ロックマンX~Vermilion Warrior~
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第3話:THE DAY OF Σ
前書き
本当にイレハン2出してくれないかな
シティ・アーベルの市街にて、暴走するメカニロイドを破壊、もしくは停止させるためにシグマ率いる第17精鋭部隊が出撃していた。
エックスは現在、別行動中でルインはゼロと共に物陰に身を潜めていた。
「ゼロ、メカニロイドが動き出したよ……」
「ああ…」
朱のアーマーを纏う少女と紅のアーマーを纏う青年…傍目からすれば兄妹に見える2人がメカニロイドの様子を伺う。
「エックスはまだかな…?」
エックスを乗せた運搬用メカニロイドはまだ着かないのだろうか?
「いや、来たぞ…予定通りだ」
ルインとゼロが上空を見上げ、そしてシグマも気付いたようで不敵な笑みを浮かべると片腕を上げた。
作戦開始の合図だ。
ゼロとルインが他の隊員と共に前に出るとゼロは腕をバスターに変形させ、ルインもZXセイバーを構えてメカニロイドに向かっていく。
そして上空からメカニロイドに向かって降下していくエックスも右腕をバスターに変形させるとメカニロイドに向け、バスターのエネルギーをチャージする。
「うおおおおお!!!!」
相手がメカニロイドなら普段のような遠慮はいらない。
エックスは最大までエネルギーをチャージしたバスターからチャージショットをメカニロイドに向けて放った。
これがエックスの最大火力。
伝説のロボットであるロックマンと同様にバスターに太陽エネルギーを収束し、それをバスター内でチャージすることによって威力と貫通力に優れたハイパーXブラスター…エックス達が言うチャージショットである。
チャージショットがメカニロイドに直撃し、それを確認したエックスはバスターを右に向けて放ち、その反動でビルの壁に手をつけ、地面に着地した。
「B級隊突撃開始!!」
エックスが着地したのを確認したシグマは次の指示を飛ばす。
「今だ!!確保するクワ!!」
ペンギーゴが隊員と共にメカニロイドを確保しようとした時、メカニロイドが再び動き出した。
「あの一撃を受けても平気なの…?」
あのメカニロイドにはどれだけ強固な装甲を使っているのだろうか?
エックスのチャージショットが効かないのなら、セイバーで直接攻撃するしかないだろう。
その時、シグマからルインとゼロに通信が入る。
『ゼロ、ルイン。そちらから目標のメインジェネレーターを確認出来るか?』
「メインジェネレーター…あれかな?」
メカニロイドの攻撃をかわしつつ、確認するとメカニロイドのアームの近くにメインジェネレーターらしき物があった。
「駄目です!奴の動きが早くて近づけません!!」
「あっ!!」
ゼロがシグマの問いに答えるのと同時にメカニロイドに捕まった隊員が投げ飛ばされた。
「喰らえ!!」
ペンギーゴが口から極低温のアイスショットを放つ。
それによってメカニロイドの脚部が凍結し、動きを阻害するが、それは少しの間しか保たず、氷は僅かだが砕かれてしまう。
「何てパワーだ…!!」
想像以上のメカニロイドのパワーに思わず表情を歪めるペンギーゴ。
「隊長!!奴のパワーは想定以上です。援護に回ります!!」
エックスはペンギーゴ達の援護に向かおうとするが一足遅かった。
氷を砕いたメカニロイドが隊員の1人を捕まえたからだ。
「た、助けてくれ…!!」
「野郎!!」
「くっ!!」
捕まった隊員を助けるため、動きを止めるためにエックスがメカニロイドの脚部を狙うが、放ったショットは装甲によって弾かれてしまう。
メカニロイドがエックス達を踏み潰そうとするが、何とか間一髪でかわす。
「これ以上はさせない!!」
「何時までも好きにやらせるかよ!!」
ルインとゼロがセイバーとバスターを構えてメカニロイドに突っ込む。
ゼロが至近距離で放ったショットがメカニロイドの脚部を穿ち、ルインのチャージされたセイバーの一撃はゼロの一撃で脆くなったメカニロイドの脚部を両断した。
