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空に星が輝く様に

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397部分:第三十話 光と影その二


第三十話 光と影その二

「じゃあここで?」
「星華ちゃんのお家に行って」
「それでお話ししてよね」
「学校にまた」
「来てもらおう」
 野上は心から心配する顔になっていた。それは二人も同じだ。
「だって。このままじゃ星華ちゃん」
「多分。沈み込んだままだろうし」
「大変なことにもなるわよね」
 その心配する顔でそれぞれ話してであった。
「下手したら」
「そうなったら最悪だし」
「じゃあ」
「ここはやっぱり」
 こう言ってだった。そのうえであらためて野上に顔を向けて話した。
「行こう、星華ちゃんのお家に」
「ここはね」
「ええ、それしかないわよね」
 野上もだった。深刻な顔で二人に返した。
「やっぱり」
「うん、それじゃあね」
「行こうね」
「うん、今日にでもね」
 三人も決めたのだった。どうするべきかと。
 そしてだった。陽太郎達は。
 また校庭で車座になって昼食の弁当を食べていた。陽太郎のそれはまた月美が作ってくれたものだ。
 いつもの三段重箱のそれを食べながらだ。彼は月美の話を聞いていた。
「今度の日曜?」
「部活ありますか?」
「朝にあってそれからはさ」
「ないんですね」
「ああ。そっちは?」
「はい、居合部もです」
 彼女のいるその部活もだというのであった。
「ないです」
「じゃあその日は午後からか」
「どうでしょうか、それで」
「いいよ」
 一言で答えた彼だった。
「じゃあそれでさ」
「はい、わかりました」
 笑顔で応える月美だった。これで話は決まった。
 そのうえでだ。月美は陽太郎にまた告げた。そしてであった。
「それじゃあですね」
「うん、場所は?」
「港はどうですか?」
「港?」
「はい、港です」
 そこだというのであった。
「そこでいいですか?」
「港なんだ」
「夜の港。どうでしょうか」
 椎名にアドバイスされたことをそのまま話す。しかし彼女にアドバイスされたということはあえて伏した。尚傍には当然その彼女もいる。
「そこで」
「何か変わった場所だよな」
 陽太郎は話を聞いてこう述べた。
「港なんて」
「そうですか?」
「いや、いつもプールとか本屋とか映画館だったじゃない」
「そうですね、そういえば」
「それで港なんだ」
 お握りを食べながら言う陽太郎だった。丁寧に海苔で包まれている三角のお握りである。おかずは玉子焼きに野菜のお浸しにと様々である。
「何かさ」
「お嫌ですか?」
「いや、いいよ」
 反対はしなかった。それも全くである。
「それはさ」
「ですか」
「夜かあ。夜のデートっていつも下校でしてるけれど」
「港は新鮮ですよね」
「だよな」
「ですから余計にと思いまして」
 そういうことにするのだった。実際に考えていることは秘密である。椎名に言われたことはあえて隠す、アドバイスはそうするものだということもわかってきているのだ。
 月美は陽太郎と同じそのお握りを食べながらだ。また言うであった。
「それじゃあ」
「一緒に行こうか、港に」
「はい」
 今度はにこりと笑って応えた。応えることができた。
 そしてそんな二人を見てだ。津島が狭山に言うのであった。
「ねえ」
「何だよ」
 津島は食パンにマーガリンを塗って、そして狭山はアンパンを食べている。そうしながら話すのだった。
 
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