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社会人共がクトゥルフやった時のリプレイ

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ある学校の階段の怪談
  Part.3

 1階東側の滝谷と響の探索が前回終わりましたし、次は1階西側組の探索を始めましょうか。どっちの部屋から調べますか?

「滝谷君たちと同じで奥から調べて行こうかな。どう? 永琳」

「良いんじゃないかしら? どっちから調べるかとかあんまり関係なさそうだし」

 わかりました。一番奥の部屋ですね。
 そこの教室の入り口部分に『校長室』と書かれたプレートが掲げられています。滝谷たちが探索した教室のスライド式の扉とは違って、この部屋の扉はドアノブ式で出入り口も1つしかありません。

「校長室ねぇ。とりあえず入るとしましょう。ドアノブをひね――」

「待って永琳。その前にノックよ。4回ノックをしたあと失礼しますと言って、そしてドアノブを捻ろう」

「……あぁ、そうか。校長室ならそうやって入るのが普通ね」

 ドアノブを捻っても、扉は開く気配がありません。鍵がかかっているみたいです。

「あら、鍵が掛かっているみたいだよ」

「そう? でも壊すわけにもいかないしねぇ」

「だね。どこかに鍵はあるはずだし、後回しにしよう」

「最悪の場合はあなたの《武道》+《キック》で蹴破ればいいしね」

「それだけは避けたいんだけど……じゃあ後回しね。GM、隣のクラスに向かうよ」

 隣の部屋は職員室です。ここもドアノブ式ですね。

「あら、職員室なのね」

「ここを調べれば鍵が見つかりそうだね。ノックを4回して、失礼しますと小さく言ってドアノブを捻る」

 鍵は掛かっていませんので入れます。

「よし。じゃあ入りましょうか」

「蘭に続いて失礼しますと言って職員室に入る。そしてドアを閉める」

「GM、職員室はどんな感じ? ダイスを使わない程度でわかる情報をちょうだい」

 教員用の机が並んでいて、その上には古い電話機や教科書が積まれ、プリントなどが床まで散乱しています。教員用の掲示物を掲示するためでしょうか、ここにも昇降口にあったものと同じ掲示板があります。

「校長室の鍵がないかを調べたいな」

「じゃあ鍵探しは蘭に任せて、私は違うところを探索するとするわ」

 そうですか。では永琳から先に進めます。どこを調べますか?

「電話があるって言ったわよね? もしかしたら電話線が繋がっているかもしれないし、ダメ元で取ってみるわ。受話器を取って耳に当ててみる」

 電話ですか。《聞き耳》でどうぞ。

 永琳《聞き耳》60 → 72 失敗

 受話器から何も聞こえず、通じていないことに気付きます。

「まぁそうよね。諦めて受話器を戻す。じゃあ次は掲示板ね。何か張り紙してある?」

 ありますね1枚だけ。しかし文字が掠れてしまっていて読み取りづらくなっています。

「読み取りたいわ。《日本語》で判定かしらね」

 永琳《日本語》85 → 05 クリティカル

「あら、クリティカル。なにかある?」

 『職員室と校長室に入る時はノックをする』とプリントに書かれていることがまずわかります。さらに床に落ちているプリント類の中から老朽化した画鋲の刺さった紙を見つけます。おそらくこの掲示板に貼り付けてあったものが何かの拍子に落ちてしまったのでしょう。
 『借りた物は必ず元にあった場所に戻す』と書かれていました。

「とことん校則にうるさい学校だったのねここ。こんな掲示物にわざわざ書くあたり凄い徹底ぶりだわ」

 さて、蘭のシーンに行きましょうか。校長室の鍵を探すんでしたっけ?

