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デジモンアドベンチャー Miracle Light

作者:setuna
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第67話:制裁

 
前書き
暗黒のデジメンタルの詳細を書きます。

暗黒のデジメンタル

見た目はデジモンカードの暗黒のデジメンタルそのまま。

効力はオリジナルで名前の通り対象のデジモンを暗黒進化させること。

後これはデジメンタルの名を持っているが、古代種デジモンではなく選ばれし子供のパートナーデジモンのみに効力を発揮する。

これはパートナーデジモンを持たない治が強力な自衛戦力を持つには他人のパートナーデジモンを奪えば良いと言う発想に至った結果。

しかし、世界中の選ばれし子供の大半の選ばれし子供が成熟期止まりであることを考えれば暗黒のデジメンタルのポテンシャルを強く発揮出来るのは大輔達のパートナーデジモンだけだったりする。

因みにブイモンは純粋な古代種であるためにアーマー進化以外をすれば寿命を縮めるが、通常進化の開拓自体は、デジメンタル覚醒時に出来ている。

負担度外視ならばブイモン→エクスブイモン(フレイドラモン&ライドラモン)→エアロブイドラモン(サジタリモン)→デュナスモン(マグナモン)のルートとなっている。

アルフォースブイドラモンじゃないのはゼロマルと被るから。 

 
トロッコに乗ってメタルグレイモンを追い掛ける大輔達。

途中でテントモンと合流し、ガルルモン、バードラモン、メイクーモンを連れてきて欲しいと頼んだヤマトはヒカリにある物を差し出す。

「ヒカリちゃん、これを」

「これは?」

ヤマトからいきなり渡された水晶玉にヒカリは困ったように見つめる。

「これは一乗寺治がアグモンをスカルグレイモンに進化した際に使った暗黒のデジメンタルらしい。光子郎が解析して暗黒進化のプログラムを除いたから、アーマー進化の要領で進化させられるようだ。普通の進化を」

「え?ということは、私がこれを使えば完全体に!?」

「ああ」

「本当に!?良かった…」

完全体への進化が可能となることに笑顔を浮かべるテイルモンだが、ヒカリは少し迷っている。

これを自分が受け取って良いのかと、寧ろこれは太一と深い友情を結んだヤマトが使うべきではないかと。

「あの…私で良いんですか?」

「ヒカリちゃんとテイルモンが最もこの力を使うべきだと俺は考えてる。テイルモンは成熟期の姿を維持出来るし、何より今最前線で戦っている。ダークタワー有る無しに関係なく完全体の力を使える可能性がある2人が使うべきだ」

