永遠の謎
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656部分:最終話 愛の死その七
最終話 愛の死その七
そして気付かないままに。王に言うのだった。
「間も無くですから」
「私をここから出すというのか」
「そうです。湖にいらして下さい」
場所はそこだというのだ。
「そこに来られればです」
「そなたが船を出してか」
「はい、そうしてお救いしてです」
そうしてだというのだ。
「一旦バイエルンから出てです」
「バイエルンから出る。そうか」
ホルニヒのこの言葉からだった。すぐにだった。
王はこのことに関して誰が関わっているのか察した。そうしての言葉だった。
「シシィにビスマルク卿がか」
「おわかりになられたのですか」
「何となくだが」
これもまた直感で感じ取ったことだった。
そして感じ取ってからだ。王は述べたのである。
「あの方々が共にか。私の為に」
「陛下のことを思われてです」
二人共だ。そうして動いているというのだ。
「全ては」
「そうか。有り難いことだ」
この気持ちは有り難かった。王の心はそこにはないにしても。
そうしてだった。王は言うのだった。
「では湖だな」
「そうです。明日です」
「明日か。早いな」
「早いうちに進めるべきお話ですので」
だからこそだと述べるホルニヒだった。こうしてだった。
王にだ。全てのことを伝えた。そのうえでだ。
ホルニヒは王に一礼してからだ。述べたのである。
「では。今宵はこれで」
「帰るのか」
「申し訳ありません」
こう王に告げたのである。
「明日です」
「その明日だな」
「陛下はここから出られますので」
「わかった。では明日だな」
「もう少しだけのご辛抱ですので」
王に告げ終えてだ。そのうえでだ。
王の前から姿を消した。その彼を見届けてだ。
彼とベルリンの者は姿を消した。そうしてだった。
王の前から姿を消した。王はその彼の姿を見送ってからだ。部屋に一人になるのだった。
そうしてだ。今はいない騎士に対して告げたのである。
「明日か。卿はどうするつもりか」
いない彼に告げてだ。一人ソファーに座るのだった。そうしてだった。
その翌日だ。外は雨だった。しかしだ。
「散策をですか」
「そうだ。外に出たいのだ」
診察に来たグッデンにこう告げたのである。
「そうしたいのだが」
「この雨で」
「駄目か、それは」
「雨ですが」
雨のせいでだ。ただでさえ減っている兵達はもういない。グッデンはこのことにも危惧を覚えた。
だがそれでもだった。グッデンは。
王の言葉に迷う顔になりながらもだ。そのうえでだ。
彼はだ。王に述べたのである。
「わかりました」
「いいのだな」
「私も同行させてもらいます」
こう言ったのである。
「それで宜しいでしょうか」
「構わない」
グッデンの意図はわかっていた。それと共にだ。
その意図が無駄なものであることもわかっていた。そのうえでの言葉だった。
王はグッデンに対して答えたのである。
「ではだ」
「はい、では六時に」
「夕方のだな」
「ではその時間に」
「うむ、行こう」
こうしてだった。王は夕刻に散策に出ることになった。その話を聞いてだ。
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