「うん。とりあえず机から調べようかな。中身と上を隈なく探したいかな。でも机の上も中も散かっているんだよね?」

 ですね。普通に探すとしたら時間がかかるでしょう。

「じゃあ《目星》に頼るしかないね。目に留まるくらいは気になる物がないかを捜してみるよ」

 蘭《目星》65 → 57 成功

 それでは蘭は校長室の鍵を見つけることは出来ませんでしたが、代わりに1つのハンマーを見つけることが出来ました。鉄製の丈夫なハンマーです。

「ハンマー……持っていこうかな。バッグの中に入れておくね。でも肝心の鍵が見つかっていないから探索を続けるよ。机の上や中がダメなら床かな? 床に何か落ちてないかを調べる。これも《目星》で判定しようかな」

 蘭《目星》65 → 54 成功

 床にライトを向けて注意深く探索すると、途中できらりと何か小さなものが光ったような気がします。気になって見てみますとそこにあったのは小さな鍵。小さな黒いキーホルダーが付いていて、それには『校長室』と書かれたシールが貼られています。

「やった、鍵が見つかったわ。永琳ー、鍵見つけたよーって小さな声で呼ぶ」

「校長室の鍵? と聞きながら蘭のもとに行くわ」

「うん。これで校長室に入れるよ。あとなんか、こんなのまで見つけちゃった」

「……なにそれ? ハンマー?」

「うん。なんかこれだけ浮いてたんだよね。何かに使えそうだからちょっと鍵と一緒に借りようと思う」

「いいけど、ちゃんと返すのよ? 書かれてたのよ張り紙に。借りた物は必ず元にあった場所に戻せってね」

「え、本当に? 他に何かそんな張り紙はあった?」

「職員室と校長室に入る時はノックをしろ、だって」

「そっか。じゃあ私たちのやっていたことは正しかったということだね。うん、わかった。校長室の鍵やハンマーは使ったらすぐに元の場所に戻すよ」

「それがいいわ。さぁ、校長室に行きましょう。もう調べることなんてないでしょう」

「そうだね。じゃあGM、私たちは職員室から出て校長室に向うよ」

「蘭が出た後に私も職員室から出てドアを閉めるわ」

 わかりました。何事もなく校長室の前まで戻ってこられました。

「鍵穴に鍵を差し込んで捻ってみる」

 ガチャと言う音がしました。鍵は開錠されたようです。

「よし。ノックをして失礼しますと言って、校長室に入るよ」

「続いて小さな声で失礼しますと言って校長室に入るわ。そしてドアを閉める」

 校長室は職員室と比べると綺麗に整理されています。
 来客用の席が部屋の中央部に設置された少し高そうなテーブルを隔てて2つずつ設置されており、その奥には校長先生の机があります。部屋の両サイドには大きな本棚があり、教育本や教科書などがびっしりと並んでいます。

「本棚ねぇ。GM、その本棚を調べてみるわ。《図書館》を使う」

「私は校長室の机の中を物色しようかな」

 分かれて探索するんですね。ではまず蘭から。えー、特に引き出しからこれと言って気になる物は見つかりませんでした。
 次は永琳ですね。《図書館》をどうぞ。

 永琳《図書館》59 → 26 成功

 左側の本棚を調べていると、隅っこに置かれていたある1冊の本を見つけました。いえ、本ではなく師範のノートブックのようです。気になって手に取って見たところ、それは校長先生の日記のようです。

「読むことは出来るかしら?」

 はい。普通に読んでもそんなに時間はかかりません。

「じゃあ読むわ。でもその前に蘭に日記があったことを伝えましょう。蘭、こんなものを見つけたわよ」

「なにもないなぁ……ん、永琳? それは……日記?」

「ここで校長先生をしていた人のみたい。もしかしたら何か書かれているかもしれないわよ」

「本当? じゃあちょっと読んでみましょう」

 流し読みをするのと、事細かく詳しく読むの、どっちがお好みですか?

「何か違うの?」

 詳しく読むと流し読み以上に時間がかかるのと……《SAN》値が大きく減る可能性があります。

「大人しく流し読みしようか」

「そうね」

 わかりました。ではあなたたちは校長先生の日記の流し読みをします。
 日記を読むと、最初こそ普通の学校だったものの日に日に生徒や教師が失踪し、そのことに校長先生が怯えていたことがわかりました。最初に消えたのが不良生徒だっただけに、ただサボっているものだと思っていたらしいのですがどうやらそうでもないようです。
 普通に学園生活を送っていてちょっとやんちゃだっただけの生徒が次に消え、生徒たちに人気だったものの少し行動に問題があった教師が消え、性格が良くても成績が悪かった生徒が消え、軽い校則違反をしていただけでそれ以外は善良な生徒だった人間も消え……どんどんエスカレートしていきます。
 さて、この日記を流し読みした2人は《アイデア》チェックです。