チャージセイバーはエックスのチャージショットと同じくセイバー内でエネルギーをチャージすることで破壊力と切断力を高めた斬擊を繰り出すことが出来るのだ。
それによってメカニロイドはバランスを崩し、メインジェネレーターが露になる。
「あ…」
「ジェネレーターだ!!」
エックスがジェネレーターにバスターの照準を合わせようとするが、狙いどころを誤れば盾にされた隊員に当たる。
「エックス!!ジェネレーターだ。ジェネレーターを撃つんだ!!早くしろエックス!!」
ペンギーゴが急かすが、エックスはバスターを構えたまま動けなかった。
その時、シグマが愛用のビームサーベル・Σブレードで隊員ごと攻撃し、メインジェネレーターを破壊した。
盾にされた隊員の右腕もブレードによって切断されたが、命に別状はなく、メインジェネレーターを破壊されたメカニロイドは機能停止した。
エックスもバスターを下ろし、ゼロはバスターに変形させたままの腕で額の汗を拭う仕草をし、ルインもセイバーを下ろしていた。
「エックス、ゼロ。お疲れ」
周囲に敵がいないかを確認してきたルインがエックスとゼロに声をかける。
「ああ、君もお疲れ」
「大丈夫エックス?ペンギン君や隊長に何か言われてたけど?」
「ああ…隊長に俺達イレギュラーハンターには引き金を引くのを躊躇ってはならない時がある。それが力なき者の剣となり盾となる俺達の運命(さだめ)だって言われたよ…」
「ふうん…それにして最近メカニロイドのイレギュラーが多いよね」
「ああ、作業用メカニロイドだから、非常時のために装甲が異常に固いのも厄介だ」
「エックスのチャージショットも通用しなかったしね。いくら作業用でも固すぎるのも考え物だよ」
少なくともゼロが至近距離で攻撃して脚部を脆くしてくれたおかげでようやくチャージセイバーで両断出来たのだ。
イレギュラー化した時のためにもう少し装甲を薄くしてもらいたい所だが、それだとイレギュラー化以外の非常時の際に困ることになるので悩むところである。
「ああ…」
3人は今回の事件のことで会話をしながらハンターベースへと戻っていく。
「メカニロイドのイレギュラー。今月で7件目だな」
「隊長はその件でケイン氏に?」
「ああ、そうらしい」
ハンターベースに戻り、通り過ぎていく隊員達の会話に耳を傾けていたエックスは今まで思っていた疑問を口にする。
「イレギュラーか…どうしてイレギュラーは発生するんだろう?」
「え?イレギュラーの発生原因?そりゃあプログラムのエラーや電子頭脳の故障とか…」
「他にもウィルス等の問題もあるが、基本的には俺達レプリロイドの高度な情報処理能力の…いわばツケだな」
「ん?ねえ、あれって」
ルインが指差した先には、ハンターベースの保安要員に連行されている紫を基調にしたアーマーのレプリロイドの姿があった。
「VAVAだ…大方また揉め事でも起こしたんだろう。同じハンターでもエックスやルインみたいにいつまでも甘い奴もいれば、VAVAみたいにイレギュラーすれすれの奴もいるってことだ。」
「…………」
「でも、VAVAも人間臭いところあるよね」
「え?」
予想外の言葉にエックスの目は見開かれた。
「何でか分からないけどそう思う」
「奴を人間臭いと思うのはお前くらいだろう。」
ルインの発言に呆れたように言うとゼロは部屋のある場所とは別方向に向かう。
「あれ?ゼロ、どこ行くの?」
「トレーニングルームだ。エックス、ルイン。お前達はどうする?」
「私は部屋に戻るよ。多分メカニロイドの暴走のことで召集が来るだろうし。それにちょっと寄りたいとこもあるしね」
「俺も部屋に戻るよ。」
「そうか…」
3人はそれぞれの目的地に向かう。
一方その頃、Dr.ケインの研究所ではケインとシグマの密会が行われていた。
「最近、騒がしいようじゃな?」
棚に置かれてある自身が幼かった頃から大切にしていた玩具の整理をしながらシグマに尋ねる。
レプリロイドの生みの親として世界に名を轟かせている彼は、イレギュラーハンターを設立した後も度々ハンターベースを訪れ、ハンター達のメンテナンスやイレギュラー発生要因の研究など、高齢でありながら精力的に活動している。
