戦国異伝供書
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第二十一話 天下布武を固めその四
「武田信玄も然り、だからな」
「家臣にされますな」
「何としても」
「そうじゃ、家臣としてな」
「ですな、それでは」
「戦の後が楽しみですか」
「勝つことは難しいが必ず降し」
そうしてというのだ。
「家臣としてな」
「武田家自体もですな」
「その全てを」
「我がものとする、ではその為の戦を行うぞ」
こう言ってだ、そうしてだった。
信長は武田家との決戦に挑んだ、彼は家康率いる徳川家の軍勢と共に天下最強と言われた信玄が率いる武田の騎馬隊と正面からぶつかった。
そしてその結果勝ち己に降った信玄を家臣としてから満足して言った。
「まだ戦はあるが」
「それでもですな」
「また一つ大きな勝ちを得ましたな」
「本願寺、毛利に続いて」
「武田もですな」
「うむ、都の争乱からであるが」
義昭の挙兵、それも忘れていなかった。
「しかしな」
「また一つですな」
「大きな戦に勝ちましたし」
「このことは喜ぶべきですな」
「素直に」
「そうじゃ、後はじゃ」
信長はさらに言った。
「このまま信濃に入ると」
「この遠江からですな」
森がその目を鋭くさせて問うてきた。
「そうしますな」
「そしてじゃ」
「ひたすら信濃を北上すれば」
「今北陸から都に向かう上杉家の軍勢もじゃ」
「急いで戻って来ざるを得ませんな」
「信濃から越後に進む」
即ち上杉家の拠点である国をというのだ。
「しかもじゃ」
「はい、狙うはですな」
「春日山じゃ」
謙信の居城であるこの城だというのだ。
「この城を攻めさせる訳にはいかぬな」
「上杉家としては」
「だからじゃ」
「信濃を北上すれば」
「上杉家は必ずこちらに来る、そこでじゃ」
「決戦ですな」
「おそらく戦の場は川中島になる」
この地だとだ、信長は森に話した。
「武田家と上杉家が五度も戦った地じゃが」
「その川中島で」
「我等は戦いそしてじゃ」
「勝ちますな」
「そうなる、では行くぞ」
こう言ってだった、そのうえで。
信長は武田家の軍勢との戦の後で今度は自身が率いる大軍を信濃に入れた。だが信濃に入ってすぐにだった。
信長は信濃の道についてだ、眉を顰めさせて述べた。
「戦が終わればな」
「すぐにですな」
「うむ、道を整える」
こう丹羽に答えた。
「信濃と遠江、三河を行き来する道もな」
「そうしますか」
「中山道も整えるが」
「それと共に」
「三河、遠江への道も整え」
「そうしてですな」
「行き来を楽にする、川の堤も整える」
信長はそちらも忘れていなかった。
「そうしてじゃ」
「民が行き来が楽になり」
「川も乱れぬ様にな」
「そうしますな」
「うむ」
そうすると言うのだった。
「その様にな」
「武田家の統治はかなりのものでしたが」
「まだこの辺りの道はな」
「整っていないので」
「それでじゃ」
だからだと言うのだった。
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