 永琳《アイデア》65 → 21 成功
 蘭 《アイデア》70 → 03 クリティカル

「うっそでしょ、どうしてこんなところでクリティカルなのよ!?」

 運がいいのか悪いのか。サイコロの神様の悪戯ですな。
 ええ、《アイデア》チェックに成功した2人は日記を通じてこのときの校長先生の恐怖を想像してしまい、クリティカルを出した蘭ねーちゃんはその校長先生とシンクロしたかのごとく校長先生が感じていた恐怖をそのまま感じてしまいます。
 気味の悪い出来事が綴られた日記を読み、恐ろしい想像してしまった2人は《SAN》チェックです。

「だよねぇ」

「まぁ、少しなら覚悟してたし、いいよ。いくつかな?」

 永琳は0/1D3、蘭は1/1D3+1でどうぞ。

 永琳《SAN》64 → 09 成功
 蘭 《SAN》52 → 54 失敗

 「(コロコロ)……3点。ちなみに詳しく読んでクリティカル出したらどうなってたの?」

 1D3+1/1D6+1の《SAN》チェックが待っていました。

「一発発狂まであったんだね。……さて、もうこれ以上調べる必要なさそうだし、滝谷君たちと合流しない?」

「そうね。日記を元あった場所に戻して校長室から出るわ。永琳が出るのを待ってから鍵を……あ」

「どうしたの?」

「ねぇ、私たちさ、さっき職員室から出たときに……『失礼しました』って言ったっけ?」

「……あ」

 あ、気付きましたか。ちなみにさっきの職員室でのシーンでは言っていませんでしたよ。

「ちょっとどころか凄くマズいことをしてたかもだね。次に校長室や職員室に入る時は気を付けようか」

「そうね。とりあえず失礼しましたと小声で言いつつ校長室から出る」

「私も失礼しましたと頭を下げた後鍵をかける。そしてその鍵を元あった場所に戻すよ。当然職員室に入る時にはノックをして挨拶。出たときも挨拶をするよ」

「私は職員室に入らずに廊下で待機しているわ」

「よし、鍵を戻したところで滝谷君たちと合流しよっか」

 わかりました。では2チームの探索が終了しましたので合流しましょう。同時に合流したことにしますね。
 丁度あなたたちは階段前で落ち合えました。時間にして40分、あなたたちは探索していたことになります。

「まぁ、教室の机を隈なく調べてたならそうなるだろうね」

「こっちは日記も読んでたしね」

「情報交換をしようよ。それぞれのチームで見つけた情報を共有したいな」

「賛成でヤンス。こちらがわかったものをすべて開示するでヤンス」

「私も全部言うよ。《SAN》チェックとかあるかしら?」

 ありません。ではあなたたち4人は皆情報を包み隠さず共有しました。少し整理しましょうか。色々いっぱい情報有りますしね。
 えー、まず張り紙に書かれていたことだけを纏めてあげましょう。

 ・『廊下・階段は走るな』
 ・『大声で叫ばない』
 ・『土足厳禁』
 ・『暴力厳禁』
 ・『屋上に上るな』
 ・『教室に出た後と入った後はドアを閉める』
 ・『職員室と校長室に入る時はノックをする』
 ・『借りた物は必ず元の位置に戻す』

「こんなに張り紙してたんだね」

「10回校則違反をすると恐ろしいことが起るってことも気になるね。私たちの知らないところでいくつ校則違反を犯しているのかもわからないし、気を付けようっか」

「てかなんてもん持ってきてんだ。ハンマーとか。それで彫像を破壊するつもりか?」

「壊すかどうかはさておいてなんとなく気になっちゃってね。ちゃんと返しておけば大丈夫だと思うな」

 さて、1階の探索が終わって情報交換も済んだところで、どうしますか? 2階にでも行きますか?

