五徳猫
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第四章
「本人同士がよくてもな」
「家族が、なのね」
「色々あるからな、おいらの前のご主人のことからもな」
「お勧めしないのね」
「絶対にな」
そこはというのだ。
「だから言うんだよ」
「そうなのね」
「ああ、とにかくな」
「介護ならっていうのね」
「それでご主人が出来るならな」
「いいっていうのね」
「おう、じゃあそのこと相手に話してな」
それでとだ、諭吉は主にアドバイスした。
「そのうえでな」
「結婚ね」
「それを言えよ。しかしよく聞き出せたな」
諭吉は麻紀が彼から彼の祖母が寝たきりでそのことを隠していることからよくそれが出来たと思いそのことも聞いた。
「一体どうしたんだよ」
「いや、これ奥の手使ったのよ」
「奥の手?」
「彼お酒強いけれど」
それでもとだ、麻紀は種明かしをここで話した。
「相当飲むとね、リミッター越えたら」
「ああ、お喋りになるんだな」
「それで何でも話してしかもそのこと覚えてないから」
「酔わせてか」
「それで聞き出したの」
「正直いい方法じゃねえな」
諭吉もその内容を聞いてこう返した。
「それは」
「そう、けれどね」
「もうどうしてもって思ってか」
「私も結婚したいしね、早く」
「やっぱり三十になると切実か」
「そういうことよ、けれどこれでね」
「後は介護の話をしてか」
それでとだ、諭吉は麻紀に応えた。
「いよいよだな」
「結婚ヨ、それであんた一緒に来るわよね」
「当たり前だろ、俺も飼い主がいないとな」
「寂しいわよね」
「化け猫だから一匹で暮らすのは訳ないけれどな」
それでもとだ、五徳猫は主に話した。
「寂しいのは嫌だからな」
「じゃあ彼のご家族に猫は大丈夫か確認してね」
「そのうえでだな」
「一緒に来てね」
「そうさせてもらうぜ」
こう話してだった。
麻紀は彼氏に何処となく介護の話をしてそれからさらに踏み込んでいって彼の家に仕事を辞めて介護に専念すると話してだった。
そのうえで結婚することになった、その話を聞いて姪の佐紀は彼女のマンションに来て笑顔でこう言った。
「よかったじゃない」
「ええ、本当にね」
麻紀も姪に笑顔で返した。
「やっとよ」
「そうよね、じゃあこれからは」
「お仕事辞めてね」
「相手の人のお家に帰って」
「そしてね」
そのうえでというのだ。
「介護をしながらね」
「結婚生活していくのね」
「そうするわ」
「そうなのね、ただね」
佐紀はここで麻紀の傍にいる諭吉を見て言った。
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