しかしゼロの髪を勝手に三つ編みにしたり、エックスに青汁風味のオイルを飲ませたり、ルインを幽霊のフリをして脅かしたり等、他にも他にもetc.…。
まあ、ケインもルイン達からしっかりと報復は受けているらしいが、博士の悪戯を目撃してしまっている大半のハンターは、尊敬こそはしていても“元気溌剌のお茶目なお爺ちゃん”といった印象が抜けないらしい。
「はい、ケイン博士。イレギュラーによる犯罪は増加傾向にあり、大型メカニロイドの暴走も数件発生しております。」
「…エックスはどうしておる?」
エックスのことを尋ねられたシグマは疑問を抱きながらも口を開いた。
「状況分析、戦闘能力。共に極めて高いレベルにあります。が…時に悩み、判断を遅らせるところがあります」
「悩むか…正しくそれこそがエックス最大の特性なのじゃ。シグマよ、お前は悩むことがないじゃろう?わしはかつてある研究所跡の地下に封印されていたエックスを見つけだし、その設計思想を流用し、お前達レプリロイドを生み出した。レプリロイドは人間のように考え、行動出来る。じゃが、深く悩むレプリロイドは例外を除けばエックスだけじゃ」
例外…エックス以外に深く悩むレプリロイドは前世が人間だったルイン。
そして今、新しく創設された軍隊にいる100年前の伝説のロボットを元にして造られた兄妹レプリロイドの片割れだろうか。
「わしは、エックス達の深く悩むことがレプリロイドの新たな可能性であると思っておる」
「悩むことが新たな可能性?欠陥ではなく?」
「普通のロボットならそうじゃろうな。じゃが、エックスは深く悩み、ロボット三原則にも縛られない新たな答えを出すことが出来る。わしにもエックスの可能性が希望となるかそうでないのかは分からん。わしはこれからもエックスを見守っていこうと思っておる。この命が続く限りな」
「…………」
こうしてシグマとケインの密会は終わりを告げ、そしてほぼ同時刻にハンターベースの留置場にルインが訪れていた。
そこではVAVAが手錠を填められ、留置されている。
「やあ、VAVA。」
「何の用だ?シグマに命令されて俺を直々に処分しに来たのか?」
「まさか、ただ私は差し入れを持ってきただけだよ」
ルインがハンターベースの購買の紙袋から出したのは何時も自分が常飲しているオイルであった。
「お前は馬鹿か?こんなザマで飲めるか」
「うん、だから飲んでる間だけ手錠は外すよ」
「何?正気かお前は?手錠を外した瞬間にお前を殺すかもしれないんだぜ?」
「武装を没収されて丸腰の君と武装持ちの特A級ハンターの私。どっちに分があると思う?」
「チッ…」
ルインの言葉にVAVAは舌打ちすると手錠が外され、差し入れのオイルを口に含んだ。
「災難だったね~。イレギュラー討伐中に割り込んできた隊員をぶち抜いて牢屋に直行なんて」
「フン…」
思えば彼女とは初めて会った時からかなり変な奴だと思っていた。
イレギュラーハンターになりたての頃から自分に普通に話し掛けて来たからだ。
『えっと、君がVAVA先輩?』
『何だお前は?』
後で聞けば自分の思考回路が異常だという話は既に知っていたらしいが、それを聞いてなお話し掛けて来たのだ。
『私はルイン。最近イレギュラーハンターになったばかりの新人なんだ。よろしく』
『そうか、だったらすぐに消えろ』
『用はないんだけど…』
聞いていない。
彼女は見た目とは裏腹にどんな暴言も左から右へと聞き流す図太さを併せ持っていた。
エックス同様に甘いが、実力は申し分ないため、ストレス発散の模擬戦をする程度の関係にはなっていた。
『VAVA』
『何だ?』
ルインと知り合ってから数ヶ月後の何時も通りの模擬戦の最中であった。
『エックスが問題児のフレイム・スタッガーと決闘するんだってさ』
『決闘だと?』
『何でも、スタッガーのイジメが原因らしいけどね。』
『あの甘ちゃんハンターでは瞬殺されるのがオチだろうよ』
エックスのハンターとしての評価は一部を除いて基本的に誰から見ても低い。
余程の奇跡が起きない限り相手にならないだろう。
『それはどうかな?』
『何だと?』
