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リング

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178部分:ラグナロクの光輝その三十二


ラグナロクの光輝その三十二

「ニーベルングを倒すしか」
「わかった。やはりあの男は倒さなければならないのだな」
「それしかありません」
「ニーベルング。やはり」
「私も聞きたいことがある」
 ローエングリンもワルキューレ達に問うてきた。
「ホランダー族のことだが。それは誰が答えてくれるのか」
「私が」
「卿か」
「はい、グリムリンデと申します」
 そのクリムヒルデに七人が問う。
「ではグリムヒルデよ、答えてくれ」
「ホランダーのことを」
「彼等が第三帝国の者達だということはもう知っている」
 彼は一度死に、そして多くのことを知ることとなったのだ。その中にホランダーのこともあったのだ。
「第四帝国が彼等を実験に使っていることは聞いた」
「それを御存知なのですね」
「今まで知らなかった。それを行っていたのはミーメではないのか。そしてニーベルング族では」
「その通りです」
 グリムヒルデはその言葉に頷いた。
「そしてその技術を応用したのが」
「ローゲというわけか」
「ローゲはミーメが開発したものです。ですが彼は野心を持っていました。それでニーベルングに反旗を翻し、彼自身がこの銀河の王座に座るつもりだったのです」
「そうだったのか」
 ローエングリンはそれを聞いて納得したように頷いた。
「やはりな」
「予想しておられましたか」
「うむ、ミーメという男の品性は聞いていた」
 彼はバイロイトにいることも多かった。そこで色々と聞いていたのだ。
「あの男、死んで正解だった」
「彼の手によりホランダー族の多くの者が命を落としました」
「酷い話だ、全てニーベルングの為に」
「はい」
「多くの者が命を落としている」
「それで私も聞きたいが」
 先程下がったジークフリートが前に出た。
「私の質問には誰が答えてくれるのか」
「それは私が」
 また一人のワルキューレが進み出て来た。
「このオルトリンデが」
「ではオルトリンデよ」
 ジークフリートは彼女に問う。
「卿に聞きたい。私は幼い頃より夢を見てきた」
「はい」
「ヴァルハラに行け、と。そしてそこで玉座が待っている、と。これはどういうことなのだ」
「かって第四帝国のリェンツィ帝には一人の皇子がおられました」
「それは聞いたことがある」
 彼はそれを聞いたことがあった。だからこそ応えることが出来た。
「二十二年前の話だったな」
「そうです」
「それと。関係があるのか」
「貴方の出自とです」
「成程」
 勘のいい彼にはそれが容易にわかった。
「そういうことか」
「はい」
「だからこそヴァルハラに行けと。そういうことなのだな」
「左様です」
 そう答えが返ってきた。
「私もまた。運命に導かれていたか」
「アースの血に」
「わかった。ではそれに従おう」
 彼は強い言葉で応えた。その目にはもう迷いはなかった。
「それでいいのだな」
「是非。御自身の運命に導かれて下さい」
「わかった。後はヴァルハラでだな」
「その通りです」
 ジークフリートの謎も解けた。しかしまだ一人残っていた。
 
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