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永遠の謎

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227部分:第十六話 新たな仕事へその三


第十六話 新たな仕事へその三

「言っておられました」
「左様ですか」
「私はです」
 公は二人の名前を出してから己の考えをだ。あらためて述べるのだった。
「やはり早いうちにです」
「婚姻をですね」
「して頂きたいと思っています」
 この考えをだ。王に伝えるのだった。
「ですが全ては陛下の思われるままです」
「私が決めることですか」
「はい、相手はどなたか」
 まずはこのことだった。
「そして何時婚姻されるか」
「そうしたことをですね」
「御自身が決められることです」
「私が。王として」
「后を迎えられる。お考えになって頂ければです」
「わかってはいます」
 穏やかな声でだ。王は答えた。
「私もその時期に来たからこそ」
「そうです。よくです」
 ここでも己の考えを伝える公だった。こうした話をしていた。
 そしてだ。その話の後でだ。
 王は公が去ってからだ。ホルニヒを呼んだ。そのうえで彼に対してだ。親しげな様子で声をこう告げたのであった。
「馬に乗るか」
「これからですね」
「そうだ。そうしようか」
 こう彼に告げたのである。
「これからな」
「そして何処に行かれますか?」
「湖に行こう」
 そこにだというのだ。王宮から少し離れた場所にあるその湖にだ。
「そしてそこで泳ぎたい」
「水泳もされるのですか」
「馬と親しむのもいいが」
 王は乗馬が好きなだけではなかった。馬自体を愛しているのだ。
「水と親しむのもいい」
「だからこそですね」
「そうだ。どうだろうか」
 微笑んでだ。ホルニヒに問うた。
「これからな」
「侍従長が来られるとのことですが」
 ホルニヒは彼の名前をここで出した。
「そのことは」
「いいのだ」
 王は一言で答えた。
「それはな」
「宜しいのですか」
「そうだ、いいのだ」
 また言う王だった。
「待っていてもらおう」
「そうされるのですか」
「彼も慣れていることだ」
 実際に王は臣下との話し合いの場を離れることも多い。それで王は気まぐれだと言われだしてもいる。だがそれでもだというのである。
 今王はだ。そうするというのだった。
「いいな」
「わかりました。それでは」
「止めはしないのか?」
 ホルニヒの言葉に対して問うた。
「それを」
「止めることですか」
「王としての仕事の放棄だ」
 それだと言ってみせるのだった。
「それをしようとする私を
「止めないのか」
「陛下は後でされますから」
 だからだというのである。
 
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