「そうだね、ダークタワーがあると成熟期への進化さえ出来ない僕達よりもヒカリちゃんとテイルモンが使うべきだよ」

「うん、僕もそう思うよヒカリちゃん」

賢やタケルにもそう言われて、ヒカリも決心が付いたのか、デジメンタルを受け取った。

「良かったなヒカリちゃん」

「…うん。私頑張るね」

「精々足引っ張るなよネズミ」

「あんたこそ私の足を引っ張らないでよ犬」

「「………だりゃあ!!」」

互いに睨み合った後、同時に殴り合った。

「止めろ!!」

「「ぎゃふ!?」」

「だぎゃあ!?」

大輔はアルマジモンを持ち上げ、アルマジモンの甲羅をブイモンとテイルモンの頭に叩き付ける。

ブイモンとテイルモンと、そして無関係なはずのアルマジモンはかなりのダメージを受けた。

「お、俺は何もしてないのに…何でこんな目に遭うだぎゃ…」

「仕方ないよアルマジモン。君の体が頑丈だからだよ」

パタモンが哀れむ目でアルマジモンを見つめる。

「とにかく、サジタリモンとエンジェウーモンが組めばメタルグレイモンにも勝てるはずだ」

大輔が言うとヒカリ達は頷いた。

「痛ててて…」

「あんたのせいよ」

「何だとこら?ネズミの分際で…」

「黙んなさいよ犬…」

「てめえら…」

「「………あ」」

地獄の底から響き渡るような声にブイモンとテイルモンは顔を青ざめさせた。

因みにヒカリ達は大輔の説教が始まる前にもう1つのトロッコにいつの間にか移っていた。

薄情者め。

「あぐぐ…畜生…」

「あ、足が…」

長時間にも渡る説教がようやく終わった時にはブイモンとテイルモンはへばっていた。

「お疲れ」

「おい、友情の紋章はどうした?」

「何で助けてくれなかったのよ…!!」

ヤマトの労いの言葉にブイモンとテイルモンは睨むが、ヤマトは明後日の方角を見つめる。

「いいか…友情はな…奥が深いんだ。」

「「ふざけるなあ!!」」

「ふふ…太一さん。本当にいいんですか?アグモン…」

「ああ、迷っていたら、結局共倒れだ。やる時はやらないと」

「……はい」

芽心の問いに少し表情を歪めた後、太一はそう言う。

「大丈夫よ、お義姉ちゃん。アグモンは絶対に助けるから」

「はっ!?」

「お、お義姉ちゃん!?」

ヒカリの発言に太一と芽心は動揺する。

「おい、聞いたか空?ヒカリちゃんが望月をお義姉ちゃんだとさ」

「ええ、あー…苦いはずのお茶が美味しいわー」

ニヤニヤしながら太一と芽心を見遣るヤマトと空。

「おい!!」

「ううっ…」

「それにしてもここは友情のデジメンタルを見つけたエリアだな」

青春の空気を無視してブイモンが口を開いた。

「そうなの?」

「ああ、迫り来る敵をテイルモンに押し付けては逃げ、押し付けては逃げを繰り返してようやく手に入れたデジメンタルだ」

「あの時はあんたに対して本当に殺意が湧いたわ」

「だって俺、戦闘力初期化されてたから成熟期の相手なんか出来ないし」

「だからって私に押し付けていく!?普通!?」

「気にするな、俺は気にしないから」

「気にしなさい!!」

「お前らさっきからうるせえよっ!!」

バキイッ!!

「「あどうぅち!?」」

大輔から手加減無しの拳骨を喰らったブイモンとテイルモンは悶絶した。

「お前らって本当に仲良いのか悪いのか分からねえよな」

「全くだな。あんまり皆に迷惑かける喧嘩するなよ?」

「それ、あんた達2人が言えることかしら?」

冷たい目で太一とヤマトを凝視する空。

はっきり言って大輔達と合流するまで仲間内で盛大に喧嘩してたのはこの2人なのだが?

