戦国異伝供書
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第二十三話 東国入りその三
「だからな」
「降った家の所領はですな」
「実際に安堵し」
「そしてそのうえで」
「織田家に加えますな」
「そうする」
このことは絶対のことだというのだ。
「この話を今からじゃ」
「関東にしきりに流し」
「そうしてですな」
「多くの家が織田家に降る様にする」
「そうするのですな」
「そうじゃ、さすれば戦うよりもじゃ」
さらにというのだ。
「楽にことが進む」
「だからこそですな」
「今からその話をしきりに流し」
「我等が関東に入る頃には」
「多くの家が降る様にしますな」
「そういうことじゃ、ではよいな」
あらためて言う信長だった。
「この度はじゃ」
「今からですな」
「関東の国人や大名達にこの話を流し」
「そして降らせ」
「北条家以外の者達とはですな」
「戦わぬ様にしますか」
「そうじゃ」
その通りだという返事だった。
「若し戦うなら仕方がないがな」
「その時は仕方ないですな」
「戦ってそうしてですな」
「勝つ」
「それだけですな」
「そうじゃ、敵ならばな」
従わぬならというのだ。
「仕方ない、だからじゃ」
「わかり申した」
「それではですな」
「その用意もしつつ」
「関東に向かいますか」
「そうする、このことも噂として流すのじゃ」
関東の者達にというのだ。
「わかったな」
「この両方を流し」
「関東の武士達に選ばせる」
「そうしますか」
「うむ、しかし答えは出ていよう」
それはというのだ。
「あの者達にとってもな」
「最早当家の力は圧倒的」
「それならばですな」
「当家に従うしかない」
「それしかないですな」
「そうじゃ、最早それ以外ない」
まさにとだ、信長も言った。
「だからな」
「関東の大名や国人達もですな」
「その殆どが当家に従いますな」
「そうなることは間違いないですな」
「北条家に仕える者達以外はそうする」
絶対にというのだ。
「だからな」
「北条家を倒せばですな」
「関東は我等のものとなりますか」
「それはもう自然の流れ」
「左様ですな」
「そうじゃ、そして関東を手に入れれば」
その後のこともだ、信長は諸将に話した。
「一旦戦は終わりじゃ」
「この度の戦で手に入れた多くの国を治める」
「そうしますな」
「検地も行わねばなりませんし」
「刀狩りにしても」
「全て収める、そして天下統一の後の政の土台もじゃ」
それもというのだ。
「築く、それから天下統一の後はな」
「その後はですな」
「天下を治める仕組みを完全に築きますな」
「泰平の世を長く治める」
「そうしたものを築くのですな」
「そうする、しかし関東を手に入れるとな」
北条家を降してというのだ。
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