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空に星が輝く様に

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187部分:第十四話 夏の終わりにその五


第十四話 夏の終わりにその五

「そんな国とだったのかよ」
「洒落にならないわよね」
「そうした組織があるから」
 また話す彼等だった。そうしてだった。
 とりあえずといった感じで赤瀬が一同に言う。
「ところで」
「宿題ね」
「うん、それを進めよう」
 こう話すのだった。
「進んでないからね」
「そうか、それじゃあ」
「今はね」
 狭山と津島が頷いてであった。そのうえでッレポート用紙を開く。
 そうして書くとだった。陽太郎が言ってきた。
「何かな」
「どうしたの」
「いや、このレポート難しくないか?」
 陽太郎は首を捻りながら椎名に返した。
「ちょっとな」
「難しいの」
「ああ、元々レポートって得意じゃないんだよ」
 このことも言うのだった。
「それでこのテーマはな」
「絶滅した動物について」
「何かなあ」
 書きながらまた首を捻るのだった。
「こんなに書きにくいなんてな」
「それで何の動物?」
「オオウミガラスだけれどな」
 かつて北極海にいた鳥である。最初にペンギンと呼ばれていた鳥だ。食用として乱獲されそのうえで絶滅してしまった生き物のうちの一つである。
「書いてると気が滅入るな」
「そうなんだよなあ、俺ドードーだけれどな」
「私はリョコウバト」 
 狭山と津島もそれぞれそれだった。
「書いてると鬱になるよな」
「全くね」
「僕もだよ」
 赤瀬もそれは同じだった。
「ニホンオオカミだけれどね」
「それ生きてるかも知れない」
 椎名は赤瀬にすぐに突っ込みを入れた。
「奈良県の奥の方に」
「そうみたいだね」
「それはわかったの」
「ネットでも書いてあったしそれを書いていた本もあるしね」
 このことは諸説ある。ニホンオオカミは獲物を毛ごと飲み込む為それでその糞には毛が混じるがその糞を目撃した者もいるのである。
「それでね」
「そうだったんだ」
「私のフクロオオカミだってそうだから」
 椎名はタスマニア島のこの生き物を扱っていた。
「これもだから」
「ああ、それもなんだ」
「生きているって言われている」
 これもまた諸説ある。
「実際はどうかわからないけれど」
「生きていればいいよな」
 陽太郎はこう言った。
「絶滅ってのは何かな」
「ああ、暗くなるよな」
「全くよね」
「けれど生き残っている場合もある」
 椎名は今度は一同を励ます様にして言ってきた。
「絶滅したことも多いけれど」
「生き残っていることもあるか」
「そうなのね」
「うん、だから」
 また言う椎名だった。
「極端に悲しむことはない」
「だったらいいけれどな」
「そうよね」
 それで少し救われた気になれたのは二人だけではなかった。
 陽太郎もだ。レポートを書きながら少しだけその目を晴れたものにさせていた。 
 そのうえでだ。こう言うのだった。
「生きている場合もある、か」
「期待はできる」
「そういえば恐竜が生き残ってるとかってな」
「そういう話もあるわよね」
 狭山と津島は今度はそう話をした。
 
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