ドリトル先生と和歌山の海と山
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第八幕その七
「神様になってますよね」
「毘沙門天を深く信仰していた人だけれどね」
「仏様を」
「このことは日本では普通だしね」
至ってです。
「そしてここにお墓がある人達は真言宗でない人が殆どだしね」
「そうなんですね」
「もうそこはね」
「日本ではですね」
「そんなに意識されていないよ」
そうした状況だというのです。
「神仏を共に信仰している国だからね」
「このことはですね」
「特に意識しないでね」
そうしてというのです。
「一緒にここで眠ってもらっているんだ」
「そういえば徳川吉宗さんのお墓もありましたね」
「うん、お祖父さんのお墓もね」
吉宗さんのです。
「あるしね、それで信長さんにお話を戻すけれど」
「別にだね」
「無神論者ではなかったんですね」
「僕が見るところのね、安土城の石垣に墓石とかを使ったのは」
それはといいますと。
「どうも霊的な結界にしたくて使ったらしいしね」
「そうしたものがあると信じていたから」
「だからですか」
「お城の霊的な結界に使う為になんだ」
「石垣に使ったんですか」
「あのお城の天主閣も様々な宗教的なものが内包されていたというし」
今はないこの天主閣もというのです。
「信長さんは別にね」
「宗教を否定していた訳じゃない」
「そうした人だったんですか」
「そうみたいだよ、ただそれでもね」
信長さんが宗教を否定しない人だとしてもというのです。
「高野山を焼こうとした人なのは事実でね」
「その人がここにいるのは」
「お墓があるのはね」
「確かに謎よね」
「しかも空海さんのお墓のすぐ傍に」
「これはどうしてなのか」
動物の皆にまたお話した先生でした。
「本当に謎だよ」
「空海さん今も生きているんだよね」
「そうだよね」
オシツオサレツはここでこのお話を出しました。
「お世話をする人もおられるし」
「即身仏になられても」
「じゃああそこでね」
ホワイティは空海さんのそのお墓の方を見ました、高野山の墓地の中でも一番高いところにあって立派なそこにです。
「空海さんは今も暮らしているんだね」
「そして信長さんのお墓がここにある」
ジップは信長さんのお墓を見ました。
「お身体は本能寺の変で焼け落ちたみたいだけれど」
「けれど魂はあるのよね」
ダブダブは信長さんのお墓に信長さんの魂が休んでいると考えて言いました。
「あそこに」
「空海さんはどう思われているのかな」
トートーはお二人のお墓を交互に見ながら考えています。
「このことを」
「空海さんの魂はここに今もおられるし」
チーチーもこのことから考えます」
「ご自身の山を攻めようとした信長さんがすぐ傍にいても平気なのかな」
「凄くわからないよ」
「私達もね」
チープサイドの家族も必死に考えていますがわかりません。
「どうもね」
「これは幾ら何でも」
「そもそも誰が信長さんのお墓をここに置こうって言ったの?」
ポリネシアも言います。
「一体ね」
「そうだよね、誰かな」
老馬もそこがわからなくなっています。
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