空に星が輝く様に
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365部分:第二十七話 護るものその八
第二十七話 護るものその八
「宿題があってね」
「それはもうやったの?」
「ええ、やったわ」
こう椎名に述べるのだった。
「どうかしら」
「ちょっと待って」
こう言って見せるとだ。椎名は横から覗いてすぐに言った。
「全問正解」
「合ってるの?」
「うん、全部ね」
そうだというのである。
「合ってるから」
「そう、よかった」
「つきぴーって数学苦手だったんじゃ」
「ぢょっと頑張ってみたの」
月美は少し気恥ずかしそうに笑って述べたのだった。
「それで」
「努力したのね」
「それはその」
「人間努力が大事だから」
椎名は控えめな月美に告げた。
「つきぴーは偉い」
「そんな、私は」
「そして慢心しない。それもいい」
また言うのだった。
「そういうことだから」
「ううん、そうなの」
「そう。とりあえず宿題は全部できてるから」
「これでいいのね」
「そういうこと。他の宿題は?」
「ええと、今日はこれだけ」
数学だけだというのである。
「それだけだから」
「そうなの」
「そう。ただ」
「ただ?」
「予習と復習はしたけれど」
「毎日してるのね」
「うん、少しずつだけれど」
そうしているというのである。
「一応ね」
「一応だけれどちゃんとした」
椎名は月美のそういうところをしっかりと述べた。
「つきぴーらしい」
「有り難う、愛ちゃん」
二人はこうした調子だった。そうしてであった。
椎名は月美の傍を離れないのだった。片時もだ。
その他にもだ。放課後にだ。州脇達がそっと教室に戻って月美の席に向かおうとする。その手にはそれぞれマジックが握られている。
「それじゃあね」
「ええ」
「今からね」
顔を見合わせてそのうえで、だった。行こうとする。
しかしここでまただった。椎名がクラスに来たのだった。
「ここだから」
「ここね」
「ここなのね」
しかもだ。女の子達が何人か来たのだった。
「じゃあ早速ね」
「はじめましょう」
「うん」
こうしてずかずかと部屋の中に入って来る。それを見てだった。
州脇達三人は憮然とした顔になってだ。椎名に抗議した。
「ちょっと、あんた何でここに来るのよ」
「あんた三組でしょ」
「それでどうしてなのよ」
「天文部の一年のミーティング」
その三人にこう返す椎名だった。
「それ、今からここでするの」
「はぁ!?何で天文部のミーティングここでするのよ」
「話全然通らないじゃない」
「そうよ」
三人は怒った顔になった。それでだった。
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