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老害

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第四章

「嫌われてるさ」
「そりゃそうですね」
「それでだ」
「実績だけでしか言わなくて理論もなくて」
「そんな人間だからな」
「監督にもコーチにもですね」
「何処も声をかけなかったんだよ」
 正式なそれにだ。
「それで評論家としてもな」
「サイケモーニング位で」
「ああしてな」
「限られてるんですね」
「そういうことだ」
 まさにというのだ。
「評論家や解説者としてもな」
「好かれてないってことですか」
「そういうことだ」
「よくわかりました」
 元針の真実、それがというのだ。
「そのことが」
「そうだな」
「つまりあれですね」 
 かなり冷めた目でだ、貴丈は言った。
「元針はもうずっと老害だったんですね」
「老害を雇ったりその話を聞くとな」
「害にしかならないですね」
「実績でしか語れない人間はな」
「もうその時点で、ですね」
「老害だ」
「そういうことですね」
 貴丈は今このことを心の中で噛み締めていた、この事実を。
「よくわかりました」
「わかったな、人間確かに実績は必要だが」
「実績だけじゃないですね」
「実績だけでものを偉そうに語るとな」
「老害になるんですね」
「元針の様になる」
 まさにというのだ。
「だからな」
「はい、俺もですね」
「私もだよ」
「ああはなるまいですね」
「実績は大事でもな」
「それで威張って偉そうに言うばかりだと」
「ああなるんだよ」
 元針の様にというのだ。
「本当にな」
「そういうことですね、じゃあ教師になっても」
「反面教師が出来たからな」
「頑張っていきます」
 こう斎藤に応えた、これ以降貴丈は元針を徹底的に嫌い軽蔑する様になった。そして常に彼については若くして老害になったと言った。実績だけでそこに理論も人格も何もない彼のことを。


老害   完


                  2018・1・17 
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