| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

魔法科高校の劣等生の魔法でISキャラ+etcをおちょくる話

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第百五十七話

文化祭初日オープニングセレモニー後。

「なー、この服着る必要あんの? 汚したら元も子もないよ?」

「大丈夫! 織斑君ならどうにかしそうだし!
という訳で宣伝も兼ねてこれ着てから文化祭廻ってね!」

「ふぁっく……」

「お? 夜のお誘いかな?」

「誘ってねーですよ…。まぁ…いいけど…」

「え? 私の処女貰ってくれる?」

「そっちじゃねぇよ!」

「あ、できれば弾君と廻ってあげてほしいなぁ…なんて…」

「腐ってやがる……」

「いやぁ、夏コミは稼がせてもらったよ…」

「待て! 何の話だ!?」

「大丈夫、箒ちゃんと千石先生には許可をとったわ」

「おい箒!?」

「ん? ああ、売上の二割がお前の通帳に入っているはずだぞ」

「……しるか!?」

「うるさいぞ。着替えさせてやるからこっちへ来い」

箒は衣装班班長から”うつくし姫”のドレスをひったくり、小脇に一夏を抱えて出ていった。

「んー…ま、いっか」











「なぁ、これ絶対目立ってるって」

一夏は回りから向けられる視線を感じて、問いかける。

「そうだな」

一夏の後ろに控える箒が頷く。

「安心しろ、私もめだっているからな。お前だけではないと考えれば気も楽になるだろう?」

一夏が着るのはうつくし姫の衣装。

箒が着ているのは魔女の衣装だ。

私物の黒いワンピースの上から黒いローブを羽織り、三角帽子を被っている。。

更には捻れた木の杖を持っている。

「なぁ、箒。その杖まさか…」

「うむ。純サイコEカーボン製の上から塗装した物だ。お前が使えばビームくらいは弾けるだろうな」

「なぜそんな物を…まぁ…いいか」

箒は歩くたび、コツコツと杖を鳴らす。

「ちなみに、一番下だけ木製だぞ」

「なぜそこまでこだわったんだ…」

「これなら補導される事もあるまいとおもってな」

「むしろされそうだが…」

「なに、見た目も重さも表面の成分分析も全て木製だと結論が出るだけだ」

「束さんに頼んだのか?」

「いや、ラボで自作した」

「そっか」

「文房具と日用品を一揃いサイコEカーボンで作ってみた。
これで下校中にリリムキッスをブーストぉあ!?」

一夏がブスっと箒の脇腹を突いた。

「ぐ……剛気功は発動していたはず…」

「気功を無視して攻撃する技もあるって覚えとけ」

「こんどおしえてくれ……」

「気が向いたらな」

そんな風に話している二人だが、その周囲には自然と人があつまる。

目立つ二人が目立つ格好をしているのだから当たり前ではある。

「これ、来週から学校来れるかなぁ…」

自分の着るドレスを摘まみ、一夏が呟く。

「何を今さら」

「つか宣伝して来いって言われたけど何すりゃいいんだろうな」

「適当に回ればいい。私たちはそれだけで宣伝になる。この格好でどのような劇をするかは気になって当然だろう?」

「なるほどね…」

一夏と箒がグルリと校舎を一周し、自分の教室に戻る。

一夏が衣装の最終チェックをしていた衣装班班長の袖をくいくいとひっぱる。

「宣伝してきたよ。着替えていいー?」

「うーん…仕方ないかなぁ…。じゃぁ、これ着てよ」

そう言って班長が渡したのはメイド服だ。

「………待て。なぜこれがここにある」

「私が用意しておいたぞ」

「箒テメェ!」

そのメイド服はいつぞや一夏がきたメイド服だ。

「いやぁ、凄いねこの服。物凄く肌触りいいし頑丈だし。ねぇ姫侍さん。これどこのメーカー?」

「それか? 姉さんに頼んで作ってもらった。姉さんは一夏を溺愛しているからな」

「はぇー……じゃぁこれもしかして…」

「うむ、並のISスーツより頑丈で着心地抜群だ」

「ISって戦い以外にもつかえるんだね…」

「そも戦いに使う方が間違いなのだがな」

箒は直ぐ様一夏をひん剥いてメイド服を着せた。

中に体操服を着ていた物の、無理やり着替えさせられているというシチュエーションに複数名が鼻血を出した。

「ふむ………橙。居るか?」

『居るけど…今は不味いでしょ』

「仕方あるまい…」

箒がバッグから取り出したのは猫耳カチューシャとベルト式の付け尻尾だ。

そのカチューシャを一夏の頭に着けた後、箒は付け尻尾を持って一夏のスカートの中に潜り込んだ。

「ヲイ。なにしてやがる」

「うるさいぞ。こうしなければ付けれないではないか」

箒は一夏のスカートの中で…というか入りきらずにスカートを大きく捲った状態で、少し一夏の体操ズボンを下げた。

そしてそこにベルトを巻く。

そしてメイド服に開けられた穴から尻尾を出した。

その時一夏は感じる筈のない感覚を覚えた。

「ん? ちょっと待て箒。まさかこれ…」

「お前の義肢と同じ物だぞ」

箒がスカートから出て、尻尾を握る。

「サイコシャード製の猫耳カチューシャと付け尻尾だ」

「むぅ……」

