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戦国異伝供書

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第二十五話 天下の政その九

「作るでない」
「外戚には注意せよ」
「そうした家を置くな」
「そして作るな、ですか」
「そうじゃ」
 絶対にというのだった。
「わかったな」
「わかり申した」
「身内で殺し合ってはならぬ」
「外戚にも力を持たせぬことですな」
「鎌倉幕府はそれでじゃ」
 そうしたことをしてというのだ。
「わかるな」
「幕府は源氏のものではなくなりました」
「そして北条家のものとなりました」
「まさに乗っ取られました」
「わしはその様なことにもさせぬ」
 断じてというのだ。
「だからじゃ」
「それで、ですな」
「今我等に話して下さっていますな」
「そのことを」
「織田家は石高を多く持ちな」
 今で六百万石だ、相当なものだ。
「そしてじゃ」
「そうしたことにも気をつけて」
「織田家の天下を守っていく」
「長きに渡って」
「そうしようと考えているからな」
 それだけにというのだ。
「お主達にも言うのじゃ」
「わかり申した」
「ではです」
「我等も肝に銘じておきます」
「頼むぞ、天下を治めることは容易ではない」
 泰平をもたらせてというのだ。
「何かあればじゃ」
「すぐにですか」
「その天下を失う」
「そうなりますか」
「そうじゃ、それでじゃ」
 信長はさらに言った。
「万全に万全を期すな」
「そうした仕組みを整える」
「これから」
「そうされますか」
「そう考えておる」
 信長は息子達に天下のことを話した、だがその後でだ。
 彼は平手にこう言った。
「奇妙はよいがな」
「それでもですか」
「茶筅はどうもな」
 信雄はというのだ。
「器がな」
「そうですな、あの方は」
「爺もそう思うな」
「一国の主としても」
 どうにもとだ、平手は信長に自身が見る信雄のことを話した。
「不安があります」
「何かあればあ奴の家から織田家の主を出すが」
「それだけで。迂闊なことをよくされる方なので」
「だからな」
「動かれぬ様です」
「すべきじゃな」
「はい、ですが三七様は」
 平手は自分から信孝のことを話した。
「それなり以上の方なので」
「用いてもよいな」
「いざという時には。あと織田家の主を出す家ですが」
「あと一つは勘十郎の家じゃが」
「どうも勘十郎様はそのお考えがないので」
「だからか」
「ここは殿のご子息の方の家からです」
 信雄や信孝の様にというのだ。 
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