龍馬の言葉
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第二章
「まっこと露西亜は強いぜよ」
「勝つのは難しいのう」
「今のところ勝っちょるが」
「これからはわからんのう」
「今から海での戦がはじまる」
龍馬は二人に真剣な顔で述べた。
「その戦のことで皇后様にお話するんじゃ」
「どうなるか、か」
「今頭ん中で大元帥明王さんが言うてきた」
明王の中でもとりわけ強力な仏の一人であるこの仏がというのだ。
「この海での戦勝つとのう」
「そうか、海での戦で勝ったらな」
武市は龍馬のその言葉に真剣な面持ちで応えた。
「日本は戦自体の勝ちに大きく近付くぞ」
「そうじゃな」
「後は陸で一戦勝ったらじゃ」
武市は明るい顔になりそちらの戦争の話もした。
「外交に持ち込んでな」
「日本の勝ちぜよ」
「その大きな一歩になる勝ちをか」
「日本は手に入れるとな」
「皇后様にお話しに行くんじゃな」
「そうぜよ、これから皇后様の枕元に赴いてのう」
龍馬は武市そして岡田に明るく笑って話した。
「お話して来るわ」
「そうか、行って来い」
「そして伝えてくるんじゃ」
武市だけでなく岡田も龍馬に言った。
「日本が勝つってのう」
「そのことをな」
「そうしてくるわ」
龍馬は二人に応えそうしてだった。
皇后の枕元に出た、そして皇后にそのことを話したのだった。
日本と露西亜の戦争、俗に言う日露戦争はこの海での戦い日本海海戦での勝利とその後の奉天での大会戦に日本が勝ちその後は外交交渉で日本は勝ったまま戦いを終えた。これで日本は生き残っただけでなくその国威を大いに高め世界の有色人種にも自分達も当時世界を制圧していた白人達に勝てると自信を与えることになった。
この勝利にだ、龍馬も大いに喜んだ。
「大きな勝ちぜよ」
「ああ、日本は生き残ってな」
「国威も高めたぜよ」
武市も岡田も笑顔で言う、三人は極楽で日本の勝利を祝っていた。
「清に勝ったのも大きかったが」
「露西亜に勝ったのはもっと大きいぜよ」
「これで日本は国力も高まるのう」
「絶対にな」
「ああ、日本は未来も掴んだぜよ」
龍馬は祝いの酒を飲みつつ笑って言った、肴は龍馬の好物である軍鶏鍋で三人で囲んで話をしている。
「あの勝ちで」
「これからも大変じゃろうが」
「まずは大きなものを掴んだぜよ」
「まさに会心の勝ちじゃな」
「皆よくやったぜよ」
「まっことのう、その勝ちを祝うぜよ」
極楽でもというのだ。
「そうするぜよ」
「ああ、わし等もな」
「先に死んでここにおるがのう」
「日本のモンとして存分に祝うか」
「この大きな勝ちをな」
三人で笑顔で話した、この時龍馬は日本が露西亜との戦いに勝ち日本を護っただけでなく発展の大きな足掛かりを得たことにも心から喜んだ。
だが後日だ、彼は後から来た山縣有朋からその話を聞いて眉を顰めさせた。
「共産主義じゃと」
「はい、わしが死ぬ間際辺りに」
山縣は若い時の姿で龍馬に話した。
「出て来て」
「露西亜が共産主義に染まってか」
「ソ連という国になりました」
「それでその共産主義ちゅうんがか」
「革命と称して露西亜の皇室や貴族や革命に反対する者を皆殺しにしています」
「皆殺しか、それはいかんぜよ」
龍馬は山縣から共産主義の話を聞いて顔を顰めさせた。
「しかも神も仏も信じんのか」
「そうしたものは一切」
「そうした連中か」
「そのうえで自分達に賛同しない者はです」
「皆殺しか」
「そうしています」
「危ない連中じゃのう」
龍馬は彼等、共産主義者についてこう言った。
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