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筒井筒~白泉オリジナルバージョン~

作者:白泉
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始まり

 
前書き
 いよいよ小説に入っていきます!短いです。 

 
 ぼんやりと、縁側に座って、水分を多く含んだ重めの雪が降るのを眺めていた。低く垂れこめた雪雲は、河内(こうち)一体に雪を降らせるだけでなく、彼女が一番見たい景色を覆い隠している。


 今年、初めての雪だった。


 手がかじかみ、感覚がなくなっていくのを感じながら、ひとつ、白い息を吐いた。色を失くした自分にとって、庭のすべてが銀世界に覆われるのはありがたいことだった。


 焦点の定まらぬ彼女の脳裏に一人の男の顔がちらつき、その瞬間胸が締め付けられるような痛みが走る。思わず顔をしかめたが、痛みが治まった後、彼女の口角はゆるりと上がっていた。



 もう一度、今は見ることのできない龍田山(たつたやま)があるほうを見やる。





 あれは、桜の舞う季節だった……。 
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