どこまで大きいのか
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第一章
どこまで大きいのか
クラテリス=メリディエスはアルネブと一緒に宇宙の哀しみの星屑を集めてそうして星屑から哀しみを取り除くことを仕事にしている、宇宙の人達から哀しみを取り払って哀しみが消えた星屑達で宇宙を奇麗に飾っているのだ。
その仕事の途中にだ、アルネブはクラテリスに尋ねた。
「前から思っていることだけれど」
「何?」
「クラテリスって普段は小さいよね」
今は実際に小さい、アルネブと同じ位の大きさだ。
「けれど本来は」
「ええ。私は大きい種族だから」
クラテリスはアルネブにこう答えた。
「本来の姿は大きいの」
「巨人だよね」
「そうよ」
「本当の大きさは一体どれ位なの?」
アルネブはクラテリスに尋ねた。
「それで」
「内緒」
これがクラテリスの返事だった。
「そのことは」
「えっ、内緒なんだ」
「だって言ったら」
「言ったら?」
「アルネブがショックを受けるから」
だからだというのだ。
「内緒にするの」
「そうなんだ」
「私達の種族はとても大きいの」
「メリディエスの一族はだね」
「そう、だから」
「僕が聞くとショックを受けるから」
「だから言わない」
こう言うのだった。
「あえて言わない」
「そうなの」
「そう、それで」
「僕の前ではなんだ」
「手の平サイズが基本で」
彼の手の平に乗る位の大きさでというのだ。
「そして今が最大」
「うん、僕と同じ位の大きさだね」
「それ位で止めているの」
「もっと大きくなるよね」
「そうなれて」
「本来の大きさは」
「内緒」
またこう言うのだった。
「そういうことにするから」
「ううん、じゃあね」
「そう。この話はね」
「もうしないんだね」
「そうするから」
こう言ってだ、そのうえでだった。
クラテリスは実際にアルネブには年齢のことは内緒にしてだ。彼と共に哀しみの星屑を集める仕事を続けていった。
だが実家に帰った時にだ、彼女は一族の長老にこんなことを話された。
「御前は最近地球でよく仕事をしているな」
「はい」
クラテリスは長老にすぐに答えた。
「あそこには知的生命体が多くて」
「その分哀しみもだな」
「多いので」
それ故にというのだ。
「よく仕事をしています」
「そうだな、あそこでは昔からな」
「この仕事をしている人達がいますね」
「それであそこの人達とも付き合いがあったんだ」
「そうでしたか」
「ああ、それでご先祖様だが」
長老は酒を飲みつつこんなことを話した。
「一回こうした話をしたんだ」
「どういった話ですか」
「わし等は今は本来の大きさだな」
「はい」
クラテリスは二十五メートルの高さだ、長老はその彼女よりも頭一個分以上高く三十メートルはある。
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