『VAVAは知らないかもしれないけどエックスはその気になれば強いよ…スタッガーなんてメじゃないくらいにね』
『あの悩んでばかりいる甘ちゃんハンターにそんな力があるとは思えんがな』
『まあまあ、論より証拠だよ。2人の決闘を見てみなよ』
ルインがモニターを指差し、VAVAは半信半疑でモニターを見つめる。
そしてゼロが決闘の立会人となり、エックスとスタッガーの決闘が始まった。
2人が同時に動き出し、スタッガーが繰り出した拳をエックスは最低限の動きで回避するとチャージを終えているバスターの銃口をスタッガーの顎に突き付けた。
このままエックスがバスターの引き金を引けば間違いなくスタッガーの頭部が消し飛ぶ。
それを見たゼロがエックスの勝利を宣言し、スタッガーは反抗するも誰の目から見てもスタッガーの敗北は一目瞭然である。
普段の任務で目にするエックスの動きとはまるで違う。
『どういうことだ…?』
先程のエックスの動きはとてもB級とは思えない物で、間違いなくエースと呼ばれる者の中でも一握りの者しか為し得ない動きだ。
『言ったでしょ?本気になればエックスは強いって…』
『…あいつは力の出し惜しみでもしていたのか…?』
『違うよ?エックスは優しすぎる…無意識の優しさがエックスの能力に制限を課してるんだよ』
『無能なB級ハンターだと思っていたが…脳筋野郎とは言え特A級に勝てるくらいの力があるようだな』
この時からVAVAのエックスの評価は無能から僅かだけ上がった。
…途中から思考が逸れたが、VAVAはルインに視線を戻す。
「災難だけど、仲間殺しは重罪。極刑は免れないよね普通は」
「だろうな」
「けど君はこんなところで消えるような奴じゃないよね?運だけで特A級になった奴とは違うでしょ?」
「当たり前だ。俺を誰だと思ってやがる。無能なペンギン(ペンギーゴ)や豚(ナウマンダー)と一緒にするな。俺はVAVA、最強のレプリロイドだ。」
「それを聞けて安心したよ。もし今度会えたらまたピアノ聞かせてよ」
そう言い、VAVAに手錠を再びかけるとルインは留置場を後にした。
そしてハンターベースのトレーニングルームではゼロが今回の事件をシミュレーションで再現していた。
ゼロがバスターの照準をメカニロイドのメインジェネレーターに合わせる。
そして放たれた一撃はメインジェネレーターではなく、隊員の右肩に直撃した。
「っ!!」
訓練が終了し、溜め息と共にゼロはバスターに変形させたバスターを元に戻す。
95%
それが今回の訓練の成功率。
「チッ、5%をミスっちまったか…」
近接戦闘用の武装を持たない射撃型のレプリロイドであることを考えれば充分過ぎるが、やはりゼロとしてはパーフェクトを狙いたいものだ。
「95%か。大したもんじゃないかゼロ」
ゼロの訓練が終わるのを見計らってイーグリードがスコアを見ながら声をかけてきた。
「イーグリードか…お前、ミサイル基地の守備任務はどうしたんだ?」
「自動警報装置が完成したんで、守備隊は縮小されたよ。今日からはまた通常のハンター業務さ」
「そっか…」
「で、早速メカニロイドの暴走事件で召集だ。行こうぜ。ゼロ」
トレーニングルームを後にし、ブリーフィングルームに向かうゼロとイーグリード。
そしてブリーフィングルームには既にエックスとルイン達がおり、オペレーターからある事実が伝えられた。
「解体中のビルで起きたメカニロイドの暴走ですが、コントロール系が何者かに乗っ取られていたと判明しました」
「え?」
「中には誰も乗っていなかった…つまり遠隔操作されていた?」
オペレーターの言葉にルインは目を見開き、エックスはメカニロイドには誰も搭乗してなかったことを思い出し、オペレーターに尋ねる。
「そうです」
エックスの問いを肯定すると今度はゼロとペンギーゴが尋ねる。
「ちょっと待てよ。メカニロイドの警戒プログラムは…」
「そう簡単にハッキングされるような防壁ではないはずだクワ」
「はい、犯人はこちらの警戒体制に精通している可能性があります」
「で?犯人はどこから操作を?」
イーグリードは犯人の所在を尋ねる。
オペレーターがここに自分達を召集させたと言うことは犯人の居場所か手掛かりを掴んだのだろう。
