異世界転移した最強の俺、追放されたSSS級冒険者(美少女)を拾う
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新商品、お試し中-1
こうして俺達は諸事情により、魔王を倒して素材を手に入れて、現在の住居にやってきた。
“マカロニ村”、という美味しそうな名前の村である。
長閑な村で、都市に出荷している果物や野菜、乳製品などで生計を立てており、都市にも近いので、近場の穴場な観光スポットにもなっている。
そんな村の一角で俺達は現在喫茶店をやっていた。
だが兼業の方も色々と依頼が多く、それらをしている内に周辺などで“冒険”することになってしまった。
そこまで考えて俺は、
「“冒険”が出来たりするのは楽しくていいが、目的がないと延々と依頼を受けるだけになっているよな」
「え~、それだけでも私、十分楽しいよ? だってずっとやりたかった“冒険”が出来ているわけだし」
「ルーシーが楽しそうなのはいいが、やっぱり以来があったからするとかそれだけだと、そろそろ何か変化が欲しいな。冒険者ギルドにそろそろ登録に行ってみるか?」
「う~、私は登録しません」
「わかった、俺だけな」
そう話しているとそこでルーシーが、
「でも冒険者登録をすると、余った素材なんかを売ったりしやすくなるよね。登録資格があると、もっと普通の場所で売ったりできるし」
「そうなのか? 確かに余った素材もそこそこたまったし、登録しておくか」
「うんうん、ついでにこの喫茶店の宣伝をしておこうよ。確か安い値段で広告がギルドでも出せたはずだし」
「そうなのか? 確かにそれはいいかもしれないな。ここの喫茶店の店舗を借りる条件が、変わった料理を作ってもらって村おこし兼観光客誘致、だったしな」
「そうだね。たまたま料理勝負をやっていたから、ユウスケが面白半分で料理を作ったら変わっていると話題になって、喫茶店をやる権利を手に入れちゃったんだよね~」
「本当にな。たまたま来たらやっていたから参加しただけで……渡りに船だったから、出たが、運が良かったよな」
といった話をしているとそこで、現在一緒にいるもう一人の……客人が、
「あの、よろしいでしょうか」
「はい、何でしょうか」
「……本当に冒険者ではないのですか?」
「そうです。というか……えっと」
「あ、私の名前はエリカです。申し遅れました」
「いえ、俺はユウスケでこっちがルーシーです。俺の方も自己紹介をしていなかったな……あ、それでなんでしょうか」
そう、エリカに聞くと、エリカは少し黙ってから、
「その、魔王の核ともいうべき伝説の素材……総称される貴重なものを、冒険者でもないのに手に入れるというのはどういう理由なのでしょうか」
「ん? ああ、それはたしか、この村に住んでいる“マダおじさん”が新しく水路を引きたいとかで、掘りやすいスコップを探していたんだ。だから“魔王の核”を使って使いやすいスコップを一つ……」
「ま、待ってください。“魔王の核”は勇者の使うような伝説の剣などに使われる強力な材料で……」
「でも使いやすいスコップになるらしいから。ほら、“マダおじさん”は最近腰を痛めたりしているからさ……」
そう話すとエリカは絶句したようだった。と、そこでルーシーが、
「あ、うちの喫茶店が見えてきたよ! エリカ姫、あそこがうちの喫茶店なの」
「……あの、どうして私の事をご存じなのですか? お会いしたことはないはずですが」
エリカがルーシーを警戒するように見るも、ルーシーは空を少し見上げてから、
「そこは秘密にしておいたほうが良さそうなので秘密です」
「え? いえ……」
「それより新商品を楽しみにしていてね、ユウスケの変わった異世界料理は、とっても美味しいんだよ。確か今日はデザートだったはず」
「異世界料理?」
「あ、間違えた。異国の料理です。そういえば今は気温が程よくて心地のいい季節なので、外で食べよう! 先に私達は席に座っているから早く作ってきてね、ユウスケ」
ルーシーがエリカの手を掴んで、外にあるテーブルに向かっていくのを見ながら俺は、
「ルーシーが楽しそうなのはいいが、なんだか色々油断しているな。まあいいか。さて……じゃあルーシーも楽しみにしているみたいだし、“時間を止めて”盛り付けでもしておくか。もう材料は一通りそろえてあるんだよな。あ、その前にこの魔王の核を危険がないように処理しておいておくか」
そう呟き、休業中の札のかかった喫茶店のドアを開いたのだった。
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