リング
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203部分:ラグナロクの光輝その五十七
ラグナロクの光輝その五十七
「後方ではなく」
「普通に敵艦隊を叩くのならば後方が一番でしょうが」
だが今回は敵は艦隊だけではないのだ。
「七匹の竜もいますし」
「彼等もですね」
「そうです、ここで倒します」
「だからこそ側面に」
「おそらく敵は竜は前面に出してきております」
ワルキューレ達はそう述べてきた。
「その後方に主力艦隊を配し」
「ムスッペルスヘイムから来る我が軍の主力艦隊に対しているでしょう」
「しかし私達には気付いていない」
「そういうことです」
その言葉が引き締まってきた。
「ですから」
「最後の最後まで隠密行動を行い」
「突如として彼等の側面に姿を現わし総攻撃を仕掛けます」
「タイミングはどうされますか?」
ワルキューレの一人がそれに問うた。
「タイミングですか」
「はい、それこそが最も重要だと思うのですか」
「ええ、それはわかっています」
パルジファルはその言葉に頷いた。それは彼もよくわかっていた。
「そのタイミングは我が軍の主力艦隊が攻撃に入る時です」
「そこで」
「はい、敵が攻撃を仕掛けようというその瞬間に仕掛けます」
そのタイミングももうわかっていることであったのだ。
「それで宜しいですね」
「それは総帥にお任せします」
何故かここでワルキューレ達はパルジファルに下駄を預けてきた。
「!?」
パルジファルがそれに首を傾げていると彼女達はまた言った。
「戦術に関しては総帥の方が私達より遥かに優れております」
「ですからお任せ致します」
「わかりました。では」
そうした理由で任されるのであれば彼も異存はなかった。
「それではやらせて頂きます」
「はい」
今先頭の艦隊がビブロストを通過した。いよいよであった。
「それでは」
「了解です」
「ワルキューレはまだ待機です」
「待機!?」
「そうです、発進したならばそれだけで存在を気付かれます」
「左様ですか」
「はい。ですからまだなのです」
艦載機の発進及び収納はそれだけで反応を出してしまう。パルジファルはそれがわかっているから今はそれを制しているのである。
「その時になればお伝えします」
「はっ」
「わかりました」
戦乙女達はその言葉に応えて敬礼した。
「ではこのまま我々は帝国軍の右側面に回り込みます」
モニターにヴァルハラ星系の宙図が映し出される。そのムスッペルスヘイム側の入口には予想通り帝国軍が展開していた。それはモニターにはっきりと描かれていた。
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