ロックマンX~Vermilion Warrior~
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第15話:Energy Mine Ruins
オクトパルドをルインが下し、クワンガーをゼロが下したためにエックスは反乱軍の最後の特A級ハンターであるアーマー・アルマージの元へ向かっていた。
鋼鉄の甲弾闘士 アーマー・アルマージ
元第8機甲部隊の隊長であり、鉄壁の防御力を誇る装甲を纏う武人肌の堅物。
イレギュラーハンター部隊の指揮権を全てシグマに掌握された事から彼を上官と判断し、“上官の命令は絶対”として反乱に参加する。
“上官の判断に対する責任は上官にあり、上官の命令について部下が疑念を挟むことは間違っている”と考えており、蜂起後は兵器の原料の採れる鉱山を占拠した。
「ストームトルネード!!」
ダチョウ型メカニロイドに向けてストームトルネードを放ち、周囲のメカニロイドにもストームトルネードを放って破壊する。
「ホーミングトーピード!!」
途中の蝙蝠型メカニロイドを転送されたオクトパルドのDNAデータ会得した誘導ミサイルを発射するホーミングトーピードで撃墜しながら奥へと向かう。
恐らく物資運搬用だったのだろう機械に乗ると、一気に奥へと突き進み、鉱山を出ると崖の向こうに扉が見えたので一気に跳躍して飛び移った。
扉を開けると1体のアルマジロをモデルに作成されたであろう非人間型のレプリロイドがいた。
全身を白銀に輝くアーマーで覆い、両腕には一際大きな盾を備えており、背丈はエックスよりも少し小さい程度だが、その鋭い眼光は見るものを怯ませる凄みがある。
かつての自分にイレギュラーハンターとしての在り方を説いてくれた存在でもあった。
確か自分が第17精鋭部隊に配属されて1年程経った頃だっただろうか?
ゼロが自分の教育係を任されていた時期のことで、ピエロ型レプリロイドのピエロットがイレギュラー化して、サーカスで人間を人質に取った立て籠り事件の時にアルマージに出会った。
偶然非番だったアルマージにゼロが協力を要請したことで共に事件の対応をしたのだ。
『俺が奴の注意を引く。アルマージとエックスは左右から回り込み、無力化を』
『心得た』
『了解。気を付けて、ゼロ』
三手に分かれて人質の奪還と、イレギュラーの無力化を開始し、ピエロットはサーカスホールの丁度中央に陣取っており、その周囲に10人程の劇団員を縛り上げていた。
『おい、イレギュラー。随分と迷惑なショーをやってくれるじゃないか』
ゼロがピエロットの気を引き付けることに成功し、後は自分かアルマージがピエロットを狙撃するだけだったのだが、ピエロットは自分達の想像を超えていた。
『ヒャー!!やrうもんあらyあtmろy』
ピエロットのイレギュラー化は言語中枢にまで及んでいるのか、何を言っているのか理解出来ない。
そしてピエロットは手元にいた人質2人を両脇に抱える形でサーカスホールの中央から走り出す。
『チッ!エックス、そっちに行ったぞ!!』
ピエロットが向かったのは自分が潜んでいる場所の射線上であり、すぐにショットを放てるようにバスターを構える。
『動くな!動くと撃つぞ!!』
後は精密射撃でピエロットを撃ち抜けば終わる…はずだった。
『お前、同じレプリロイドを撃つのか?』
言語中枢がおかしくなっているのにも関わらず、はっきりとした口調で放たれたその言葉に、僅かな迷いが生じてしまった。
その迷いが命取りでピエロットに次の行動に移るための余裕を与えてしまう。
『チッ!エックス、動け!!』
ゼロが駆け寄ろうとするが、間に合わない。
ピエロットは耳障りな機械音を鳴らしながら人質を地面に叩き付けようとする。
固い地面にレプリロイドのパワーで人間を叩き付けようとしたら間違いなく死ぬ。
人質が地面に叩き付けられる直前であった。
『そうだ。貴様がイレギュラーで、我らはイレギュラーハンターだからな』
アルマージがローリングシールドで人質を包むことで守り、額のバスターでピエロットの動力炉を撃ち抜いており、ピエロットは力なく崩れ落ちた。
自分がバスターをゆっくりと下ろした直後にアルマージに殴られた。
『何故、あの時撃たなかった?もしも自分がいなければ、罪のない人間が2人、確実に死んでいたのだぞ。ハンターが躊躇えば、罪なき者達が死ぬ。努々忘れるなエックス』
あの時、アルマージに言われたことは今でも鮮明に覚えている。
「エックス…お前かルイン達が来たら倒すよう命令されている」
そして自分にイレギュラーハンターとしての在り方を説いてくれたアルマージが今、イレギュラーとして目の前にいる。
「狂ったシグマの命令で俺と戦うのか…」
「戦うのは自分の使命だ」
「それはイレギュラーの考えだ。アルマージ!!あなたにその命令を与えたのはイレギュラーであるシグマだ!!」
