想い出に自分も一度はああした目に遭ってみたいものだと呟いたそうです。
 これをどう思うかといいますとまずは果たしてどういう意味なのかと考えてしまいます。ただ単に何もわかっていないだけなのかそれともわかっていて言っているのか、それがわからないのです。わかっていないのならこれ程軽率なことはありません。罪を犯して咎を受けるというのはやはり好ましいことではありません。そしてわかっていて言っているのならこれはもう酔狂であります。それもある意味窮めてしまっている酔狂であります。そうした酔狂な方ならばもう何も言うことはありません。もっともわかっていなくても言うことはなくなってしまうのですが。どちらにしても資朝殿のこの御言葉にはよく考えさせられてしまいます。まことに変わった人であります。


為兼大納言入道   完


                 2009・10・14
 
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