レーヴァティン
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第七十一話 南の港町その九
「今皆赤ワインだね」
「パエリアにはこっちだよな」
久志は少ししみじみとした口調になって述べた。
「やっぱり」
「そうだね、パスタもだけれどね」
「パエリアには赤だよ」
「そっちの方が合うね」
「魚介類が入っていてもな」
そう言いつつ久志はパエリアの御飯を食べて赤ワインを飲んだ、実際にそれはかなり組み合わせだと思いつつ。
「赤ワインだよな、パエリアは」
「炭水化物だからだろうね」
「炭水化物には赤ワインか」
「パスタもそうだしピザもね」
「赤だよな、まあ普通の魚料理とかだったらな」
こちらの場合はというと。
「白ワインだけれどな」
「カルパッチョとかフライは白だな」
正もこう言った。
「やっぱり」
「そうだよな、けれどな」
「パエリアとかパスタになるとな」
「赤だよ」
「炭水化物系はな」
「そうだよな、やっぱり」
「ああ、じゃあ赤ワインも飲んでな」
勿論正も飲んでいる、それもよく見れば一行の中で一番飲んでいる。
「明日の朝にな」
「そいつの店に行くか」
「そうするか、しかしな」
「この調子で飲んでいるとか」
「明日の朝は二日酔いか」
「そうなってるだろうな」
「じゃあ明日はまず起きたらな」
それならとだ、正は言った。
「風呂だな」
「そこで酒抜いてか」
「それから店に行くか」
「それがいいだろうな、しかも風呂は風呂でもな」
久志も言った、彼にしても既にかなり飲んでいる。そしてこの飲んでいる量ならと自分で先読みして述べたのだ。
「サウナだな」
「そこで汗をかいてな」
「酒抜くな」
「やっぱり二日酔いにはサウナだな」
正は今も飲んでいる、そうしつつ言うのだった。
「あれが一番だ」
「汗かいて身体冷やしてか」
「それを繰り返してな」
そしてというのだ。
「一気に酒を抜くんだよ」
「それがいいな」
「ああ、だからな」
明日はというのだ。
「まずは酒を抜いてな」
「それからだな」
「店に行くか」
「金貸しやら色々やってる店か」
「店の大きさ自体も今セビーリアで一番の大店みたいだからな」
そこまでの店だからだというのだ。
「目立つぜ、看板もな」
「それじゃあすぐに行けるな」
「すぐにわかるさ、じゃあな」
「今は飲むか」
「そうしような」
正は言いつつまた飲んだ、食べているが飲むのもかなりだ。
「明日はそれからだ」
「酒を抜くことは前提か」
「もうな」
このことはというのだ。
「相当に飲むしな」
「まだ飲んでないだろ、そこまで」
「これから飲むんだよ」
言いつつ実際に飲む正だった。
「飲みたいしな」
「やれやれだな、しかしな」
「しかし?」
「いや、酒を飲むのもいいけれどな」
久志はここでこうしたことも言った。
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