戦闘型レプリロイドであれば戦うことを使命と考えるのはおかしいことではないが、命令を与える存在がイレギュラーであることに何の疑念も抱かずに従って戦うことはイレギュラーの考えでなければ何と言うのだろう。
「ハンターの指揮権がシグマに掌握された今、我々の上官はシグマだと判断している。そして自分は上官の命令に従うのがイレギュラーだとは思わない。我々はどちらも間違ってはいないということだな…」
エックスの考えに理解を示しながらもシグマへの忠誠のために戦いを選ぶ。
「これ以上は問答無用!!お前が信ずる信念を貫くが良い!!」
「アルマージ!!」
先制してショットを連射するがアルマージの盾によって容易く弾かれる。
「我が特殊合金の盾はいかなる攻撃だろうと弾く。例えそれがゼロのバスターやルインのセイバーでもだ」
「なら、これならどうだ!?ホーミングトーピード!!」
ショットが効かないなら特殊武器を選択し、バスターから誘導ミサイルを放ってアルマージに直撃させる。
アーマーはミサイルの直撃に耐えられたとしても内部に走る衝撃は相当なものだ。
しかし、エックスは悪寒を感じて反射的に体を横にずらして回避するのと同時にアルマージの額のバスターから放たれたショットがエックスの頬に掠る。
「っ…!!」
頬に走る痛みに顔を顰めるが、煙の方を見つめる。
「成る程、以前と比べて確かに強くなっている。流石は他の特A級ハンター達を倒しただけのことはある…今度はこちらから行くぞ!!」
アルマージは丸くなるとエックスに向けて突進攻撃を仕掛けてきた。
突進を回避するエックスだが、アルマージは壁にぶつかると反動によって移動することで縦横無尽に動き回る。
壁や地面、天井にぶつかる度に部屋が揺れてエックスの動きを鈍らせていき、更にアルマージは転がりながら四方にショットを撃って来る。
「ぐっ!!」
動きが鈍っていたエックスはショットの直撃を受けて硬直しまい、それを狙ってアルマージが突進をエックスに喰らわせた。
「ガ…ッ!!」
アルマージの突進をまともに受けたエックスは勢いよく壁に叩きつけられたが、何とか起き上がる。
「我の突進を受けながらまだ生きているとはな…」
内心エックスの防御力に驚きながらも額のバスターをエックスに向ける。
「だが、これで終わりだ。さらばだエックス!!」
バスターにエネルギーが充填され、エックスに向けてショットを放とうとした瞬間に2つの漆黒と橙の影が乱入した。
「グラウンドブレイク!!」
「アースクラッシュ!!」
ナックルバスターと拳が地面に叩きつけられ、火柱と衝撃波が同時にアルマージを襲う。
「ゼロ…ルイン…」
「セーフ、何とか間に合ったね!!」
「どうしたエックス?アルマージに随分と苦戦したようだな。ボロボロじゃないか」
ゼロとルインがエックスに駆け寄って助け起こす。
「君達だって…まさか、オクトパルドとクワンガーを倒した後、すぐにここに来たのか?」
2人の傷だらけのアーマーを見れば、治療を受けていないのは明白で、それなのに助けに来てくれた2人に対して嬉しいと思う反面申し訳なく思う。
「ゼロ…ルイン…まさかお前達まで来るとはな」
グラウンドブレイクとアースクラッシュを同時に受けたにも関わらずアーマーが少々焦げている程度のアルマージが煙から出て来た。
「相変わらず出鱈目なアーマーだな…それにしてもお前のような堅物までシグマに従うとはな」
ゼロの最強の技であるアースクラッシュとパワー重視のアーマーであるFXアーマーの最大の技だというのにも関わらずアーマーに焦げ目がついた程度だ。
「ゼロ、ルイン。お前達も倒すように命令されている」
「それはシグマの命令?」
「無論」
「そう…なら言葉はいらないね!!メガトンクラッシュ!!」
メガトンクラッシュをアルマージに叩き込もうとするが、アルマージの盾に阻まれる。
「温いぞ!!」
「くっ!!」
攻撃後の隙を突いたアルマージの額のバスターのショットを受けたルインは仰け反る。
「離れろルイン!!」
牽制のためにショットを連射するゼロだが、それはアルマージからすれば無意味である。
「その程度…」
アルマージの全身を球状のバリアが包み込み、ゼロの放ったショットを防ぐ。
「!?」
「喰らえ!!」
次の瞬間にはバリアのエネルギーが解放され、ゼロは吹き飛ばされる。
「ゼロ!!」
「ぬうぅん!!」
ゼロに気を取られたエックスに突進を浴びせるアルマージ。
「エディットバスター!!」
ダメージから立ち直ったルインはショットを連続で放つが、アルマージのアーマーには傷1つ付かない。
「…っ!!」
理不尽なまでの防御力に歯噛みしてしまうルイン。
「チッ!爆裂炎!!」
拳を地面に叩きつけ、火柱を発生させる。
この技は威力こそはアースクラッシュに劣るが、相手の足止めには絶大な効果を発揮する。
その隙にゼロはエックスとルインの元に駆け寄ると耳打ちする。
