本当の友人
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第二章
「まだです」
「そうしたことをお考えですか」
「どうも」
飲みつつこんなことを話した、彼はふとこうしたことを考えることが結構あった、それで哲学の本を家で読んでもだ。
友達とは何か、それがわからず。
考え続けた、妻とも話したが言うことはいざ型の親父と同じだった。
「やっぱりね」
「親しい人がかい」
「気軽にお話出来たりしたらね」
それでというのだ。
「お友達じゃないの?」
「そんなものか」
「そうでしょ」
こう夫に言うのだった。
「やっぱりね」
「あまり深く考えることもないか」
「そうでしょ」
こう言うのだった。
「本当にね」
「そんなものかな」
「ええ。深く考えなくてありのままでいいんじゃないかしら」
「奥さんもそう言うんだ」
「私もパート先とか高校時代からのお友達とかね」
「お友達多いんだね」
「ごく普通にお喋りしたり一緒にカラオケ行ったり」
そうして遊んでいてというのだ。
「気楽にやってるし」
「深く考えるものでもないかな」
「そう思うけれどね」
妻の言葉も居酒屋と本当に同じ感じでだ、真壁もそんなものかと考えだした。だがここでだった。
ある日だ、彼は会社の同期でずっと親しくしていて今は北海道支社でやり手の店長として働きやがては本社に戻って辣腕を振るうと言われていた友人が急死したと聞いてだ、部下にがっくりと肩を落として言った。
「彼は僕の入社してからの友達でね」
「支店長の同期でしたね」
「うん、仕事が出来る以上にね」
「凄くいい人だったらしいですね」
「あんないい奴はいなかったよ」
真壁は部下に残念そうな顔で述べた。
「僕なんかよりずっと長生きして幸せになるべきだったのにね」
「支店長本当に残念そうですね」
「急性の白血病だったそうだね」
友人の死因も既に聞いていた、その病気のことも言うのだった。
「そんな病気になるなんて」
「それで急にだったとか」
「ないね、残念で仕方ないよ」
真壁は友人の死を悲しみそして残念に思った、それから何かあると彼のことを思い出した。その中であった。
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