空に星が輝く様に
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217部分:第十六話 深まっていく疑惑その三
第十六話 深まっていく疑惑その三
「昔からそういうことは駄目だからね」
「悪い?」
「お姉らしいけれどね」
それは否定しなかった。妹としての気遣いである。
「それもね」
「私らしいの」
「まあ頑張れとは言っておくわ」
これまでよりだ。温かい口調になっていた。
「私からはそれだけ」
「それだけなのね」
「そう、それだけ」
こう話すのであった。
「頑張ってね、お姉もね」
「そうはするわ」
こんな話をしてだった。二人は苺を食べることに戻った。星華はここでは結局答えを出せなかった。何をしていいのかするべきか。わからなかった。
そして次の日。また教室の教壇のところに来てだ。いつもの三人と話していた。話の内容はまずはもう少ししたら行われる運動会のことだった。
「星華ちゃん何出るの?」
「やっぱり短距離走?」
「体育委員からはそう頼まれてるわ」
その通りだと三人の問いに答える。
「実際にね」
「じゃあ出たら?百メートルね」
「丁度いいじゃない」
「ええ。あと二百メートルも頼まれてるの」
それもだというのだった。
「他にはね」
「他にも?」
「あとはハードル?」
「それもね。ほら、うちの陸上部ってあれじゃない」
ここで自分のクラスメイトについて言及する。四人の目は自然にその彼女に向かう。黒いショートヘアのさばさばとした感じの女の子だ。
「長距離じゃない」
「短距離は駄目なのね」
「本人も言うのよ。短い距離はってね」
三人にそうだろ話す。
「それよりも私の方がってね」
「そうなの」
「そういうこと。それであの娘からも頼まれたの」
少し笑っての言葉だった。
「短距離で出てくれって」
「お墨付き?陸上部員からの」
「やったじゃない」
「ええ、結構嬉しいわ」
笑って話す星華だった。
「出たら本当に頑張るからね」
「期待してるからね」
「優勝目指してね」
「そうするわ。優勝は四組よ」
自分のクラスだと。これは断言だった。
「絶対にね」
「よし、じゃあ私達もね」
「頑張ろうね」
「出られるかどうかわからないけれど」
それでもだと。お互いに話す三人だった。
そのうえでだ。ふと月美を見る。そして言うのだった。
「あいつはどうかしら」
「何か陸上競技無理っぽいね」
「そうね」
忌々しげな目で見ながら話す。
「あの胸じゃね」
「どうせまた男たぶらかすんでしょうけれど」
「それでもね」
「そうよね。出ないのに人気だけはあるって」
星華もだった。忌々しげな顔で三人の言葉に頷く。
「嫌な奴よね」
「全く。クラス委員の仕事も碌にしないし」
「っていうかできない?」
「そんな奴だし」
四人で無理矢理委員にしたことはここでは考えもしなかった。そのうえで不平不満をぶちまけていた。自分達が気付かないうちに。
「どうせ運動会も何もしないしね」
「文化祭までそうするのかしら」
「それ最悪」
「そんなこと許さないから」
だがここでだ。星華が目を怒らせて言った。
「文化祭はね」
「じゃあもう強引に仕事やらせる?」
「そうする?」
三人は星華のその言葉に問うた。
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