ドリトル先生と日本の鉄道
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第五幕その八
「デートとかね」
「あとお手紙貰ったとか」
「本当に一度でもないの?」
ポロネシアはかなり真剣に尋ねました。
「これまで」
「絶対にあったよ」
チーチーは断言しました。
「先生ならね」
「先生に縁がないとか」
「こと恋愛には」
オシツオサレツも二つの頭でどうかと述べます。
「そう思っていても」
「実はとかね」
「そうした解釈をしたことないの?」
最後に老馬が尋ねました。
「これまで」
「だって僕は運動神経ゼロで太っていてこの顔だよ」
先生は笑ってこうしたことから言うのでした。
「もてる筈なんてね」
「ないんだ」
「そう言うんだね」
「これまでもそう思っていたし」
「有り得ないっていうんだ」
「女の人のお友達には恵まれていたよ」
学生時代からそうだったというのです。
「皆優しくしてくれて気軽に声をかけてくれたしメールのやり取りも多かったけれど」
「ああ、やっぱりね」
「先生らしいわね」
「こうしたことは」
「本当に先生だよ」
「いやあ、しかし僕を恋人にしたいって人は」
本当に気付かない先生です。
「いる筈がないからね」
「あくまでお友達で」
「それ以外のものじゃない」
「そうなんだね」
「その女の人達も」
「そうだよ、絶対にね」
思い込み続けつつ言う先生でした。
「僕がもてることはないから」
「先生絶対って滅多に言わないのに」
「どうしてこのことだけそう言うのか」
「矛盾しない?」
「どう考えても」
「このことだけは絶対って言えるよ」
これが先生の持論でした。
「僕と恋愛は無縁のものだってね」
「学問に絶対はないって先生言ってるのに」
「あらゆる学問で」
「有り得ないと言っても有り得たりする」
「それが学問で世の中だって」
「けれどね」
「自分にはそう言うんだから」
恋愛には絶対に縁がないとです。
「そこでそう思わないとかないの?」
「ひょっとしたらとか」
「人間は顔じゃないとか」
「先生もいつもそう言ってるじゃない」
「人間は外見じゃないって」
「いやいや、僕の場合は本当に違うから」
あくまでこう思っている先生です。
「この外見だからね」
「全くわかってないね」
「もう自分のこのことは決めてかかってるから」
「このことだけは」
「やれやれよ」
「しかし皆僕がもてないと思うね」
逆にこう聞き返した先生でした。
「そうだよね」
「だから人間顔じゃないじゃない」
「心が大事なんでしょ?」
「そこで発想変えない?」
「少しでも」
「僕は自分のことはわかっているつもりだからね」
生来の謙虚さに基づいてです。
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