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リング

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185部分:ラグナロクの光輝その三十九


ラグナロクの光輝その三十九

「その為にクンドリーを使ったか」
「そうだ、あの女はよくやってくれた。最後はホランダーに殺されたがな」
「そのホランダー達を殺していたのも貴様であろうに」
 ローエングリンも彼を睨み据えた。
「違うか、ミーメを使って」
「あの愚か者には確かにホランダーを使ってその叡智を探るように命じた」
「それがローゲか」
「だがあの愚か者はそれを己が野心に使おうとした。だから第四帝国共々始末したのだ」
「ファフナーを使ってか」
「そうだ」
 ヴァルターがファフナーのことを出す。
「またファフナーは蘇る。卿のミョッルニルで倒されたがな」
「クッ」
「そしてファゾルトもまた現われる。それにより我がニーベルングの覇業は成るのだ」
「ここで百個の艦隊を失ってもかい?」
 ジークムントは六人の中では最も勝気であった。その赤い目に闘志を満たしてニーベルングを見ていた。
「もうそんなに兵力もないと思うがね」
「兵力か」
「百個艦隊っていやあ相当なもんだろ。それまでにもかなり失ってるしな」
「如何にも」
 この返事は七人にとって意外なものであった。こうした場合は虚勢でもいいから強気でいくのが常道だからである。これは思いも寄らぬことであった。だが。
「だがまだ兵力はある」
「そうかい」
「諸君等に対抗できるだけな。そのうえ」
 彼には切り札があったのだ。
「ファフナーとファゾルトが諸君等を待っている。楽しみにしておくのだな」
「それで貴方はこのノルン銀河を手に入れられるのですね」
「そうだ」
 彼は傲然として答えた。
「この銀河をニーベルング族の銀河とする。アース族の者達を抑えてな」
「アースを」
「その為に私は今この銀河にいる。そして」
 七人に対して告げた。
「そして!?」
「その私と戦う為に諸君等もいるのだ。アースの戦士達よ」
「私達のことも御存知なのですね」
「卿と同じ程にはな、バルドルよ」
 パルジファルに言い返す。
「そして私が今ここにいるのも。諸君等と会う為だった」
「ほざけ、ここで倒してくれる」
「そしてこの銀河を」
「アースのものとするつもりか?」
「くっ」
「我がニーベルングを倒して。アースのものとするつもりか、アースの戦士達よ」
「そうです」
 七人を代表する形でパルジファルがクリングゾルに返した。
「ニーベルング族はその心に邪なるものを持っています。貴方がそうであるように」
「フン」
 その言葉はクリングゾルにとっては冷笑すべきものであった。
「逆らう者には容赦なく、苛烈で無慈悲な政治を行っている。またニーベルング族の下では他の多くの者がその支配に苦しむことになるでしょう。それを許すわけにはいきません」
「言ってくれるな、アースよ」
 クリングゾルはあえてアースの名を出した。パルジファルをモンサルヴァートともバルドルとも呼ばなかった。あえてアースと呼んだ。そう、彼だけを指したわけではないのである。
「ニーベルングが酷薄だというのか」
「違うのですか?」
「愚かなことだ」
 彼はその言葉を嘲笑した。頭から否定してきた。
「卿等のしてきたこともまた。同じではないのか」
「同じとは!?」
「ホランダー族を迫害したのは。我等だけではない」
 彼はそう言った。
 
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