「エックス、ルイン…“あれ”をやるぞ」
「あれを…!?」
「で、でもあいつにあれが通じるの!?アースクラッシュやグラウンドブレイクが同時に当たってもびくともしないのに!!」
「分からん…しかしこれが通用しなければ俺達に勝ち目はない。それに俺とエックスのバスターも強化されているんだ…以前以上の威力を見込める。一か八かの賭けだ」
「…分かった。」
「やろう」
ゼロの言葉にエックスとルインも同意し、アルマージの方角を見遣る。
「エックス、ルイン。構えろ!!」
「うん!!」
「行くぞ!!」
ゼロとエックスがバスターを構え、ルインがZXアーマーに換装するとバスターを構える。
火柱が消えるのと同時にアルマージが突っ込んで来た。
「エネルギー、フルチャージ!!」
「行くぞエックス!!ルイン!!」
「ああ…!!」
「「「クロスチャージショット!!!!」」」
3人のバスターから放たれたチャージショットが1つとなり、想像絶する破壊力を誇る一撃となってアルマージに向かう。
「っ!!」
その凄まじい熱量に戦慄したアルマージはバリアを張り、防御体勢に入る。
「ぬぐぐぐぐぐぐぐ…」
クロスチャージショットはバリアを打ち破り、そのままアルマージに直撃した。
「やった!!」
喜色を浮かべるルインだが、アルマージは即座に立ち上がってきた。
「そんな!?クロスチャージショットでもアルマージには通じないのか!!?」
「いや流石のアルマージもダメージは受けている。だが、流石にもうあれを喰らってはくれないだろう…」
「どうすればいいの…?」
「奴のアーマーさえ何とか出来れば…」
アルマージの異常とも言える防御力は全身に纏っているアーマーの恩恵があるからで、アーマーさえ破壊出来れば、アルマージの戦闘力は大幅に減少する。
「アーマー…いくら異常な強度のアーマーでも金属であることには変わらない…なら…ゼロ!!」
「?」
「もう一度あの火柱を出す技を!!」
「何?あれはアルマージには通用しないぞ」
「私に考えがあるの!!お願い!!」
ルインらアーマーをLXアーマーに換装するとハルバードをチャージする。
「爆裂炎っ!!」
拳を地面に叩きつけ、火柱を発生させるとアルマージを飲み込む。
アルマージはアーマーが熱されていくのを感じたが戦闘に支障が出る程ではないと判断し、火柱が消えた瞬間再び突進を繰り出そうとしたが。
「フリージングドラゴン!!」
氷龍がアルマージに喰らいつく。
アルマージはアーマーの防御力なら耐えられると判断したのか防御体勢に入っていたが、氷龍がアルマージに喰らいついた瞬間にアルマージのアーマーが砕けた。
「何!?」
「いくらあなたのアーマーが頑丈な特殊合金でも金属であることには変わらない!熱されたアーマーを極低温で冷やした事で脆くしたんだ!!」
「今だエックス!!撃て!!」
「スパイラルチャージショットッ!!!!」
自慢のアーマーを失い無防備となったアルマージに最大出力のスパイラルチャージショットを放つ。
全身がスパイラルチャージショットに飲まれ、苦悶の表情を浮かべながらもアルマージは嬉しさを覚えた。
思考回路が暴走し、視界にノイズが走る。
「いい…戦いだった」
満足感に満ちた呟きにエックス達は悲しげにアルマージの残骸を見つめる。
「…悔しいね…ゼロ、エックス。これ程の人でさえ…敵として戦わなきゃならなかったなんて…」
力なく座り込み、ポツリと呟くのはルインであったが、その想いはエックスもゼロもまた同じだろう。
「逆だ。これ程の奴だからこそだ。一度意見を違えれば最早決して相容れることは出来ない。本物の戦士であれば尚更だ。…とにかく俺達は漸くここまできた。これで残るはシグマだけだが…」
正直今のままでシグマに挑むのは余りに無謀過ぎる。
エックスもゼロもルインも満身創痍で、とてもじゃないが史上最強のイレギュラーハンターとまで呼ばれたあのシグマと戦うだけの力は残っていない。
「今は一度ハンターベースに引き上げるべきだな」
「そうだな…」
バーニン・ナウマンダー
アイシー・ペンギーゴ
ストーム・イーグリード
スティング・カメリーオ
スパーク・マンドリラー
ランチャー・オクトパルド
ブーメル・クワンガー
アーマー・アルマージ
シグマについた特A級ハンター達を全て倒した今、シグマが何らかの動きを見せるはずだ。
そしてアルマージのDNAデータを回収すると、鉱山を後にしようとした時にハンターベースからの通信が入ってきた。
『みんな、聞こえる?こちらエイリアよ。シグマのアジトを発見しました。“エックス、ルイン、ゼロはハンターベースに戻り次第指定された座標へ赴き、可能ならば、これを殲滅せよ”とのことです』
エイリアから伝えられた上層部からの命令にエックス達は表情を引き締めると鉱山を後にした。
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