「「…………」」

空の冷たい視線に耐えきれなくなった太一とヤマトはゆっくりと視線を逸らして明後日の方角を見遣る。

「とにかく、さっさとアグモンを取り戻して一乗寺治をシバく!!」

【おう!!】

大輔の言葉に全員が同意した。

全員で変態仮面・一乗寺治をフルボッコすると決意したのである。

トロッコで進めるだけ進んだ後、奥の方から爆発が起きた。

「あそこだ!!」

全員が駆け出し、爆発の発生した場所に向かうと案の定、エアドラモンに乗った治とメタルグレイモンがいた。

「おい、一乗寺治!!」

「ん?追い掛けてきたのか…しぶとい奴らだ…僕のことはデジモンカイザーと呼びたまえ」

「…治治治治治治治治治治治治治治治治治治治治。一乗寺治。身の程知らずのお坊ちゃまの治ちゃ~ん」

ブイモンが現実世界で培ってきた嫌味スキルが発動し、治のこめかみがヒクヒクと動いた。

「…僕を本気で怒らせたいんだな?」

「あっら~?治ちゃんは何で怒ってるのかしら?もしかして身の程知らずの自覚があったのかしら~?」

「おいおい、テイルモン。こういうのは何も言わずに嘲笑ってやるのが基本だろ?」

「ふう、あんたにそう言われる日が来るなんてねえ…」

「「……………ハッ」」

ブイモンとテイルモンが連携して治を嘲笑う。

本当に仲良いのか悪いのか分からん2人である。

「僕をここまで怒らせたことを後悔しろ!!」

「後悔するのはお前だ!!アグモンを道具のように扱いやがって、お前は絶対にこの手でシバく!!」

太一が治にそう叫び返すと、大輔とヒカリが叫んだ。

「「デジメンタルアップ!!」」

「ブイモンアーマー進化、サジタリモン!!」

「テイルモン超進化、エンジェウーモン!!」

「何!?」

いきなりのエンジェウーモンの降臨に治は目を見開く。

「覚悟しろ一乗寺治!!ジャッジメントアローで裁いてやる!!」

「ついでにホーリーアローでその身を焼かれなさい!!」

サジタリモンにエンジェウーモンが騎乗して同時にエアドラモンに向けて矢を放つ。

どちらも聖なる力を持つ一撃だ。

即座にエアドラモンから治はメタルグレイモンに飛び移る。

「チッ…あいつめ…」

「逃げたわね…まあいいわ。今はメタルグレイモンに集中しましょう」

「ああ、振り落とされるなよエンジェウーモン」

サジタリモンはエンジェウーモンを乗せたままメタルグレイモンに突撃した。

「「俺(私)達の全力を見せてやる!!」」

高速で駆け回るサジタリモン。

巨体故に素早さに難があるメタルグレイモンでは対応仕切れない。

「「ブイテイルコンビネーション!!」」

攪乱させ、エンジェウーモンが背後に回ると膝に光線を放ってメタルグレイモンの体勢を崩し、サジタリモンが跳躍蹴りを顔面に叩き込んで転倒させた。

「おおー、流石のコンビネーション」

「嫌な思い出が蘇るわ…」

空がサジタリモンとエンジェウーモンの連携に感心し、京はあの時のお小遣い0事件の時を思い出した。

そしてメタルグレイモンに乗っていた治も当然落下する訳で。

「今だ!!」

「太一、今よ!!」

「よっしゃあ!!」

当然治に対して腸が煮えくり返っていた太一もこの好機を逃がすわけもないわけで起き上がりかけていた治を殴り飛ばした。

因みに鞭は奪って放り投げている。

「よくもアグモンにあんなことしてくれたな!?喧嘩ならお前みたいなひ弱なお坊ちゃまなんかに負けやしねえんだよ!!」

実際治は喧嘩慣れしていないようで太一に一方的にやられている。

まあ、体格的に劣る大輔に一方的にボコボコにされてる時点でお察し下さいだが。

「僕は君達凡人とはレベルが違うんだよ、天才なんだよ…!!」

「その天才様が喧嘩も碌に出来ねえ、弟に威張り散らすしか能がねえ奴なら俺はなりたくねえな!!」

「黙れ!!」

治が太一に殴りかかるが、ヤマトに比べて単純すぎて簡単にかわせるために逆に蹴り飛ばされてしまう。

「ぐっ…この僕がこんな凡人なんかに…」

「けっ」

「くっ…やはりこの世界は狂っている…こんな野蛮で品性の欠片もない奴らが選ばれるなんて…」

「野蛮なのはお前だろ」

「どの世界も僕のような天才を拒絶する…ならば僕が正しき世界を作り上げる。僕が正しいことを世界に知らしめ!!僕がルールとなる!!」

「殴ったせいで更に頭が可笑しくなったか?」

少し治が気持ち悪くなってきた太一は気付かぬうちに少し後退した。

「ふふふふ…君達のような凡人が選ばれること自体可笑しいんだ。選ばれし子供とは僕のように頭脳明晰で完璧で美しい人間を言うのさ」

「自分で自分を美しいとか恥ずかしくねえのかお前?てか、気持ち悪いぞお前…」

「ふん、所詮は凡人。天才の孤高さも美しさも理解出来る能力もないか」

「取り敢えず、お前みたいなのを人間の恥曝しってことくらいは分かる。何か日増しに気持ち悪くなってきたなお前」

太一は気持ち悪そうに治を見つめる。

サジタリモンとエンジェウーモンのコンビとメタルグレイモンの戦いにテントモンに呼ばれたガルルモン達も加勢し、メタルグレイモンは完全に劣勢となる。

「メテオギャロップ!!」

再び跳躍蹴りを繰り出し、メタルグレイモンの体勢を崩すと、その隙にエンジェウーモンが人差し指をスパイラルに伸ばした。

「ヘブンズチャーム!!」

指から放たれた光線はスパイラルに命中し、破壊されるとスパイラルの破壊とダメージによってアグモンに退化し、暗黒のデジメンタルが2つも落下している。

「チッ!!」

口笛を吹き、ダークティラノモン達を呼ぶ。

アグモンを回収しようというのだろうが、それを許す者など誰もいない。

「フォックスファイア!!」

「メテオウィング!!」

「エクススクラッチ!!」

ガルルモン、バードラモン、メイクーモンがダークティラノモン達を攻撃し、ダークティラノモン達は抵抗も出来ずに倒された。

「ガルルモン!!」

「ナイス、バードラモン!!」

「メイちゃん、ありがとう!!」

ヤマト達はガルルモン達を賞賛した後に治を睨んだ。

「さてと、兄さん。デジタルワールドにこれ以上恥を曝したくないからさっさと現実世界に帰ろうか?」

「ふん、僕の美しくも崇高な理想を理解出来ない凡人達に僕を捕まえることなんて不可能だ」

「おい太一、何だこいつ?」

「いやー少し殴りすぎたかもしれん。」

気持ち悪そうに治を見つめるヤマトと太一。

「今回は特別に退いてやる。しかし次は必ず貴様らを始末する。覚えているが良い!!」

エアドラモンを呼び出し、飛び移るとそのまま去ろうとする治だが、サジタリモンとエンジェウーモンは無言で弓矢を構えて引き絞る。

狙いは言うまでもなくエアドラモン。

「「ホーリージャッジメントアロー!!」」

2つの技が1つになる強大なエネルギーを纏った矢がエアドラモンに急接近し、それはエアドラモンの羽を貫通してそのまま墜落した。

「「ふん」」

退化して鼻を鳴らす。

無論エアドラモンと共に治も一緒に落下したが、変態だし死にはしないだろう。

「アグモン、良かったな…!!」

「太一、みんなの所に戻って来られたんだね……!!」

「そうさ、これからは気をつけろよ!本当に心配したんだからな?」

「太一…」

目を潤ませたアグモンと太一がしっかりと抱擁した。

もう二度と、パートナーをこんな目に遭わせたりはしないと決意しながら。

因みに治は生きていた。

木の枝に引っ掛かって。 
 

 
後書き
暗黒のデジメンタルを2個使って成熟期、完全体に進化させてました。後もう1個使われていたら究極体に進化してましたね。  
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