一夏がイメージすると、その通りに猫耳がピクピクと動き、尻尾がくねくねと曲がる。

「お前は橙を憑けることが多いからな。サイオン体もその形に対応していると思ったが、当たりのようだな」

「だからってなんでまた…」

「黒猫と魔女の組み合わせはテンプレだろう?」

箒が一夏の顎を擽る。

「みゃふぅ……ごろごろ……にゃぉん……」

一夏が嬉しそうに目を細め、喉を鳴らす。

さらには男女両方の精神衛生に良くない声のおまけ付きである。

「ではあまりここにとどまるのも良くないのでな」

箒が一夏の手を引き、教室を出る。

「なぁ、どこいくんだ箒?」

「ふむ……クッキーでも買うか」




箒と一夏が来たのは、調理部のやっている菓子の販売コーナーだ。

二年生の教室を借りて事前に作った物を販売していた。

二人が入ると、歓声と甘い香りが出迎えた。

「にゃぅ?」

コテン、と首をかしげる猫耳幼女。

「私調理部でよかった……!」「眼福ね!」

と売り子の女子生徒が幸せを噛み締める。

箒はニヤニヤしながら一夏の手を引いてカウンターへ。

売り子の耳元へ口を寄せ、囁く。

「失礼御嬢様、之をいただきたいのだが」

箒が指差したのは魚ビスケットだった。

「ひゃ、ひゃい!」

学校一の(胸のある)イケメンに囁かれた売り子は顔を真っ赤にする。

「箒、あまりいじめてやるな。っていうかその人調理部部長だぞ。年上は敬え」

「視線が全てお前に集まっていて女として少し癪だったのでな」

「本音は?」

「面白そうだったからやった。反省も後悔もしていない」

「さいあくだな!?」

箒が代金を渡す際に、もう一度売り子の耳元で囁く。

「このクッキーのように甘い貴女との時間は幾らで買えますかフロイライン」

「はぅっ!?」

腰を抜かした売り子を見て、箒がニヤニヤと笑う。

「はぁ…面白がってやってるんだろうが、夜道に気を付けろよ?」

「その時はお前の出番だな、一夏」

「自分でどうにかしろ」

箒はひとしきり笑った後、調理部の面子にこの場でクッキーを開けていいかと尋ねた。

「構いませんよ姫侍様」

「お前の渾名かなり広まってるんだな箒」

「お前が言うか姫巫女」

箒はクッキーの袋をあけ、中身を取り出した。

「お手」

「俺は犬じゃねぇ」

「ふぅむ……」

箒が無言で一夏にクッキーを差し出す。

はぐ……さく…さく…さく……。

一夏はクッキーを気に入ったようで、ふみゃりと笑った。

箒が一夏の喉をくすぐる。

「みゃふぅ……ごろごろ…」

「それ、二枚目だ」

ぱくっ…さく…さく…さく……

「ふむ……そろそろ退散するか」

箒は調理部に礼をいって教室から出た。

一つクッキーを取り出して、口に入れる。

「旨いな」

箒はロの字型校舎の内側に作られた中庭に一夏をつれていく。

適当なベンチに座ると、一夏に餌付けし始めた。

箒がクッキーを出したり引っ込めたりする度、一夏が猫パンチじみた動作で取ろうとする。

「にゃぅ……」

「拗ねるなよ…」

少しやり過ぎて一夏が拗ねた辺りで箒がクッキーを渡す。

「みゃぉん……❤」

「劇は午後から。それまでは一夏を独り占めだな」












「と思っていた時が私にもあった。
文化祭だからと鬼門遁行と認識阻害を使わなかったのは間違いだったな…」

「アンタどうしたのよいきなり」

十数分後、箒と抱かれて眠る一夏の周囲には人だかりができていた。

パシャパシャとフラッシュが焚かれる。

フレームに収まるのは猫耳メイド幼女だ。

「アンタ達目立つんだから当たり前でしょ。
諦めなさい」

「そう言いながら撮るんだな、お前も」

鈴は先頭で一夏を撮っていた。

「ええ、猫耳一夏の寝顔可愛いもの。なんで男なのかしらこのナマモノ」

鈴の発言で男子が騒ぎだした。

「え? この子男?」「こんなに可愛い子が女の子の筈がない!」「だが男だ」「男ならプールの授業で…」「男なら剥いても合法なのでは!?」「やめとけオニイサマが飛んで来るぞ」「まさかの妹キャラ」「やらないか」

ところで読者諸君はマーフィーの法則ないしフラグという言葉を知っているだろうか。

「ほう。俺の一夏をどうするって?」

邪な事を考えていた男子が凍りつく。

「顔は覚えた。夜道には気を付けるんだな」

人だかりの最後尾、ソコには赤髪の悪魔が立っていた。

ひぃ!? と声が上がる。

髪は逆立ち、怒りのオーラを幻視させる気迫だ。

「五反田、そう虐めてやるな。お前がついているのだろう?」

「ま、そうなんだがねぇ」

人だかりを割って戦闘まで来た弾の手にはスマホが。

「ブルータス」

「君のお姉さんから頼まれてるんだよ。今日の一夏を撮っといてくれってね」

「ああ…そのスマホ姉さんが作ったやつだったな…」

「そういうこと」

その後も撮影会は盛況だった。

そのせいで劇に遅れそうになったのはご愛嬌である。
 
 

 
後書き
うつくし姫の下りは二日目でやります。
ところで「ウルトラマンジード」と「東方プロジェクト」のクロスって需要あります?主人公の名前『八雲陸』っていうんですけど…。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