艦隊これくしょん~男艦娘 木曾~
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第六十八話
前書き
どうも、遅れました。TRPGしたり寝たりサッカー見てたりしてました。
―四階―
「…………はい、数分間だけ目を閉じといてくれー。」
俺は階段を上りきり、四階の廊下を見て、うわぁと口に出してしまいそうなのを抑え、三人に指示した。
廊下には、バルサ○との戦いの果てに破れ去ったG達が転がっていた。なかなかに地獄絵図だ。
こんな惨劇、女の子に見せるべきではないと判断した俺は、五十鈴たちにそう告げた。
「何よ、別に死んでるから大丈夫よ。」
と、五十鈴。
「確かにその通りです。怖がる必要はありません。」
と、不知火。
「もう閉じてます!」
と、榛名さん。
「「「……………………。」」」
俺達はじっと榛名さんを見つめた。両手で目を押さえていて、恐らく何も見えていないだろう。
俺達はお互いに示し合わせたかのように、そっと物音を立てずにその場から離れていった。
そして、少し離れたところから一人残っている榛名さんを観察することにした。
「え、なんで皆さん黙ってるんですか?何か話してくださいよ。五十鈴さん?不知火さん?木曾さん?榛名は、ちゃんと目を閉じてますよ!」
と、口ではそんなことを言ってるが、目を押さえたまま辺りをキョロキョロと見渡す榛名さん。見えないだろうに、何故。
「え?まさか……居ないんですか!?お、置いてかないでください!ええっと…………どうしよう…………。」
どうやら、俺達が近くに居ないことに気付いたらしい。しかし、頑なに目を開けようとはしない。
Gの残骸を見るのは嫌だけど、置いてかれるのも嫌だ。だけど目を開けたらGを見てしまう。でも、開けなきゃ歩けない。
「…………なんでだろ、負けた気がするわ。」
「…………右に同じく。」
五十鈴と不知火は悔しそうに榛名さんを見ていた。コイツらの圧勝だと俺は思ったが、スルーさせてもらうことにした。
「取り合えず、あのままじゃ榛名さん使い物にならないから、取り合えずコイツらだけでも片しとくか…………。」
俺はそう言いながら箒でGを集め始めた。
…………集めながら、暇なときに水回りの点検しようと固く誓った。
―十分後―
「榛名さん、もう大丈夫ですよ。」
取り合えず廊下をぐるっと一周して、目につくGを処理してきた。
俺達が最初の位置に帰ってくると、いまだに目を覆い隠していた榛名さんがいた。
「…………ごめんなさい。」
榛名さんはそう口にして、目を開けた。
「はい、お土産。」
と、不知火がなにかを見せていた。
「……………………。」
ヘニャヘニャと、その場に座り込む榛名さん。若干目元に涙が浮かんでいた。
「ちょ、不知火!?なんでそんなもの持ってるのよ!?」
五十鈴は不知火が手に持っているものを見て、愕然としていた。
俺は少し離れたところにいたのだが、気になったので後ろから不知火の手に持ってるものを見た。
「…………お前、正気か!?」
不知火の手には、五、六匹のGの死骸があった。
「不知火に何か落ち度でも?」
真顔で首を傾げる不知火。ちょっとかわいいと思ってしまった。
「落ち度しかねぇよ。なんで明らかにGが苦手な榛名さんにそんなもん見せてんだよ。と言うか、よくそんなもん触れるな。」
俺は半分呆れて、半分感心したように呟いた。
「どうせ死んでますし、動いたとしても握りつぶしますよ。それに、手袋してますし。」
価値観が違った。俺は勿論の事、悠人や拓海ですら触ろうとはしない。
俺は榛名さんに、大丈夫ですか?と声をかけた。
「は、はい…………軽く腰が抜けかけましたけど。不知火ちゃんっ、何てことしてくれるんですかっ!」
大丈夫じゃなかった。榛名さんはだいぶご立腹といった感じだ。
「いや…………昨日から楽しそうだったので、私も楽しませて貰おうかと。」
不知火は表情を殆ど崩さないまま、そんなことを言った。
「……確かに、昨日は美味しいものを食べましたし、男の人から殴られませんでしたし、可愛い女の子が二人も増えましたし。」
榛名さんはうんうんと頷いていた。
「…………言っとくが、もしアイツが手を出してきたら言えよ?三倍くらいで返すから。」
まさか、あのた……提督に限ってそんなことは無いだろうけど、と付け足した。
「…………提督を、殴る気?」
「事と場合によっては。」
「「駄目ですよそんなこと!!」」
榛名さんと不知火さんは揃って叫んだ。その迫力に、思わず仰け反りそうになってしまった。
「提督を殴るなんて…………なにされるか分かったもんじゃないですよ!?」
「仮にも上司、殴ってどうなるんですか。」
「私たちは良いわよ、スッキリするから。でも、せっかくの仲間がそんな形で居なくなるのは嫌よ。」
榛名さんは感情的に、不知火は冷静に、五十鈴は呆れながら俺を説得しようとしていた。
…………あれだな、コイツらは男が嫌いなんじゃなくて、『提督』と言うものが大嫌いなんだな。少なくとも、俺はそれなりには信じられてるようだ。
なら、多少なりとも拓海の株は上げておくのが良いだろう。
「…………理由も分からず酷い扱いされる方がよっぽど嫌だね。それに、俺はアイツとは十年来の付き合いだからな。もし殴られたとしたら、暫く殴りあって反省会ってところだろう。」
俺は三年前にあった、三人揃って教室で大暴れした喧嘩を思い出した。以来、できる限り話し合いをするようにしてる。
…………拓海が権力に酔わなければの話だがな。
「……………………。」
「……………………。」
「…………。」
すると、榛名さん達はポカンとした様子でこちらを見ていた。
「どうした?なんか変なこと言ったか?」
「いや、おかしいわよ。」
五十鈴が即答した。
「なんでついこの前産まれたのに、十年来の付き合いなの?」
この鎮守府、問題が山積みすぎだった。
後書き
読んでくれてありがとうございます。なんというか、やることなすこと多すぎて、この作品で何を書いてたかたまに忘れちゃうんですよね……間違えて覚えてるよりはましですけど。
それでは、また次回。
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