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永遠の謎

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664部分:エピローグ 至高の救いその二


エピローグ 至高の救いその二

「それはしない」
「ではどうされるのですか」
「あの城達は一体」
「爆破されないとなると」
「残す」
 まずはだ。そうするというのだ。
「そして開放したいのだ」
「開放とはまさか」
「あの城達をですか」
「全てどの者にも見せる」
「そうされるのですか」
「そうだ。そうするのだ」
 城を開放して誰にも見せる、大公はそう言うのだった。
 そしてだ。彼はだ。側近達に問うたのである。
「これについてどう思うか」
「考えも及びませんでした」
「まさか。その様なことをお考えだとは」
「あの城達を開放してですか」
「多くの者に見せるのですか」
「私のあの城達は見た」
 王に招かれたことがある。その時にだ。王が築いた城を全て見ているのだ。
 そのうえでだ。大公は言うのだった。
「ただ美麗なだけではないからな」
「それだけではないとすると」
「他には何があるのでしょうか」
「一体」
「それは開放してからわかる」
 大公は穏やか、かつ静かに決意している顔で述べた。
「その時にだ」
「よくわかりませんがしかし」
「あの城達を開放される」
「そのことは絶対にですね」
「行う。いいな」
 こう側近達に告げてだ。大公は王が築いたその城達を全て開放し誰もが入城しその外も中も観られる様にした。その城達を見てだ。誰もが思い言うのだった。
「これがあの王の城か」
「ワーグナーの世界、それにバロックか」
「ロココもある」
「これがあの王の世界か」
「それが全てあるのか、この城に」
 豪奢な、それでいて気品のある美に満ちた城の中を見回してだ。彼等は言うのだった。
 そして誰もが王について思いだ。王について語る。
 城達を見てだ。誰もが王に敬愛を抱くのだった。王への賞賛はこの世にいなくなってからも続きだ。それはさらに高まっていた。
 このことは大公にも伝わる。
 大公はそのだ。ノイシュバンシュタイン城、王が愛したその城において言うのだった。
「いいことだ」
「城を開放したことにより多くの者が観ることをですか」
「この城達を」
「そうだ。非常にいいことだ」
 こう言ったのである。
「このことはだ」
「陛下が築かれた城を多くの者を観る」
「確かに。観光資源になっています」
「多くの者が訪れていますし」
「我が国にとっても実入りがいいです」
「しかしそれとは別のことですね」
「今殿下が仰っているのは」
 側近達は次々にだ。大公に尋ねる。
 そして大公もだ。彼等にこう答えたのである。
「そうなのだ。あの方が多くの者に後世まで愛され」
 そしてだというのだ。
「理解されようとすることがだ」
「その為にだったのですか。この城達を開放されたのは」
「それ故に」
「あの方は理解されたかったのだろう」
 大公はこう考えたのである。
 
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