「もう充分1階を調べたし、いいんじゃないか? 田中が心配だしな」

「そうでヤンスね。2階に行くでヤンス」

「私も行くわ」

「私も付いていくよ」

 皆さんは2階に行くと。了解しました。
 ではあなたたちが2階へ続く階段を上り始めた瞬間、異様な気配とこの校舎へ入る前に感じたものと同じ寒気を感じます。身の毛もよだち、鳥肌が立ってしまうほどの、とても夏とは思えないほどの寒気です。
 あなたたちには《幸運》判定をお願いします。

 滝谷《幸運》65 → 07 成功
 永琳《幸運》70 → 98 ファンブル
 響 《幸運》50 → 74 失敗
 蘭 《幸運》55 → 03 クリティカル

「おや、珍しい。全部揃ったでヤンス」

「いや確かに凄いけど私ファンブル……大丈夫なの?」

 んー……じゃあ永琳は階段から足を踏み外して転んでしまいます。1D3のダメージです。

「(コロコロ)……2点」

 永琳《耐久力》09 → 07

「あいったぁ!?」

「大丈夫か永琳」

「ちょっと足を踏み外しちゃったのよ」

「気をつけるんだぞ?」

 さって《幸運》に成功した2人は、この寒さに耐えられず小さくくしゃみをしてしまいます。滝谷は4回、蘭は5回です。

「……なんだったんでヤンス? 今のロールとその結果は?」

「わからないけど……まぁ、多分害のある判定じゃないよ」

 さて、そんなこともありつつあなたたちは無事に2階へ上がることが出来ました。
 2階も1階と同じような作りになっていて、東と西に2つずつ教室が用意されています。ちなみに教室は全部鍵が開いていますので自由に探索可能です。それから現在時刻は午前3時。肝試しが始まって1時間が経過しました。

「さてどうしようか。またさっきの2チームに分けて探索するか?」

「そうだね。また私と永琳で西側を調べるよ」

「了解でヤンス。じゃあ行くでヤンスよ我那覇氏」

「うん。じゃあ行くか誠! あ、これは小さい声だぞ」

 はい。

「全く……じゃあまたよろしくお願いね、永琳」

「ええ、よろしくね」

 では東側を探索する滝谷と響のシーンから行きましょう。どっちの部屋から探索しますか?

「1階のときと同じ奥からでいいでヤンスか?」

「自分はどっちでもいいぞ」

「じゃあ奥から行くでヤンスよ」

 わかりました。一番奥の教室は音楽室です。出入り口はスライド式で2つあります。ピアノが1台教室の中心に鎮座しているだけの殺風景な部屋です。教室の壁には掲示板と黒板があります。

「とりあえず入ってドアを閉めるよ」

 あ。それなのですが、あなたたちはどちらのドアから教室に入りましたか?

「え? 後ろからでヤンスよ。わざわざ前から入るのなんて面倒でヤンスし」

「あ、自分は前から入るぞ」

 却下。響も後ろから入りなさい。

「なんか嫌な気がするんだが……まぁいいか。教室に入ったら私は田中を探すよ。人が隠れられるような場所はあるか?」

 掃除ロッカー程度です……あ。あとは教壇の下とかですか。

「掃除ロッカーはあのトラップが待っているからいいや。教壇の下はどうだ? 見てみるぞ」

 もぬけの殻です。当然田中はいません。

「だろうな」

「GM、小生は我那覇氏が田中を探している間に掲示板を見るでヤンス。今までの流れで大抵ここには重要なことが書かれているでヤンスからな」

 掲示板には1枚の張り紙があります。文字が掠れてしまって――

「じゃあ《日本語》でヤンスね」

 滝谷《日本語》80 → 45 成功

 『ピアノを勝手にいじらないこと』という張り紙を見つけました。

「あのピアノでヤンスね。じゃあ触れないようにするでヤンス。我那覇氏、そのピアノに触っちゃいけないでヤンスよ。プリントに書かれているでヤンス」

「ふーん、わかったぞ。じゃあ触らないことにする」

「して、田中氏はいたでヤンスか?」

「いや、見ての通りだ」

「そうでヤンスか。あと調べられるのは……黒板くらいでヤンスか。なにか書かれているでヤンスか?」

 黒板には何も書かれていません。

「じゃあもうないな。音楽室を出て隣の教室に向かおう」

「そうでヤンスね。音楽室から出た後ドアを閉めて隣の教室に入るでヤンス」

 音楽室の隣の部屋は2年生の教室です。
 1年生の教室と同様、バラバラに並べられた埃の被った椅子と机、掃除ロッカーが目につき、壁には掲示板と教室の前後に設置された2つの黒板があります。

