空に星が輝く様に
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71部分:第六話 次第にその九
第六話 次第にその九
「恋愛っていいわよね」
「恋愛ね」
「私も。何時かは」
「はじめればいい」
今はこう言うだけだった。
「そう思うのなら」
「私もなの」
「そう、つきぴーも」
また言う椎名だった。
「そうすればいい」
「そういうものなの」
「そういうもの」
こう話している間に休み時間は終わった。この日から椎名は休み時間は大抵月美の横にいるようになった。星華達はこの状況に歯噛みするしかなかった。
「何よ、あいつ」
「いつも西堀の傍にいて」
「何かむかつく」
まずは三人が忌々しげに話す。三人はクラスの教壇のところから月美の横にいる椎名を見てだ。手出しができず困っているのであった。
それでこう言うことしかできなかったのだ。口調と顔だけが忌々しげになっている。
「隣のクラスなのにね」
「三組のクラス委員でしょ?」
「クラス空けて何してるのよ」
「もう一人いるからね」
ここで星華が話に加わる。彼女も実に忌々しげだ。
「でかいのが」
「ああ、そういえばいるわね」
「二メートル位あるの」
「確か柔道部の」
「そう、あいつよ」
また言う星華だった。
「三組はクラス委員が二人しっかりしてるから」
「こっちは実質男子だけだからね」
「あいつ本当に全然できないから」
「ぐずだし融通利かないし」
この辺りは事実だった。星華は確かにそれはできなかった。それはどうしてもである。
「おまけにね。気が利かないし」
「全然駄目だからね」
「そうよね。できるのは男に色目使うだけ」
「それ以外は何でもできないから」
完全に主観であった。ただし本人達は気付いていない。
「よくそんなのでやっていけるわね」
「全く」
「口では何でも言える」
しかしだった。ここで彼女達に突込みが来た。
「何とでも」
「えっ!?何であんたが?」
「あんたがどうしてここに」
椎名だった。彼女がそこに来たのだ。そうしてそのうえで四人に対して言ってきたのである。そのクールな目で四人を見ながらの言葉だった。
「今クラスに来た」
「ちょっと、何なのよ」
星華がその椎名を睨みすえながら言い返してきた。
「あんた私達に何か言いたいわけ?」
「言いたいことはない」
「じゃあ何なのよ」
「黙ってて欲しい」
こうだというのだ。
「それだけ」
「はぁ!?何よそれ」
星華は椎名の今の言葉を受けて眉を顰めさせて返した。
「だから何であんたにそんなこと言われないといけないのよ」
「口では何とでも言える」
椎名はまたこう言った。向けているのは星華に対してだけではなかった。
「そういうこと」
「何よ、こいつ」
「何が言いたいのよ」
「ああ、椎名さん」
そしてだった。もう一人出て来た。山の如き大男がいきなり椎名の後ろに出て来たのだ。そしてそのうえで声をかけてきたのである。
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