異世界にやってきた俺は、チート能力を駆使して全力でスローライフを楽しむ!
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解放しました
早くここから出してほしいという彼女のお願いを聞いて俺は、早速解除した。
糸が引っ張られて切れるような音がして、彼女をとらえていた氷が砕けていく。
それだけだった。
「え?」
間の抜けた声を目の前の少女があげて倒れ込もうとする。
その体を俺はとりあえず支えたわけだが……その、隠されているとはいえ、こう、薄い布の一枚状態であったり、スレンダーとはいえ、出る所は出ていたがためにこう……。
一言でいうと、とても柔らかかったです。
だがここでそんなことを言おうものならどうなるのかは想像に難くなかったので俺は、何も気づいていないふりをしながら、
「大丈夫ですか?」
「う、うむ。久しぶりに解放されたからかのう?」
「あ、俺が今着ているローブでよろしければ着ますか?」
「う、うむ。そういえばこのような姿だった。魔力で衣服を回復させるだけの力は残っておらん……好意に甘えるとしよう」
そう少女が言うので俺は、とりあえず彼女の支えになりながらローブを脱いで渡す。
替えのこういったローブもあるといいかもしれない。
後で購入しておこうと俺は思いながらそこで気づいた。
「そもそも魔力を回復させておけばよかったのか」
そうすればローブを貸す必要もなかった。
どうも魔法のない元の世界の感覚が残ってしまっているようだ。
うまく切り替えないと、後々大変なことになりそうだと俺は、気を付けようと思う。
そこで少女が慌てたように、
「ま、魔力の回復はさすがに無理だと思うぞ。こう見えても妾は竜種のうちが一つ、水竜に連なるもの。それもこの世界では高位の……」
「でも全回復させるわけではないから大丈夫なのでは? 魔力を回復させることができればあとは体の回復に回したりといろいろできますし」
「……異世界人と言えど、そこまでの魔力がある者には、妾は出会ったことがないぞ?」
「ですが前に他の世界にいた時は、竜、数人の魔力回復もしていましたから、大丈夫だと思いますよ?」
「こう見えても妾は上位種なのじゃが……だがお前の好意は嬉しい。だからお言葉に甘えよう。じゃが……無理はせんでくれ」
そういって俺の手を彼女は握る。
慈悲深いタイプの竜ではあるらしい。
前の世界にもこういう竜がいて……ヤンデレになりかけて大変だったなと俺は思い出しながら、回復の魔法を使う。
この竜の魔力容量から逆算していき、この程度なら全回復できるなと思って全回復をさせた。
目の前の少女が凍り付いた。
そして青い顔で俺を見上げて、
「おぬし、本当に何ものじゃ? ただの異世界人なのか? 我らが竜王でも大変そうなことをいとも簡単にやっているように見えるが。先ほどの封印も一瞬で解いたし……」
「あ、えっと、そ、その話はまたにしましょう。今はここからのだしゅつが先です」
「……」
不審そうに俺を見る彼女にそう返してから俺は、そこで彼女の名前を聞いていないのに気付いた。
「あの~、名前を聞いてもよろしいのでしょうか」
「ん? そういえば恩人なのに名前を名乗っていなかった。失礼した。妾の名前はレオノーラじゃ」
「可愛い名前ですね。俺の名前は霧島颯太です。ソウタと呼んでいただければと」
「そうか、ではソウタとよばせてもらう」
「はい、それともう一つよろしいですか?」
「なんじゃ?」
「罠を避けて移動する関係で、抱き上げて連れて行っても構わないでしょうか」
その方が罠にかからずに移動できてよかったからなのだが、レオノーラが顔を赤くしてから、
「う、うむ。お、おぬしがその方が楽なのであれば」
そう答えたのだった。
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