ロックマンX~Vermilion Warrior~
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第28話:Glitteing Death Ⅱ
前書き
マイマインを撃破したエックス。
死への恐怖心に勝てず、無意識にチャージショットをマイマインに直撃して破壊…殺してしまったエックスは体を震わせた。
そう、まるで新人時代に初めてイレギュラーを撃った時のように。
「く…っ…うああああああっ!!!」
膝をついて涙を流すエックスの叫び声が洞窟に響き渡る。
『エックスよ…』
「え?」
『泣くでないエックスよ』
目の前にカプセルが出現し、優しい表情を浮かべてエックスを見つめるのはライト博士のホログラムであった。
「ライト…博士…」
『エックス…わしのことを思い出したのか…』
エックスがファーストアーマーのパーツを返しに来た際にはライト博士は姿を現さなかったので、これがライト博士との僅かな記憶を取り戻した記憶を取り戻したエックスとの会話であった。
「俺は…博士に与えられたこの力を正しく使えなかった…マイマインの大切な物を奪った挙げ句に…彼も…彼を撃つつもりはなかったんです…でも…恐怖心に勝てませんでした……」
あのままでは、エックスはマイマインによって破壊されていた。
誰もが仕方ないと思うだろうが、優しいエックスにはそんな逃避は出来ない。
『……………』
「マイマインに詫びるどころか……俺は……俺は……俺は此処に来てはいけなかったんだ。」
涙を流し続けるエックスにライト博士は何も言わずに見つめていたが、しばらくして口を開いた。
『………エックスよ……お前の取った行動の善悪は今は問うまい……しかしお前は一つのことを確かに学んだ……人を傷付ける“悲しみ”、“痛み”……そう、相手と同等の“心の傷”を……』
カプセルから光が放たれ、エックスに吸い込まれていき、エックスの体は元通りとなる。
同時にパワーアップも行ったのか、エックスのヘッドパーツが変化を起こし、ファーストアーマーのヘッドパーツとは違う機能を持った新たなヘッドパーツとなる。
『さあ、立つのだ…でもマイマインの“心の傷”を自分の“傷”として…決してそこ“心の傷”を忘れるでないぞ……私の最後の息子…世界の希望よ』
立ち上がったエックスの表情は涙を流しながらも何処か力強かった。
「はい…!!」
そしてシグマが潜んでいるシグマの基地ではクリスタル・マウンテンがエックスに奪取されたと言う報告を受けたシグマがグラスを握り砕いた。
「鉱山がエックスに奪取されただとお~~~っ」
「まことに遺憾ながら……」
怒れるシグマにサーゲスはそう答えると、シグマは冷静さを取り戻して部下から新たなグラスを受け取る。
「採取したエネルゲン水晶で最高のボディを造れ」
「はっ」
「それと……」
「御案じめされるな」
シグマの言葉を制すると、サーゲスは口元を押さえて笑い始める。
「ククク…承知しております…シグマ様も余興好きですな……お言い付け通りに仕上げていますよ。エックスを葬る最凶のハンターに!!」
扉が開くと光に照らされて良く見えないが、細部こそ違えどゼロに酷似したシルエットが浮かんでいた。
そしてエックスはハンターベースに戻るとエイリアに出迎えられた。
「お帰りなさいエックス…あら?エックス、そのヘッドパーツ…」
微笑みと共に告げられた言葉にエックスはマイマインのことで傷ついた心の痛みが和らぐのを感じた。
エイリアはエックスのヘッドパーツが変化していることに気付いて興味深そうに見つめる。
「うん、ただいまエイリア…ライト博士が俺にヘッドパーツを与えてくれたんだ」
「そうなの…バックアップを取りたいところだけど、今はゆっくりと休んで」
エイリアはケインからエックスの出自をある程度聞いており、エックスがライト博士の遺作であることと、前回の戦いでのエックスの強化アーマーがエックスのために用意されたライト博士製の物であることを聞かされているのだ。
何故既に故人であるはずのライト博士がホログラムと言う形で存在しているのか、ライト博士のことで色々と聞きたいことは1人の研究者として山程あるが、今でなくとも良いだろう。
エックスが生きていればライト博士について色々なことを聞けるのだから。
「それじゃあ、ケイン博士への報告を終えたら休むよ」
「ええ、次の任務までゆっくり休んで…次の任務も必ず帰ってきて。私はあなたに聞きたいことが沢山あるんだもの…そうそう、ファーストアーマーの修復が終わったから次の任務には持っていけるわよ。ライト博士の新しいアーマーが用意されてるならすぐに御役御免になりそうだけど」
「そんなことないよ、君の用意してくれたアーマーのおかげで俺は多少の無茶が出来るんだから…まだまだ使えるよ…それじゃあまた」
「ええ、また」
エックスの言葉にエイリアは微笑みながら作業に戻り、それを見たエックスもケインへの報告に向かうのであった。
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