「いくつもの衛星を経由してカモフラージュしていましたが…発信源はここ…シティ・アーベル東16番地区」
スクリーンに映し出された発信源はハンターベースからあまり離れてはいない場所だ。
「すぐ近くか…ふざけやがって…!!」
「“灯台もと暗し”…だね」
「シグマ隊長にこの事は?」
犯人の居場所がハンターベースからあまり離れていない場所であることに驚く者と憤る者がいたが、エックスは隊長であるシグマがこの事を知っているのかと尋ねる。
「連絡済みです。エックス、ルイン、ゼロのチームはこのブリーフィング終了後、偵察に向かうようにとの指示です。」
「「「了解!!」」」
そしてエックス達は発信源であるシティ・アーベル東16番地区に着いたが、あまりの静けさに表情を歪める。
「ここが発信源なの?そのわりには…」
「ああ、静か過ぎないか?」
「行ってみるか、エックス、ルイン。」
あまりの静けさにエックスとルインが訝しむが、このままここにいても何も分からないと判断したゼロは取り敢えず犯人がいるらしい建物に向かうことにした。
「うん」
「そうだね」
エックスとルインも同意し、3人は建物の壁を蹴るとあっという間に屋上付近の入口に向かう。
これが壁蹴りである。
特A級ハンターでも数える程しか扱える者が存在しない技術で特別な装備だけでなく絶妙なバランス感覚が要求される技術であり、これを扱えるレプリロイドは空戦型程ではないにしろ幅広い行動範囲を得られるのだ。
そして内部を見ると、そこには無惨な姿となった犯人であろうレプリロイド達が倒れ伏していた。
その光景にエックス達は愕然となるが、直ぐにハンターベースに連絡を入れた。
しばらくしてハンターベースから出動した調査隊が到着し、周囲の調査を開始した。
それまではルインとゼロが犯人達の状態を見ていたが、全員手遅れの上に手掛かりになりそうな物もないようだ。
犯人達の動力炉やメモリーチップを調べていたルインとゼロが首を横に振る。
動力炉は完全停止、メモリーチップは抜き取られていてデータを見ることも出来ない。
「…どうだ?」
エックスが何か他に手掛かりはないかと端末を調べている隊員に尋ねるが、隊員の表情は渋い。
「駄目ですね、恐らくデータは全て持ち出された後でしょう」
「かなりの手練だな」
ゼロは犯人達を殺したレプリロイドの戦闘力を冷静に分析すると、シグマが此方に来た。
「状況は?」
「ハッ!!仲間割れですかね?メカニロイド暴走事件のすぐ後にやられたようです」
「ふむ。ゼロ、ルイン。どう思う?」
隊員からの報告を聞いたシグマは犯人達の状態を見ていたゼロとルインに尋ねる。
「さあ、ですがどちらにせよやったのは相当の戦闘能力を持った奴でしょう。全て急所を一撃です」
「後、高出力のビームサーベルのような物で斬り裂かれたようですね。おまけに情報漏洩を恐れてかメモリーチップまで抜き取る辺り、徹底してます」
犯人達の体にはまるでバターを切ったように滑らかな切り口があり、僅かなぶれもない綺麗な切断面からは、使い手の相当の腕が窺える。
「うむ」
シグマは何故かチラリとエックスを見遣るとそのまま外に向かい、外に出たシグマは待機していたイーグリードに声をかけた。
建物内の状況と犯人のことを伝えるとイーグリードは頷き、自身の部隊を見遣る。
「仲間割れを起こした犯人の残りがハッキングデータを持って逃走中だ。イーグリード隊は周辺の捜索を開始!!」
【はい!!】
「ペンギーゴ隊は別地区の捜索クワ!!行くぞ!!」
【はい!!】
イーグリード隊とペンギーゴ隊が犯人の捜索を開始する中、1人残されたシグマは無表情のまま、ただ静かに立っている…。
後書き
イレギュラーハンターXでは強襲を任せられる辺り、性格はともかく性能面では一定の評価はあったように見えますね。
ペンギーゴですらエックスのチャージショットを受けて無傷のメカニロイドを見て驚愕する辺り、少なくとも一撃の火力の高さは買われてたんでしょうね
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