獣篇 -番外編-
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1 クリスマスっていいな
冬のある日のこと。
私は娘息子を抱っこして、座敷に座っていた。
座敷と言っても、もちろん鬼兵隊の船のなかである。船を出ようにも晋助は出してくれないので、
思いきってクリスマスの今日、船の巨大スクリーンに、(晋助の目を掻い潜って)借りてきた銀魂の実写版ビデオを借りてきた。実際、公開期間中に(もう1つの)地球で見たかったのだが、私自身が身重だったことと、体調が安定しなかった、とのことで、見に行くことができなかったのだ。
という訳で今こうして、子どもたち withおじさん と仲良く映画鑑賞会を開くことになったのである。
暇そうだった武市に息子の方をお願いして、銀魂映画鑑賞会を開く準備をしていた。仕事が終わり次第見に来る、と晋助も、また子も言っていたので、もうそろそろ来る頃だろう。
…そう、あの○栗旬が主演の1つ目のやつである。
映画をセットし終わり、子供たちをあやしながら、見始めた。
冒頭部分で俳優たちのゆかいなアフレコタイムを満喫しているときに、隊士たちがわらわらと集まってきたのである。
_「姐さん、それなんの映画ですかィ?オレたちによく似た格好の奴らがウヨウヨしてますぜィ?」
_「あぁ、これはね、宇宙規模で超有名な銀魂ってアニメの実写版の映画よー。楽しそうでしょ?…私、これのファンだから。」
へェ、と隊士たちが首をかしげる。
抱えている娘の顔を見ると、ぱっつぁんに大注目して、キャッキャと笑っている。どうやら、お気に入り認定されたらしい。
しばらくして、神楽がまた子とやりあうシーンになると、なぜかタイミングよく、ご本人が現れた。
_「また子のパンツは染み付きパンツ!
染み付きパンツが丸見えネ!」
_「き、貴様ァッ…!…晋助様の前で私に恥をかかすなんて、、、許さないッス!」
そう。菜々○演じるまた子のシーンである。
菜々緒さん、やっぱりまた子が似合っている。
ファンになりそう。いや、もうすでにだが。
_「まーちゃ、まーちゃ!」
と娘は大喜びである。
当の本人は恥ずかしそうな素振りで隅っこの方に行ってしまった。
だが息子は一味違った。
_「ママ?ママどこ」
さすがは我が息子。聡明なこと山の如し。
_「ん?…パパならもう少しで出るわ。ホラ、」
と言うと、晋助のお出ましである。
_「お、これは…オレじゃねェか。零杏…これをどこで?」
_「え?ヅタヤで借りてきてもらったわ。大丈夫、私は船から出てないわ。」
ほォ?と訝しげである。
_「…この俳優は誰だ?」
_「じゃに~ずっていう種類のアイドルが演じてるわ。彼の名は確か…○本剛だわ。カッコいいでしょう?」
二人ともパパ、パパ、と嬉しそうである。
晋助が困った顔をした。そして、私を少し瞳孔が開いた目で、見ている。
こりゃあ大分機嫌が悪いぞ。後がこわいぜ。www
_「まぁまぁ、落ち着いて。やっぱりパパの方が、イケメンよね?」
息子は、パパ、と言って晋助の膝に座り込む。
さすがは我が息子。
これで上手いこと丸め込んでくれ!
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