ノクターン
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第三章
そうしていた、そして夫との間に産まれた娘が五歳になって休日の午後に家で私とテレビを観ている時に私に言ってきた時もだった。
CMでショパンのノクターン、この曲が使われていた。娘は聴いてすぐに私に顔を向けて聞いてきた。
「お母さん、この曲何て曲なの?」
「気に入ったの?」
「うん、奇麗な曲よね」
私にまずはこう言ってきた。
「とても」
「そうでしょ、お母さんも好きな曲なの」
「そうなの」
「ショパンのノクターンって曲なの」
「ショパンの?」
「ショパンって人が作った曲なの」
まだ子供なのでわかりやすい様に説明した。
「ノクターンって名前なの」
「のくたーんっていうの」
「そうよ、名前も奇麗でしょ」
「何かね、この曲を聴いてると」
娘はCMで使われていてテレビから聴こえるノクターンを聴きながら私に言ってきた。あどけない顔で。
「凄く幸せな気持ちになれるわ」
「いい曲だからよ」
「だからなの」
「そう思えるのよ」
「そうなの、これがいい曲なのね」
「そうよ、じゃあ今から全部聴く?」
CMで流れる分だけでなくだ。
「お母さんがかけるから」
「うん、じゃあね」
娘は私の言葉に頷いた、そしてだった。
私はCDをセットして娘と二人でノクターンをじっくりと聴いた、そうしているとお昼寝をしていた夫も起きてきて私に言ってきた。
「ああ、その曲かけてるのか」
「ショパンのノクターンね」
夫にもこう言った。
「いい曲でしょ」
「君の好きな曲の一つだったね」
「そうなの、さっきテレビでかかっていてこの娘がいい曲っていうからかけたの」
一緒に聴いている娘を見つつ夫に答えた。
「そうしてるの」
「成程ね」
「あなたも聴く?」
夫にも誘いをかけた。
「そうする?」
「いいね、それじゃあね」
「皆で聴きましょう」
夫に笑顔で言った、そしてだった。
私は結婚して子供が出来てからもショパンのノクターンを聴いた、いい曲は幾つになってもどうなっても誰でも気持ちよく聴ける、そうして心を清らかにしてくれる。それが名曲だというものだと心から思いながら。
ノクターン 完
2017・11・21
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