「田中を探すぞ。教壇の下を覗いてみる」

 田中はいません。

「うーん。やっぱりいないかぁ。どこ行っちゃったのかな」

「引き続き探索するでヤンス。まずは掲示物の確認でヤンスね。掲示板を見るでヤンス」

 1枚の掲示物があります。文字が――

「皆まで言わなくていいでヤンス」

 滝谷《日本語》80 → 84 失敗

「あ、初めて《日本語》失敗したでヤンス。ふむ、読みにくいでヤンスね。我那覇氏、ちょっと来てくれるでヤンスか?」

「ん? なんだ、どうした?」

「ここに書かれているの読めるでヤンスか? 掠れすぎていて情けないでヤンスが小生では読めないんでヤンスよ」

「わかったぞ。えっとどれどれ……」

 響《日本語》50 → 64 失敗

「うーん、ごめん。自分もここになんて書いてあるか読めないぞ」

「そうでヤンスか。では仕方ないでヤンスね。諦めて黒板を調べるでヤンス」

 前の黒板には何も書かれていませんが、後ろの少し小さめの黒板には隅っこの方に小さく何かが書かれています。《目星》でどうぞ。

 滝谷《目星》80 → 41 成功
 響 《目星》80 → 11 成功

 『みんな何かに怯えている。まるで地雷を避けるように慎重に動いている。息が詰まりそうだ。この世に聖人君子はいないんだ。もうまっぴらだ……』。そう黒板に書かれていました。

「可哀想に。高校生っていったら人生である意味一番自由で楽しい時間なのにな。まぁ自分はアイドルやっていたけどな」

「そうでヤンスね。こんな校則で縛られた挙句、怯えながら過ごす高校生活になんの意味があるのやら。激しく同情するでヤンスよ」

「もう調べるところはないよな? 掲示板も黒板も見たでヤンスし、後はこの机の中とロッカーくらいでヤンスが……まぁ、多分大丈夫でヤンスね」

「じゃあもう教室から出よう。2人と合流するまで怪談の所で待機だな。GM、自分たちは教室から出るぞ」

 音楽室寄りのドアと階段寄りのドア、どちらから出ますか?

「階段寄りかな。そっちの方が近いし。な、誠」

「そうでヤンスね。それでいくでヤンスよ」

 わかりました。では次は西側を探索する香々美と薫のシーンに移ります。どの教室から調べますか?

「私たちも1階の時と同じで奥からでいいんじゃないの?」

「だね。奥から調べてみようか」

 西側の奥の部屋は理科室です。
 入るとそこには実験台や薬品が並んだ棚があります。そこにある薬品は《化学》でロールせずとも一般に知られているポピュラーな薬品です。アンモニアや硫酸、みたいなものですね。

「硫酸……。GM、その薬品の中から硫酸を持っていくことってできる?」

 薬品棚には鍵がかかっていて開きません。

「また鍵……西側はかぎが必要な部屋が多いね。でも永琳、なんで硫酸が欲しいの?」

「さっき屋上にある彫像を壊すことも視野に入れた方がいいって話があったでしょう? だから硫酸で少しでも溶かしてハンマーで壊そうかなって」

「……そうね。出来れば私も素手でその彫像を触りたくないし。でもこの薬品棚の鍵を見つけないと取り出せないね」

「ハンマーで叩き割ったらどう?」

「もう、そんなことするわけないじゃない。薬品棚の鍵なら理科室のどこかにあるでしょう? GM、理科室を探索するわ。普通教室のどこかに鍵をかけておくためのフックがかかった場所があるはずだよね。例えばメインで実験をする場所とその準備をする場所の境の壁とか、後はこの薬品棚の側面とか。そこを中心に調べるわ」

