戦国異伝供書
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第四話 治世の功その三
「ならばじゃ」
「はい、その国々をですな」
長谷川が応えた。
「全て」
「万全に治めるのじゃ」
抜かりなく、というのだ。
「田畑を整えてな」
「街に道にですな」
「港も」
「そして橋や堤も」
「全て整えよ、そして城もじゃ」
これもというのだ。
「整えるのじゃ」
「そちらですが」
今度は柴田が言ってきた。
「今は播磨にです」
「姫路にじゃな」
「城を築いていますが」
「その城じゃが」
姫路のそれはというのだ。
「わかっておるな」
「はい、存分にですな」
「堅固な城にしてじゃ」
そしてというのだ。
「西の抑えとせよ」
「わかり申した」
「そして各地にじゃ」
要地要地にというのだ。
「よいな」
「城を築き」
「そうしてですな」
「守りの備えとしますな」
「その様に」
「そうするのじゃ」
こう言うのだった。
「国の守りも固める」
「今のうちに」
「そうしてですな」
「何かあれば」
「その城も使いますな」
「築いた城には備えを置いておくことじゃ」
兵だけでなく兵糧や塩を置いておくというのだ。
「よいな」
「はい、そしてですな」
今度は大谷が言ってきた。
「城と城も道でつなげますな」
「無論じゃ。そうすれば城から兵やものが動きやすいな」
「そして動きやすい分ですな」
「守りやすくなるしじゃ」
「いざという時には」
「攻めやすくなる」
信長はこう大谷に話した。
「だからじゃ。要地に城を築いていきな」
「城には兵や兵糧を入れて城と城を道でつなぎ」
「守りにも攻めにも使うぞ」
「わかり申した」
「暫く戦はせず政に打ち込むがな」
七百二十万石、天下随一の勢力になったがというのだ。
「若し何かあれば攻めることも出来る様にしていくぞ」
「それでは」
「して殿」
今度は真木が言ってきた。
「今現在の他家ですが」
「そのことじゃな」
「毛利家は山陰山陽で盛んに勢力を伸ばしていますが」
「それでもじゃな」
「当家は特にです」
「敵と思ってはおらんな」
「どうもきりのいいところで、です」
彼等にとってだ。
「勢力拡大を止めるつもりの様です」
「では特にじゃな」
「問題はないかと」
西にいるこの家はというのだ。
「既に我等は姫路城等を押さえてはいますし」
「播磨一国もな」
「ですからこの家はいいかと。そして武田家や上杉家も」
織田家にとって最も脅威と思われるこの家はというと。
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