 お見事です。準備室の手前の電気のスイッチの隣にあったフックに薬品棚の鍵が掛かっていることに気が付きました。

「よし、開けて硫酸を持っていくわ。鍵はそのままにしておく。硫酸を戻したらいっしょに元あった場所に戻しておけばいいでしょう」

「ううん、ダメよ。細かいけど校則違反だから、大人しくルールに従っていた方がいいよ」

「面倒ねぇ、本当。じゃあ鍵を閉めて元あった場所に戻しておくわ」

「必要そうなものは手に入ったし、面倒だから最後に部屋全体に《目星》してから隣に行かない?」

「そうね。それだけしていきましょうか」

 永琳《目星》65 → 21 成功
 蘭 《目星》65 → 54 成功

 特に目ぼしいものは見つかりませんでした。

「よし、探索終了ね。理科室から出ましょう」

「私も理科室から出てドアを閉める」

 前と後ろ、どちらのドアから出ましたか?

「前じゃないかな。そうすればすぐに移動できるし。ねぇ?」

「どっちでもいいわ。今更だと思うし」

 わかりました。では隣ですね。隣は3年生の教室です。
 永琳と蘭は見ていませんが、滝谷と響が探索した1年と2年の教室同様古ぼけており、埃が被った乱雑に置かれている机と椅子、掃除ロッカーが目につき、壁には掲示板と教室の前後に設置された黒板があります。

「掲示板には何か貼られているのかな?」

 あります。1枚だけ張られておりますが、なんて書いてあるのかは――

「《日本語》ね。わかったよ」

「私も振るわ」

 永琳《日本語》85 → 77 成功
 蘭 《日本語》70 → 41 成功

 『教室は必ず教壇寄りの前ドアから入って、後ろドアから出ること』と紙に書かれていました。

「…………」

「…………」

「……ねぇ、蘭」

「うん……やっちゃったね」

「私これで自分がどれだけ校則違反しちゃったのかわかんなくなっちゃったんだけど……」

「私もだよ。まさか、今更になってこんな校則が出てくるとは思わなかったし」

「というかそれ、小生と我那覇氏が一番まずくないでヤンスか?」

「1階で教室に入っちゃったもんな自分たち。たしか入ったのは前からだったけど、出るのも前で校則違反だったぞ」

「で、2階は……ああダメでヤンス。思い出せないでヤンスよ」

 まぁまぁ、今更ながらの後悔はこの辺にしておきましょう。大丈夫ですよ、まだ何にも起こっていないんですから。探索している2人は他に教室のどこかを探索しますか?

「黒板を調べる」

「じゃあ私はロッカーを」

 蘭から行きましょう。黒板を調べるんですよね。あなたは後ろの黒板の端っこに何か書かれているのを見つけました。小さくて読み取れません。

「スマフォを取り出して写真を撮って、それで拡大して読む」

 本当に《目星》振ろうとしないですね。いいですけど。
 『屋上の像は怪物の腕。あれさえ壊せば救われる。屋上にさえ上がれれば……』と書かれていました。

「よし、確定する情報が来たわね」

 では永琳のシーン。掃除ロッカーを調べるんですよね? では《幸運》……はいいです。滝谷から情報がきていると思いますし。開いていてもそこにあるのはモップや箒、塵取りにバケツ、雑巾だけで田中の姿はありません。

「田中……どこにいったのかしら。もしかして屋上?」

「永琳どう? 田中君は……」

「いないわ。滝谷たちの方もいなかったらもう屋上しかないわね」

「そっか……。ね、ちょっと見て。あの黒板に書かれていたんだけど……って感じで永琳にスマフォを見せる」

「……つまり、アレね。読み通り、その彫像を壊せってことね」

「そういうこと。行きましょう。早く壊して田中君見つけ出して帰ろうよ」

「そうね。私は教室の後ろ側のドアを開けて教室から出るわ」

「私も続いて教室から出てドアを閉めるよ」


 探索終了ですね。
 では両チームとも探索が終わったということで合流しましょうか。




     ――To be continued… 
 

 
後書き
次回、最終回。 
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